金融商品の商品力が問われる時代はもうすぐ
米国株あるいは米国株式指数連動のETF・投資信託を通して資産運用をすることを提案しているブログが、「たぱぞうの米国株投資」ということになります。
例外として、生命保険機能がある財形などを推奨することもあります。しかし、基本的には米国株投資信託やETFでの運用が多くの人にとってベストであるというのが私の考えです。
米国株への投資ならば、例えば保険などでも扱うものがあります。しかし、これらはあまり推奨していません。手数料が高いからです。「保険+貯蓄+運用」という形のものは複雑であるぶん、高コストなのです。
ところで、各種保険商品や投信に比べて、バンガードなどの優れたETFがまだまだマイナーなのはなぜでしょうか。それは、保険会社や銀行の圧倒的な営業力が大きいと言えます。
しかし、あと20年もすれば、人口ピラミッドにおける急激な世代交代が進むことでしょう。そうなると、ほとんどの人がインターネット検索を当然のものとして使える、そういう時代になります。
インターネットで金融商品を比較、購入するのが当然という時代になるということです。窓販や職場への営業はそれだけ高コストになりますから、今後は徐々に厳しくなっていくのでしょう。
いつの時代も産業構造の変化には痛みも旨味をあります。いずれにしても、金融商品本来の品質にこだわった商品開発をしなくてはいけない。そういう時代が近づいているということは間違いありません。
これらの基本的な主張をもとに、ご質問を紹介します。
保険を解約して米国株ETFを投資の柱にすべきかどうか
いつも楽しみに拝見しております。
私がたぱぞうさんはじめ皆様の教えできちんと「資産運用」をはじめたのは、遅まきながら昨年からです。それ以前は銀行に言われるままに本当に愚かな投資をしてきました。
当時の負の遺産を整理しつつあるのですが、お知恵を拝借したいのは保険を解約すべきかということです。
特殊年金保険約$70000、変額年金保険約$40000、一時払終身保険約$35000というのを保有(?)しています。いずれも2年ほど前からはじめました。一番大きい$70000分は、あと10年したら満期でそこから月に$400を20年間受け取れるそうで、これを満額受け取るとしたら年利2.75%になるそうです。
契約当時はいいように思えたのですが、その後アメリカのETF等に投資するようになると「VYMの配当だけでそれぐらいになる」と気付きました。しかも10年後から20年間生きる保証もないわけで(私は現在49歳の女性です)。
現時点で解約すると解約返戻金は支払った額から$2000ほどマイナスになりますが、そうであっても解約してETFの購入にあてたほうがいいのか悩みます。たぱぞうさんならどうされますか?
現在アメリカのETFで$300000ほど運用し、その日本円での預貯金等もあり年金を増やしたいとは考えておりません。投資の大先輩であるたぱぞうさんのご意見をぜひ参考にしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
私ならば解約して保険に入りなおします
月々400ドルを20年受け取るとトータル96000ドルになります。払い込みが70000ドルだとすると、差額が26000ドルの利益になります。単純に20年で割ると、1年あたり1300ドルの利益です。
70000ドル投資して、1年あたり1300ドルの利益です。10000ドルあたり、186ドルということになります。これならば、米国株ETFのほうが良いと思われます。時期によってはキャピタルゲインも狙えるからです。長期ならその可能性はグッと上がります。
すでに運用されている米ドルが30万ドルあるということですから、市況を見極めてVTIやVYM、S&P500連動ETFを積み上げていくのが王道と言えます。
私は保険は基本は掛け捨てがベストだと思っています。掛け捨てだと、保険サービスに純化しているからです。また、その時に応じた保険のかけ方ができます。2000ドルの損金は惜しいですが、株式で損をするときはもっと多額に損をします。
勉強料と思えば安いもので、私ならばスパッと切ってしまいます。十分に給与から補てんできる額ですし、まだまだ取り返せるからです。始めたばかりですからね。一方で払い済みにするという手もありますね。比較して答えを出すとよいです。
ちなみに私の場合、こういう複雑な金融商品を勧めてくる銀行・保険営業さんとは対面するとついつい話を深めたくなります。しかし、だいたい私のような「金融商品好きの人」にはあっさりとしたもので、あまり商品を勧めてきません。
資料請求するとキチッと作ってくれますが、営業自体はあっさりしたものです。この人ならば「イケル!」と思って、そういう人に具体的に商品を紹介してくるわけです。営業さんの嗅覚、知性というのはプロだけあって、やはり相当なレベルにあると思います。
ただ、それも先述したようにネットを知らない世代が少なくなれば、やはり難しい部分が出てくるのでしょう。質問者様のように、自分で調べたり、聞いたりして、競争力がない商品ならばそれが分かってしまうからです。
そういう意味では営業も、顧客との共存共栄を考えた商品提案をしていかなくてはいけない厳しい時代になり始めています。
テレビ・ラジオ・新聞・週刊誌など従来メディアが情報を独占した時代は終わりつつあります。各自が情報を自由に仕入れ、発信できる時代はもうすぐです。その恩恵を最大に受け、資産運用に生かしたいと思っています。
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