ガラリと変わった日本の投資信託事情
ほんの1年前までは日本の投資信託で海外投資をしようとすると、MSCIコクサイ連動の商品か、あるいは手数料が0.5%を超えるような商品がほとんどでした。しかし、2018年に入って状況はガラリと変わりました。
その理由としては、金融庁がつみたてNISA対象の指数を絞ったからです。そのため、S&P500連動商品やVTIのような世界的に見ても運用総額上位の、しかも実績確かな商品が日本でも投資信託化されることになりました。
かつてはそのような状況だったために、ご相談を頂いても米国ETFをおすすめするというところで迷いはありませんでした。しかし、今年に入ってからは必ずしも米国ETFを選ばなくてもよくなったということで、逆に迷われる方が増えたように思います。
もちろん、選択できるというのは嬉しい悩みなのですが、特に投資初心者さんにとっては「どちらなんだ」ということで難しい選択ですね。さて、今回はVTIに関わるご質問を紹介します。
楽天VTIにプラスして米国VTIを買うメリットは?
こんにちは、さっかんと申します。最近積立てNISAを知り始めようかと思ってます。
たばぞうさんのblogを読み米国株式に興味を持ち楽天のvtiとvooを(7:3程度の割合で)積立てて行こうかと思っています。
ただ、今現在使用用途が特に決まっていない貯金が300万程度あります。これで、本家Vtiを2年程度かけて買っていこうかとも思っているのですが、楽天vtiを積立てながら本家vtiを買うメリットってあるのか?って自問自答しているところです。
お忙しいと思いますが、アドバイス頂ければ嬉しいです。宜しくお願いします。
楽天VTIだけで良いと思いますよ
結論から書きます。楽天VTIだけで良いと思いますよ。理由がいくつかあります。
- 外国税額控除の手続きが面倒
- 税の繰り延べ効果が期待される
この2点です。
外国税額控除の手続きが面倒
米国株投資をしていて、ほかにも配当収入が積みあがっているならば、外国税額控除による米国源泉徴収課税に対する確定申告は必要です。数千円レベルならばともかく、何万、何十万となるならばきちっとやっておきたいですね。
しかし、そうではない場合、配当が少ない場合は手間でしかありません。申告という自分の労働時間に対するリターンが薄いと判断するならば、放棄するのも手でしょう。
その点、楽天VTIはそのまま外国源泉徴収課税を逃れることはできません。控除の申請もできません。いわばハナから捨てているわけです。逆に迷うこともないですね。投資額が少なく、ほかに株式も無い場合は、買い付け手数料も低額だと割高になる米国ETFは、少額投資だと少々扱いに注意が必要になります。
税の繰り延べ効果が期待される
楽天VTIは分配金を出しません。そのまま再投資してくれます。つまり、配当分離課税の約20%分に関しては税金がかからず、そのまま繰り延べをしてくれるということになります。
もちろん、いずれ取り崩して現金化することもあろうかと思います。その際には税金がかかることになりますが、それでも効果は大きいですね。
反面、投資の醍醐味の1つである分配金を得るというということがありません。そこは少々残念かもしれませんが、キャピタルでそこは補っていくということになります。
楽天VTIのリスク
株価の乱高下やリセッションを除いた、楽天VTIのリスクは以下の2つです。
- 償還リスク
- トラッキングエラー
運用額が少なく、運用が成り立たない場合には償還と言って資金を現金化して顧客に返すという流れがあります。長期投資を狙う際にはいかに償還リスクの少ない投資信託を選ぶかということですね。しかし、楽天VTIは下表を見る限り大丈夫でしょう。
つぎに、トラッキングエラーです。指数に正しく連動するのが投資信託ですが、それからあまりに大きく乖離するようだと、狙ったリターンが得られません。指数に魅力を感じて買ったのに、指数を無視した動きをするというのは非常な問題です。
ただし、発足したてのころはちょこちょこと乖離がありましたが、最近ではそれも落ち着いてきています。
現状から判断するに、大きな乖離リスクも薄くなったと言えるでしょう。質問者さんの場合は、投資もこれからというところですから、安心して楽天VTIを選ばれたら良いと思いますよ。
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iDeCoを楽天VTIの積立にするならば、楽天証券一択ということになります。2017年までは海外投資と言えばMSCIコクサイ連動でしたが、2018年のつみたてNISA導入に伴いガラリと事情は変わりました。
楽天VTを選好する人もいますね。VTは一本で全世界への分散投資を可能にする米国ETFです。日本では非常に人気がありますが、米国では運用総額ランキングで60位ぐらいに落ち着いています。ただ、運用総額は上昇傾向です。
楽天VTIの解説です。私はすべての投信のなかでこちらの商品が最も良いと考えています。初期はトラッキングエラーが頻発していましたが、運用額が大きくなるにつれて落ち着きつつありますね。