40代後半からのセミリタイアと資産運用の方向性をどう考えるか
40代後半になると、今までの資産運用の成果や組織における立場の違いから、セミリタイアがグッと身近、あるいは切実になってきますね。どのような人生総まとめの時期をどのように過ごすか、その命題はここに委ねられていると言ってよいでしょう。
セミリタイアをするにあたって、有利な条件は以下です。
- 資産運用がここまで順調
- 50歳以後早期退職制度が整っている組織で勤務している
- 配偶者がフルタイムで働いている
- 支出と収入のバランスに無理がない
このような条件が整っていると、セミリタイアは目前と言えます。特に支出と収入のバランスは大事で、これさえ何とかなれば諸条件は些末な問題にすぎません。ここを安全に見積もりすぎると、なかなか踏ん切りがつかないということになります。
さて、今日は40代後半からのセミリタイアということでご質問を頂戴しています。
40代後半になり、セミリタイアを具体化させるために資産運用に変化を加えたい
たぱぞう様
KADOKAWAセミナーに参加をさせて頂きましたKです。貴重な考え方の共有を頂きまして本当に有難うございました。特に冒頭の様々な角度からの日本の現状分析と将来像についてのお話(母子家庭水準が一般水準になる可能性の示唆は感銘を受けました。)を拝聴して、ぼんやりしていたものがはっきりとしたように思います。有難うございました。
さて、ご連絡をさせて頂きましたのは先日のセミナー懇親会の席でも「5000万のキャッシュがあった場合にどのような投資を検討するか」と質問をさせて頂いた者ですが、今後、金融資産を拡大してセミリタイヤを目論んでおりまして、ご相談させて頂ければ幸いです。
【前提】
東京都在住本人:47歳(未上場会社勤務部長)
妻:47歳(上場会社勤務課長)
子供:小学生2名(私立小学校)
金融資産 ※妻とは財布が別ですので、私だけの内容です。
現金5,700万有価証券3,500万
- 米国株 個別30銘柄(CRWD、ZM、DOCU、AMZN、BLK、SHOP、BNTX、MRNA、KO他)1,800万円(含み益400万円)VTI、VMY、QQQ 240万円(定期積立VTI25万円/月、VMY10万円/月、QQQ8万円/月)
- 日本株 個別16銘柄1,300万円(含み益200万円)
- IDECO
- 子供:ジュニアNISA(VTI積み立て)
- 住居分譲マンションローン完済時価5000-6000万程度
【ご相談】
上場会社2社経験、現在は未上場会社に勤務、財務や企画、総務など管理畑一本でやってきました。
35歳位までは世の中の本質的な仕組みも理解できず、がむしゃらに自分の成長をモチベーションの源泉とし、やりがいもありました。 それが徐々にマネジメント側となり時間が経過すればするほど、部下の成長を促したり、上司の意向に沿う調整、そして外部に対して思ってもいない話を説明する日々に意味を見出せなくなり、裁量を求め40歳で未上場会社へ転職しました。
しかし、やはりやるべきことは同じであり、仕事の質の面では楽ですが、質を上げることが出来ないジレンマや、引き続き同じような調整がメインの仕事に従事することとなり、自分の人生の無駄遣いにしか思えない日々を過ごしています。特にここ2年位加速度的にその思いが強まってきています。
一定の企業体(人数が一定数居ること)を維持するために発生するルールや調整的な部分を担うことに対し、完全に意味を見出せなくなった今、自分の時間を生きて行きたいとセミリタイヤを数年前から真剣に考え始めました。
幸いに今までの蓄えや米国株式を早期から取り組んだことである程度の先行利益はありますので、5年(52歳)を目途にセミリタイヤをしたいと目論んでいます。(私のリタイヤの定義としては金融資産2億円と考えています。)
私のこれからの進め方としては、
- アメリカ個別も少しづつ増やす(一昨日ご教示頂いた成長寡占銘柄を市場全体が落ちたところなどで拾う)
- VTI等の積み立ては続ける
- 不動産投資を法人設立して開始(1年以上探し、買付も適度に入れていますが買えていません。価格も上がりすぎでやや心配な面もあります。)
とし、なるべく自己資金(MAXでも3000万から4000万程度)が少ない不動産投資による規模拡大にて法人にキャッシュを貯めてセミリタイヤを考えています。
【ご質問】
たぱぞうさんでしたら、5年後という時間軸でのセミリタイヤに向けどのような考え方、手段を目論まれるかご教示頂ければ幸いです。
ちなみに不動産投資は法人を立てて行う予定(副業が禁止なので報酬は無し)で、法人を育てようと考えています。② 有価証券のポートフォリオ等について何かお気づきがあればご教示ください。③ その他全般でお気づきの点があれば是非宜しくお願い致します!
資産運用面など条件は整った、セミリタイアは不可能ではない
同年代ですから、やはり向き合う課題が似ていますね。私がセミリタイアした理由は、やはり合意形成と調整のための会議の多さ、文書の多さだったのです。「人生二度なし」と決断したセミリタイア前後を思い出し、何かしみじみとしましたね。
40代というのはそういう年代であり、課題に向き合う時期ということです。
さて。すでに住宅ローンを返済されていますし、奥様もフルタイムということでセミリタイアは可能なレベルと推察します。条件次第ではすぐにでも可能でしょう。しかしながら、一方で2億円ほどの金融資産をみたいという事情もわかります。お子さんが私立小に在籍というのも考慮したいところですね。
とはいえ、資産拡大へ向けて目指している方向性は間違いなく、ご属性を生かした資本の拡大には妥当性があります。お住まいになっている地域もそれをバックアップしてくれますね。私ならば、やはり法人をつくり、そこからのセミリタイアを目指します。実際そのようにしましたね。
株式の爆発的なパフォーマンスと資産変動、派手さはないですがハードアセットの安定的なインカム、資産変動、これはセミリタイアとの相性が良いと感じています。
自己資金2割が今の一般的な銀行さんの目線ですから、不動産ならば1~2億規模での拡大となるでしょう。太陽光法人ならば、3,4基を狙う形ですね。ただし、いずれも非常に地味なものです。なにか急激に状況が変わるような性質のものではありません。比較的安定した収入ということですね。
有価証券の方向性は、ややボラタイルなものもありますが、利益の最大化を狙う方向性ということで僭越ながら一貫性を感じます。こちらも、コロナショック直後のようなお祭り感はなく、むしろ守りが意識される時期ですね。
投資は不確実性がそもそも高いものですが、奥様のご属性がフルタイムで勤務ということで大変すばらしいですね。やはり労働資本はその不確実性を埋める要素となり得ます。
実際に今後の家庭のあり方、ご自分の勤務の形、子育て、家事などを考えると、奥様の協力を得たほうがスムーズですね。属性もそうですし、貯蓄額もそうです。ご自身の属性でのセミリタイアも不可能ではないですが、奥様と方向性を話し合って、今後を確認されるとより盤石になりますね。
長期にわたる共働きは、ある意味では倍の年数働いてきたのと同じ意味をもちます。もちろん、年功序列制においては必ずしもイコールと言えないですが、それでもやはり有利なのです。
そう考えるとご夫婦で合算すると、すでにおよそ50年働いてきたわけです。仰るように、今後をどうするか考える権利を得たとも言えますね。あと少しで得られる事由がありますから、共に考えていきましょうね。
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自宅があれば実は思ったよりはるかに簡単にできるのがセミリタイアです。
こちらのセミナーはおかげさまで満席となりました。やはり、対面だから話せることがあり、私も大変すっきりしました(笑)
条件によっては、家族持ちでも十分セミリタイアは可能ですね。