投資の大原則~人生を豊かにするためのヒント~
『ウォール街のランダム・ウォーカー』のバートン・マルキール氏と『敗者のゲーム』のチャールズ・エリス氏による、共著をご紹介します第2版であり、それも2018年の発刊です。そのため、すでに読まれている方も多いかもしれませんね。
私もかなり前に買っていましたが、積読状態でなかなか読めていませんでした。このたび、ようやく目を通すきっかけを得ました。改めてここでご紹介したいと思います。
まず貯蓄を始めよう
すでに投資をしている人にも、これから投資する人にも読んでほしい本、ということです。そして、「まず貯蓄を始めよう」ということで章立てされて書かれています。とっつきやすい入りですね。
若いうちからの貯蓄が説かれています。複利の効果を最大に得ようと思うと、スケールが無いと難しいからですね。
仮に40年間、過去の米国株の利回りである6.7%で運用すると10万円ならばおよそ150万円になります。しかし、これが1000万円ならば1.5億になるわけです。このように種銭の大きさはそのままリターンの差であるわけです。
1点面白いと思ったのは、『投資の大原則~人生を豊かにするためのヒント~』では、持ち家を勧めているのですね。米国の場合は多くの地域で年率3%から5%の地価の値上がりがあります。そのため、その選択は至極当然かもしれません。
日本の場合は地価の値上がりしている地域は今でこそ多いです。しかし、やはり地区が限られますね。そういう意味では、全く当てはまるわけではないです。それでも主張するところは面白いです。以下引用します。
- 若い家族は子育てに適したところに住むことができる
- 銀行は収入で返せる範囲しか貸さない
- 住宅ローンには税の優遇策がある。普通の借金とは違う。
- 住宅ローン金利は一般的な借金の金利より低い
このようなことが理由になっています。日本に当てはめてみると、2はやや外れることもあります。それ以外は当てはまりますね。貯蓄を始めよう、といいつつ住宅ローンを組んで、家は買ったほうがいいということです。
シンプルな投資法
次に紹介されているのは、シンプルな投資法についてです。まとめると以下のようになります。
コアサテライト投資
- S&P500に勝てるファンドはほとんどない
- 2008年においてS&P500に勝てたアクティブファンドは1つだけだった
- しかし、マーケットゲームをするのが悪いと言っているわけではない
- 著者自身もバークシャーに投資したり、中国個別株を買っている
- つまり、コアを積み立て投資にして、サテライトで個別株投資をしている
こういうことになります。これは、僭越ながら弊ブログの主張と全く同じですね。VTIやS&P500連動商品をコアにして、個別株などの各種アセットを楽しむということです。
バートン・マルキール氏とチャールズ・エリス氏というと、インデックス投資しかしないのかと思われがちです。しかし、決してそんなことは無いというわけですね。相場を楽しむという姿勢も大事です。
対象と時間の分散「間違った時期に、全財産をつぎ込む悲劇」
1に分散、2に分散、3に分散ということで分散投資の大切さについて説明しています。エンロンの社員が、エンロンの持株会で全力投資をしていた話や、デトロイトの労働者が自動車株であるGMにやはり全力投資をしていた話が出てきます。
利回りの面でも魅力であり、補助が出るケースもあるので、やってしまいがちですね。しかし、エンロンもGMも飛んでしまいました。こうなると、老後の生活はもちろん今の生活でさえも危ういですね。
ちなみに本書「投資の大原則」では、株式ETF6割、債券4割というポートフォリオが示されています。
こうした「対象の分散」だけでなく、「時間の分散」も説かれています。
時間の分散と言えば、ドルコスト平均法ですね。定額定期つみたて法です。ドルコスト平均法は上昇相場では弱い方法ではあるのですが、やはり2000年や2008年のような危機を避けるには役に立つということですね。
私も投資歴が長く、その時の様子をよく知っています。そのため、弊ブログでは時間分散は必須と考えています。特に投資慣れしていない人は、損失に対する耐性も高くないことが多いので、とにかく守りから入ったほうがいいですね。
まあ、考え方なので一括投資でやりたい人はやればいいんですけどね。矛盾していますが、私も若いころはそうでした(笑)
おすすめのインデックスファンド
本書「投資の大原則」では、おすすめのインデックスファンドとしてラッセル2000とラッセル3000をベンチマークとした商品を勧めていました。これも面白いと思いましたね。
S&P500は言わずと知れた大型株ベンチマークですが、そうではないというわけです。つまり、小型株、成長を取り込んでいこうということです。ブラックロックとバンガードの商品ならば以下になります。
- ラッセル2000【IWM】
- ラッセル3000【VTHR】
たしかに、ラッセル2000のほうが20年チャートだと倍近くパフォーマンスに優れるのですね。
ただ、この5年ほどは大型株指数であるS&P500のほうがリターンに優れています。これはGAFAなどのIT大手が非常に大きくなってきており、有望な企業のM&Aに積極的なことと無縁ではないでしょう。
実際、ダウ・S&P500・Nasdaqの3指数は高値更新をしていますが、ラッセル2000・3000といった小型株指数は高値更新をしていません。昨今著しい、この指数の乖離はやや気になるところですね。
- 作者: バートン・マルキール,チャールズ・エリス,鹿毛雄二,鹿毛房子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2018/07/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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最後はやや話がずれましたが、年に何度か読みたい良書になっています。
関連記事です。
噂のラッセル2000指数に関してはこちらです。
従業員持ち株会は相応のリスクがあるというお話ですね。魅力的なディスカウントがあることも多いので、そこはバランスでしょう。
上場前のストックオプションは資産ステージが一気に変わる可能性を秘めています。