国社債投資の基本的な考え方
米国株、個別株投資に比べるとあまり知られていませんが、米国企業の社債に投資することができます。例えば、SBI証券、楽天証券、マネックス証券といった3大ネット証券でも買えますし、大手対面証券でも購入することができます。
このようなものですね。
ここで扱われているのは、劣後債といって債務弁済が後回しになる社債です。その分、利回りが高いということになります。同じ残存年数の米国債に比べると、やや利回りが良いのは、そのようなリスクを負っているからですね。
米国社債投資をETFで行うか、個別企業の社債で行うか
社債の集合体であれば、【LQD】や【USIG】といったETFが良く知られています。トータルリターンでは【LQD】のほうがよく、人気もあります。
これらの社債ETFと個別の企業による社債の関係は、ほとんど米国株ETFと個別株の違いに近いです。つまり、企業業績の影響を受けるということです。万一倒産してしまえば価値はなくなりますし、返済できないような経営状況になれば、劣後債は当然不利ということになります。
したがって、分散をさせたい人はETFを選び、特定企業の社債を購入したいならば企業債を購入するということになります。
米国社債投資のリスクとリターン
米国社債投資のリスクとしては、価格変動リスクがあります。金利動向に従い上下動があるので、償還前の売買は当然ながら元本が割れてしまうこともあります。
また、企業業績が悪くなり、返済ができなくなれば利息の支払い、あるいは元本の支払いが不可能になる可能性があります。
最後に、海外債券の場合は為替リスクもあります。
債券投資というと、安全なイメージが強いですが、当然国債よりはリスクは高くなります。また、米国企業の社債のように海外の社債は押しなべて為替リスクもあります。このリターンは日本の社債のそれと比べると、良いです。
さて、こうしたことを踏まえて、ご質問をご紹介します。
米ドル建て米国社債投資に挑戦してみようと思います。
たばぞう様
はじめまして。たばぞうさんのプログを毎日読んでいます。投資歴は20年くらいになります。
元々は利率の良い中期国債ファンド、公社債投信に始まり、営業に勧められて投資信託、個別株少々と経験し、たくさん失敗もありましたが、資産を少しでも増やしていきたいと思っています。今はメインはSBI証券ですが、大手証券会社の営業に配当金目的で投資したいと話したところ、「米ドル建債券」を勧められました。
この「米ドル建債券」についてたばそう様のご意見をお聞かせください。
<現状>
- 54歳 女性(夫あり)
- 契約社員 年収 300万円(60歳までは就労予定)
- 投資可能額 月20万(積立NISAとETF積立)
資産状況(生活予算は他にあり)
- 定期 1,100万円
- 米国株 1,300万円
- 日本株 1,300万円
- ETF(昨年より毎月積立中) 200万円
- 投資信託 1,500万円
- MRFなど 1,300万円
*積立NISA 33,333円 SBI-バンカードS&P 今年から開始
<投資目的>
- 老後の資金 (60歳からの生活資金)
- 可能ならば配当で生活したい(米国株・ETFの配当)
<質問>
勧められているのは下記2社の債券です。利回りはとてもよいので、かなり乗り気になっていますが、投資額が大きいため投資信託(償還するもの、手数料が高いもの)から800万円、定期から500万円、日本株300万円、MRFから700万円を充てようと考えています。
今後、日本株は高配当のみ700万円程度、投資信託も積立NISAのみしていく予定です。(MRFなどの現金)
<債券>
- マイクロソフト 204,581.25ドル 年2回 4.5% 償還 2040年
- フォード 179,968.23ドル 年2回 6.625% 償還 2028年
<質問>
こうした米ドル建債券について投資対象としてどうでしょうか?これはやはりリスク資産でしょうか?また、投資するとしてポートフォリオの割合高すぎるでしょうか?
リスクを考えるとマイクロソフトかと思っていますが、たばぞう様はどのように思われますか?
これらの利金は働いている間は、再投資したいと思うのですが、年齢的に考えると現金で持っていたほうがよいでしょうか?
乱筆乱文で申し訳ありませんが、ご回答いただけるととても助かります。
どうぞよろしくお願いいたします。
米国社債投資は悪くはないが、コア投資になるかというと・・・
マイクロソフト債は確かに人気がありますね。書かれている金額は買い付け単位でしょうか。だとすると、資産に占める割合が大きすぎますね。老後を控え、1企業の社債にそれだけ厚く投資するのは、ちょっと考えてしまいますね。
安定資産としては、MRFを持ちつつ、今まで通りETFや投資信託でバランスを取っていったほうが安全です。また、単位の小さな社債に挑戦するというのもありでしょう。
最初から大きく投資をするのではなく、小さく始めて、なおかつETFなどで分散を効かせて取り組むのが良いと思いますよ。
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海外ETFの多様性は、投資の細かいニーズにこたえてくれるものになっています。
多様性はリターンを担保するものではないですね。
アセットアロケーションとリターンは高い相関があります。