ベリサイン【VRSN】の銘柄分析。ドメイン名登録で知られるIT企業
ベリサインの銘柄分析です。
ベリサインはコンピュータ・ネットワークセキュリティに関するソフトの開発で知られる、RSAセキュリティの認証部門がスピンオフされる形で創業しました。インターネット黎明期の1995年に創業、1998年には上場を果たしています。
「.com」や「.net」などのトップレベルドメインや、インターネット上に13個あるルートネームサーバのうちの2台の管理、登録を行っています。いわば、インターネットインフラを担う企業と言えます。
ベリサインの認証サービスは金融サービスや小売アプリケーションなどで使われており、現在300万以上の電子証明を運用しています。当然ながらネットワークセキュリティにも強く、世界の公開鍵証明書業界のほとんどを独占しています。
参入障壁の高い、特殊性ある事業形態です。
ベリサイン【VRSN】の株価チャートと配当
- 2010年 5月 株価27ドル
- 2020年 5月 株価194ドル
株価は6倍超になっています。この間、売り上げは2倍です。配当は出していません。2011年ごろに特別配当が出ましたが、基本は無配企業です。業績は2015年あたりから良くなっており、株価も素直に反応しています。
一貫して粗利率や営業利益率が高い企業です。
ベリサイン【VRSN】の基礎データ
ベリサイン【VRSN】の基礎データを見ていきましょう。
- ティッカー:VRSN
- 本社:バージニア州レストン
- 上場:Nasdaq
ベリサイン【VRSN】の売り上げと利益
GAFAのような力強い売り上げ成長は見られませんが、それでも10年で2倍になっています。売り上げ成長率は、若干鈍化傾向にあります。一方で目を引くのが粗利率の安定した高さです。直近では85%と際立っています。営業利益率は65%ありますが、これは今までご紹介した銘柄の中でも最も高い企業の1つです。
何らかの経済的な堀がないと達成できない数字で、業態の面白さが数字からも伝わってきます。
ベリサイン【VRSN】の配当性向
ベリサインは無配企業ですので、省略します。
ベリサイン【VRSN】のBPSとEPS
BPSはマイナスです。米国企業らしいと言えばそうですね。著名な例ではムーディーズなども似た考えの経営方針です。やはり自社株買いは非常に熱心で、10年でおよそ6割にまで株数を減らしています。EPSが安定して伸びているのは評価されてよいでしょう。
ベリサイン【VRSN】のキャッシュフロー
なかなか強烈なキャッシュフローをしています。利益率の高い企業にありがちな、営業CFとフリーCFがほとんど近似するということですね。
似た例では、ビザ【V】やマスター【MA】がありますね。新しい事業展開をするわけでもないので、研究開発費もかさんでいません。いわば、インターネットの隆盛とともに成長してきた企業と言えるでしょう。
現状のネット世界が続く限りは圧倒的な強みがあります。懸念は、インターネット社会の飽和、ネットに変わる新たな産業革命でしょうか。現状ではほとんど盤石と言ってよい事業形態です。
管理する「.com」の収益は大きく、9割を占めます。インターネットにおける「.com」は最も人気のあるドメインで40%を占めます。ちなみにもう一つの柱である「.net」は5番目でおよそ5%です。いずれにしても北米での使用が多く、6割が北米のユーザです。
直近のcovid-19もほとんど影響しておらず、業績は安定的です。ベリサインとインターネットプロトコル管理者である非営利組織のICANNとの間で重大な契約瑕疵が生じない限り、契約は更新され続けるのでしょう。
収益性と安定感が魅力のベリサインですが、株価は常にやや割高ですね。150ドル近くならば理想ですが、200ドル割れでも妙味を感じる、そのような目線で見ています。
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