10万円で始める投資の意義と意味
自分が投資業界に近いところに身を置いているから感じるのかもしれませんが、この数年ほど投資が身近になった時代はなかったように思います。それは、以下のような理由でしょう。
- 所得が増えない
- 仕事の負担が大きい
- 投資でリタイアした人が珍しくなくなった
- 株、不動産、太陽光など投資先が増えた
いくつか事情があります。簡単に説明を加えてみましょう。
所得が増えない
可処分所得がこの20年、30年ほとんど上昇しませんね。私も昨年までは組織人として過ごしていました。そのため、サラリーマンの可処分所得の増えなさは実感として覚えています。
そもそも、サラリーマンでは節目とされる年収1000万円を超えるのが難しいですね。2000万円超となると、本当に一握り、いや、一つまみです。
ようやくそこにたどり着いたとしても、住居費が高かったり、個人所得の累進性が厳しかったり、所得を削る要素はたくさんあります。人に雇われるというのは、そういうことなのですね。
よく勉強し、良い企業に入れば豊かな生活が得られる。そのような人生モデルは、すでに崩壊しつつあるといって良いでしょう。あくまで可能性を高めるだけで、その努力が対価に見合うのかどうかはパーソナリティに拠るところが大きくなっています。
仕事の負担が大きい
可処分所得が増えない割には、仕事の負担は増大していますね。
例えばかつて不要だった、コンプライアンス関係の書類、会議を始めとする意思決定手続きの煩雑さ、スピード感の欠如は大組織ならばどこでも抱えるのでしょう。
これらは組織運営上の舞台装置として機能しており、こういったプロセスにやりがいを見いだせない人もいるでしょう。そうなると、組織はストレスでしかありません。
例えば「ハンコ」があります。「ハンコ」を無駄と思うか、必要と思うか。後者の考え方のほうが大組織で生きていくには楽なのではないでしょうか。組織で生きるというのはそういうことです。
ハンコには煩雑な署名の略称として利便性を持たせる側面がありました。気が付けば様々な付加価値がついて、逆に煩雑になっているのは皮肉ではあります。儀式化、儀礼化というのはいつの時代も付いて回るのですね。
投資でリタイアした人が珍しくなくなった
投資でFIREした人が珍しくなくなりました。
これは、この数十年で年収が増えた業界が限られるのに対して、はっきりとした対比となっています。つまり、組織での努力が所得へコミットしていないのに対し、投資はそうではない、継続が所得にコミットしたということです。
私は組織人として20年過ごしてきました。大した投資の才能がなくとも、セミリタイアできたのは、新卒のころから投資を続けてきたからです。私に限らず、同年代の個人投資家は続々とセミリタイアを果たしています。
今、20代、30代の投資を始めた人たちは、大きな下手さえ踏まなければセミリタイアをするという選択肢をいつか手に入れるのでしょう。
株、不動産、太陽光など投資先が増えた
投資先が増えたのも見逃せません。株、不動産、太陽光、毛色は違いますが仮想通貨、これらでセミリタイアした人たちがいます。20年、30年前は株、一部の人で不動産でした。
仮想通貨以外は、投資手法もある程度確立されており、きちんと勉強すれば取り組むのは難しくありません。得意分野を生かして、所得を最大化することが可能です。
投資先の種類の豊富さは、閉塞する時代の中にあってほとんど唯一の光明と言って良いでしょう。
10万円で投資を始めて資産形成をしたい
さて、ここで以下のようなご質問をいただきましたので、簡単にご紹介します。
「資金10万円で投資を始めようと考えています(嫁を説得してようやく了承済み)
REIT5万、米国株5万を投じる計算を立てているのですが、こんな少額で資産形成はできますでしょうか?」
結論からすると、これだけでは人生を変えるインパクトは得られません。しかし、今まで前段で書いてきたような背景があります。
10万円での投資は「雨垂れ石をも穿つ」ということ
「雨垂れ石をも穿つ」という言葉がありますね。今は微力でも、継続すれば大きな力になるということです。投資を始めると、日々のお金の使い方の意識が変わります。いや、時間の使い方や行動も変化します。
私たちが過ごしている、平凡で変わらない日常は意識しないと何も変わりません。そのまま、10年、20年と過ぎていくのです。しかし、もし変えたい日常があるならば、行動から変えていくのが大事ですね。
たかが10万円、されど10万円。その投資は、未来へつながる栄光への架け橋になるかもしれません。10万円そのもので資産形成をすることは難しいですが、自分自らが変わることでかけがえのない一歩になる可能性があるということですね。
ちなみに、私なら10万円あれば米国株1本にします。Jリートよりも成長性が見込めるからです。短期の値幅どりならばまた目線は違いますけどね。
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世代ごとに投資の意味合いが変わってきます。若いうちはリスクが取りやすいですね。
大きなリターンが得られるものは、その分リスクもあるというお話です。レバレッジが効くというのは良し悪しということです。
再現性が高いのは、長期投資です。