長期投資と短期投資、資産形成に向くのはどちら?
長期投資と短期投資があります。
ほんの10年ぐらい前までは5年前後でも長期と考えられていた節がありますが、昨今では長期投資というと10年以上を指すでしょうか。いずれにしても、ゆらぎのある特に決まりのない期間ですね。
かつてあった一般NISAが5年、後発のつみたてNISAが20年でした。今のNISAではとうとう恒久化となりましたね。ある意味では、立案されたその時代をそれぞれ反映していますね。
2,3か月、あるいは1,2年は短中期ということになるのかもしれません。不動産の税制などを見ると5年が一つの目安になるでしょうか。
資産形成は実はどちらが良いということはありません。しかし、株式に関しては長期のほうが明らかに簡単です。「良いものを 続けて長く 保有する」だけで確実性の高い投資ができるからです。
これに対して短期投資はマーケットの歪みの影響を受けやすいですね。わかりやすいのはリセッションです。
たとえば1000円だった株が700円になる、というのは珍しいことではありませんね。企業価値が短期で変動したわけではありません。ただ、マーケットの評価に歪みがあるというだけですね。
うまい人はこの歪みをうまくつき、資産形成をします。長期投資はマーケットの歪みを内包しつつも、修正をしつつ、緩やかに価値を反映させていきます。そのため、時間を味方に付けた投資はやりやすいのですね。
価値が上昇しないような株式や指数はそういう意味では全く上昇していきません。価値が上昇するアセットを大事することですね。投資というのは、給与などのフローを価値の上昇するアセットに置き換えストックとする活動なのですね。
さて、今日は長期投資と短期投資についてご質問を頂戴しています。
長期投資と短期投資、資産形成には資本回転を意識したほうがいいのでは
たぱぞう様
たぱぞう様に質問させていただきたく、今回はメッセージ差し上げた次第です。
色々と投資に関する本、ブログ、また他の情報物を見ていると世の中の投資に対するスタンスは大きく長期投資と短期投資の2つに分かれているのかなと感じました。
自分は初めバフェット関連の本を読み、企業の一部を買い長期的な企業の成長の恩恵を受けるという考えに感銘を受け株式投資を始めました。
しかし、よくよく考えてみると事業経営も株式投資もその他の投資も、資金を何らかの手段で調達し、その資金をできるだけ高い利益率(高ROAもしくは借金をする場合は高ROE)のところに置き、そこからの利益を再投資し拡大し続けるということが目的のはずです。
別の見方をすると資本回転率か売上高利益率のどちらか、もしくはどちらもを向上させ、結果として資本利益率の向上を目指すというのが投資家の目指すべきところかと思います。
長期投資界隈では、企業の長期的成長に伴う株価の成長(利幅の拡大)は意識が向いていますが、資本の回転を毛嫌いする節があるように見受けられます。
もし株式投資も事業経営も同じと考えれば、短期投資はそれで損失を被らないような資金管理がなされていればギャンブルだとは感じず、むしろ合理的な選択肢であるように思います。
短期投資は税金、手数料分の損だというのがよくある主張ですが、多くの株投資の名著が出た時代と今とでは明らかに手数料は違いますし、税金かかるから行為はだめ というのも違うとバフェットの以下の引用を見たときに感じました。
“What is one really trying to do in the investment world? Not paying the least taxes, although that may be a factor to be considered in achieving the end.
Means and end should not be confused; however, the end is to come away with the largest after-tax rate of compound.
Quite obviously, if two courses of action promise equal rates of pre-tax compound and one involves incurring taxes and the other doesn't, the latter course is superior. However, we find this is rarely the case.“
自分にとって企業の一部を買い、成長にともなう株価成長の恩恵を受ける投資と短期的な株価変動から利益を得る投資というのは(損失にならないような資金管理がなされているという前提で)、アップルのようにマージンで利益を稼ぐ事業と、コストコやウォルマートのように資産を効率的に捌いて利益を得る事業の違いでしかないように思います。(どっちがいい悪いではなく、一長一短といったところでしょうか。)
上記、投資のスタンスに関してたぱぞう様のご意見をお聞かせ願えませんでしょうか。
以上となります。再び長文となってしまいました。お時間ございましたら、ご意見伺えれば幸いです。
長期投資と短期投資の良さを組み合わせて資産の最大化を図るということ
仰る通り、短期投資と長期投資を適宜組み合わせるのはありです。しかし、短期投資は適宜の判断が長期よりも難しいのです。そのため、誰でもできる長期投資のほうが取り組みやすい側面があります。これは再現性の話ですね。
また、そうはいってもやはり短期は税金が重いですね。回転させると、利益に都度税金がかかります。
これに対して長期で含み益が出てくると、課税のタイミングもコントロールできますね。取り崩しという発想が一面では優れているのはそういうことになります。特に総合課税、あるいは資産管理法人だとそうです。
私は短期投資も長期投資もやりますが、やはり万人にお勧めできるのは長期だと確信しています。しかし、一撃でガツンと取れるのは短期です。これはほとんどすべてのアセットがそうです。そのため、組み合わせが同時に大事になります。
利益率、それから資本回転率の考え方は面白いですね。深入りしませんが、箇条書きにすると資産管理法人でも援用できる考え方になります。
- 少ない資本で大きな利益をあげる
- 少ない労力で大きな利益をあげる
- 逆に、資本を大きくして率は小さくとも大きな利益をあげる
- 持続可能なビジネスモデルとは
規模か、効率か。このような考え方に通じますね。長期、短期、レバレッジ、借り入れ、CCR、営業利益率などが関連してきます。ちなみに不動産会社は効率化しようとすると借り入れが増え、資本が大きくなるため資本回転率は低くなりがちです。しかし、労力は比例して増えるわけではありませんね。
株式投資をしつつ、いかに自分の副業、資産運用を効率化していくのかという視点は大事です。人生そのものの効率化、断捨離ともいえるかもしれませんね。株式投資の優れるところはそこにあります。
いささか抽象的な話ですが、永遠に語れる話題かと思います。ご質問ありがとうございました。
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