たぱぞうの米国株投資

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ユナイテッド・テクノロジーズ【UTX】の銘柄分析。重工系コングロマリット

ユナイテッド・テクノロジーズ【UTX】の銘柄分析。重工系企業の集合体

 ユナイテッド・テクノロジーズ【UTX】はもともとはボーイング【BA】やユナイテッド航空【UA】とルーツを同じくします。

 

 ユナイテッド・エアクラフト・アンド・トランスポートという空や輸送に関わる大きな企業体でしたが、1934年に反トラスト法により分社化されました。

 

 現在の事業ポートフォリオは多岐にわたります。航空機のエンジン、宇宙産業、空調装置、燃料電池、エレベータ・エスカレータなどです。

 

 ヘリコプター事業はシコルスキー・エアクラフトというブランドでした。元はウクライナ生まれのアメリカ人であるイーゴル・シコルスキー氏によって1923年に設立された会社です。

 

 エアバスヘリコプターに次いで世界で2位のシェアを占め、現在も世界最大級のヘリコプター会社の1つと言えます。しかし、原油安に伴う採算性の難しさなどからロッキード【LMT】へ2015年に部門売却されました。

 

 それぞれの分野でブランドを持ちます。ユナイテッド・テクノロジーズという大きな傘の下にたくさんの子会社群があるイメージです。

 

 ユナイテッド・テクノロジーズの事業で特に有名なのが航空機エンジン事業です。 

 航空機エンジンでビッグ3と言われるのがゼネラル・エレクトリック系のGE・アビエーション、イギリスのロールス・ロイス、そしてユナイテッドテクノロジーズ系のプラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney)です。

 

 民間機ではもともと関係の近いボーイングだけでなく、エアバス、ボンバルディアなど世界の航空機製造企業にエンジンを供給しています。

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※ユナイテッド・テクノロジーズのサイトから

 軍用機ではF-22 ラプター、F-35 ライトニングIIといった最新鋭機から1952年に初飛行をし、2045年まで運用を予定されているB-52ストラトフォートレス、F-14A トムキャットなど歴史上の名機に属する機材のエンジンにも採用されています。

 

 プラット&ホイットニーのエンジンは戦闘機、爆撃機問わず広く使われていますね。

 

 また、エレベータ・エスカレータ事業ではオーチス(OTIS)ブランドで有名です。世界シェア1位を占めています。オーチスはもともとエレベータの落下防止装置を開発したエリシャ・オーチス氏がルーツの別会社でしたが、1973年にユナイテッド・テクノロジーズに買収されました。

 

 ドイツのシンドラー(Schindler)、ThyssenKrupp(ティッセンクルップ)やフィンランドのコネ(KONE)などとシェアを争っています。

 

 ちなみにオーチスは米国外の売り上げが8割にもなり、文字通り多国籍企業として事業展開しています。日本でも千葉県に工場を持ち、霞が関ビルに設置されるなど古くから有名です。

 

 空調設備事業ではキヤリアブランドで製造販売しています。日本では東芝と合弁し、東芝キャリアとして事業を行っています。インディアナ州にあったキヤリアの工場のメキシコ移転をトランプ氏が阻止したことで、話題になりました。ユナイテッドテクノロジーズは軍需企業の側面もあるので、国の意向を尊重せざるを得ません。

 

 ハミルトン・サンドストランドは国際的な宇宙計画の中心的役割を果たしている企業の1つです。航空宇宙制御や宇宙システムの設計、製造を行っています。

 

 このように重工系の機械製造で様々な事業展開をし、シェアを持っています。

 

 ちなみに、2015年にユナイテッドテクノロジーズ本体もハネウェル【HON】から合併を持ちかけられていました。その額は907億ドルにも及ぶもので、実現していれば年間売上約1000億ドル(約11.4兆円)の巨大重工系コングロマリットの誕生になるところでした。

 

 ハネウェルは積極的でしたが、ユナイテッドテクノロジーズ側が消極的で、実現にいたりませんでした。 売上高の規模はハネウェル(400億ドル)よりユナイテッドテクノロジーズ(550億ドル)のほうが大きいです。

ユナイテッド・テクノロジーズ【UTX】のチャートと配当

  チャートと配当を見てみましょう。

ユナイテッドテクノロジーズ【UTX】のチャートと配当

ユナイテッドテクノロジーズ【UTX】のチャートと配当
  • 2006年11月 株価66ドル  配当0.265ドル
  • 2016年11月 株価106ドル 配当0.66ドル
  • 2019年10月 株価141ドル 配当0.735ドル

  株価は2倍弱になっています。毎年売上を伸ばしていた2015年には120ドルを超えてきましたが、その後年末にかけて急速に調整しました。83ドルまで落ちています。その後、チャイナショックを経て再び100ドル台を回復、150ドルを伺う勢いです。

 

 配当は2.7倍です。この10年で順調に増配を重ねてきた企業の1つです。特筆されるのは、リーマンショック中でも減配せずに、増配を守りつづけてきたことです。比較的成熟した企業で、株主還元に積極的な姿勢は好感が持てます。

 

ユナイテッド・テクノロジーズ【UTX】の基礎データ

続いて、基礎データを見てみましょう。

ティッカー:UTX
本社:アメリカ・コネチカット州・ハートフォード
上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)

ユナイテッド・テクノロジーズ【UTX】の売り上げと利益

ユナイテッド・テクノロジーズの売り上げと利益

ユナイテッド・テクノロジーズの売り上げと利益

 ヘリコプター部門のシコルスキーを売却した2015年は売り上げが抜け落ちています。しかし、その後4年で売り上げは元に戻っていますね。

 

 シコルスキーの売却やプラット&ホイットニーの三菱重工への売却検討は、ついこの4,5年の話です。横断的にブランドを抱えるので、今後もこういった買収、売却の話は尽きないことでしょう。最近ではオーチスやキヤリアが話題になりましたね。

 

 売却ばかりではなく、2018年には米航空電子機器大手ロックウェル・コリンズ【COL】を総額300億ドルで買収しています。部門ごとのシナジーを高めるということですね。逆にシナジーの薄い部門の売却を試みています。

 

 粗利率、営業利益率ともに10年間殆ど一緒です。業績は安定的と言って良いでしょう。

ユナイテッド・テクノロジーズ【UTX】の配当性向と配当

ユナイテッド・テクノロジーズの配当性向と配当

ユナイテッド・テクノロジーズの配当性向と配当

 配当利回りはおおよそ2%~2.5%ですね。確かな技術を持つ企業でありつつ、経営にも敏感で、事業ポートフォリオの見直し、構築を常に行っているイメージがあります。配当性向には無理がありません。高配当銘柄でもないので、当面この増配ペース、利回りが続くと思われます。

ユナイテッド・テクノロジーズ【UTX】のBPSとEPS

ユナイテッド・テクノロジーズのBPSとEPS

ユナイテッド・テクノロジーズのBPSとEPS

 EPSは上昇基調ですが、安定的な業績推移で典型的な成熟企業と言えそうです。10年前と比較するとおよそ13%の株式を償却しており、これは継続的です。

ユナイテッド・テクノロジーズ【UTX】のキャッシュフロー

ユナイテッド・テクノロジーズのキャッシュフロー

ユナイテッド・テクノロジーズのキャッシュフロー

 設備投資に資金を要する産業なので、投資CFがどうしても大きくなりますね。償却のタイミングで差がありますが、利益上はうまくコントロールしている印象ですね。

 

 決算で短期的に上げましたが、基本的には安定的な業績推移と高い技術による経済的な濠が魅力の企業ということになります。

 

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