たぱぞうの米国株投資

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個人と法人、どちらで資産運用するのが良いのか

個人と法人、どちらで資産運用をするのが良いのか

 永遠のテーマではありますが、個人と法人どちらで資産運用をするのが良いのでしょうか。資産が大きくなってくると直面する課題ですね。それぞれメリットがありますが、私は今は法人に比重を置いて運用をしています。

 

 ただし、個人の分離課税を始めとする税制はメリットが大きく、相続を考慮しないならば個人での運用にも積極的だったでしょう。いずれにしても完全に2者択一ではなく、良いところをそれぞれ使うというのが正解です。NISAはその典型ですね。

 

 さて、今回は個人と法人での資産運用についてご質問を頂いています。

NISAの魅力が大きいため、個人と法人での運用で迷う

たぱぞうさん、初めまして。

 

 昨年の夏頃にブログを見つけてから毎記事、拝読させて頂いております。皆さんのステータスの高さに驚かされながらも、各質問者様の目的に合わせて回答する、たぱぞうさんの知識量の多さにも感心させられます。

 

 今回は新NISAで個人の非課税投資枠が増えるに伴い、役員報酬設定を含めて質問させて頂きたく初めてメッセージをお送りさせて頂きます。

 

プロフィールと現状

・31歳
・1人で個人会社を経営
・会社の粗利:約1,000万円/年
・役員報酬 :492万円(41万円×12ヶ月)
・現行NISAで日本個別株:約120万円運用中
・生活費:25万円/月 前後
・残りは投資と貯金に回している
・独身(同棲)、子供の予定無し

目的

・会社の資産を運用したい(定款変更済、証券口座開設まで完了)
・値上がり益よりも配当等で中長期的に安定した収入が欲しい

背景
・今の事業は流行り廃りが激しい業界のため、2,3年は売上を維持できても5年後は怪しい
・新規事業に投資して取り組むことも出来るが、従業員を雇うのはストレスがかかり避けたい
・いける所まで既存事業を地道に続けて資産運用に投入しつつ、資産運用で地道に収益を積み上げたい
・大金持ちになりたい欲よりも、何もしなくても生活できる不労所得を得たい欲の方が強い

質問

①新NISA開始で非課税投資枠が増えるので、役員報酬をアップして新NISA枠MAX(360万円/年×5年)まで個人で投資すべきでしょうか?それとも、無理に個人所得を引き上げずに法人と半々程度がよいでしょうか?

ざっくりと計算した所、

パターンA

  • 会社粗利:1,000万円
  • 役員報酬:492万円
  • 会社税引前純利:508万円
  • 法人税:123万円

税引前純利ー法人税 = 会社純利益:385万円

  • 役員報酬:492万円
  • 個人所得税:113万円
  • 役員報酬ー個人所得税 = 個人手取り:379万円
  • 個人生活費:300万円
  • 個人手取りー個人生活費 = 投資可能額:79万円

税金合計:236万円

  • 会社純利益:385万円
  • 個人投資可能額:79万円
  • 純利+投資可能額:464万円

パターンB

  • 会社粗利:1,000万円
  • 役員報酬:900万円
  • 会社税引前純利:100万円
  • 法人税:29万円

税引前純利ー法人税 = 会社純利益:71万円

  • 役員報酬:900万円
  • 個人所得税:237万円
  • 役員報酬ー個人所得税 = 個人手取り:663万円
  • 個人生活費:300万円
  • 個人手取りー個人手取り = 投資可能額:363万円

税金合計:266万円

  • 会社純利益:71万円
  • 個人投資可能額:363万円
  • 純利+投資可能額:434万円

以上のようになりました。

 パターンAとBでは、年間30万円ほど多く税金を支払う形になりますが、仮に5年間でNISA枠 1,800万円を埋めた場合、その後10~30年にかけてその1,800万円の投資分から得られる配当や売買益の税金を考慮すれば悪くないのかなとも思います。

 

 また、5年間役員報酬を限界まで引き上げて、新NISA枠が埋まった次の決算期から最低限の生活費の300万円/年に設定すれば、ある程度それまでのコストも相殺できるのかなとも。

 

 一方で投資資金が少ない初期段階で年30万円×5年の合計150万円を投資ではなく税金として失うのも地味に痛い気もしています。

 

 このような理由でどのように設定すべきか、迷っております。

 

 売上や粗利、生活費が今後5年間一定という前提の元でぜひ、たぱぞうさんのアドバイスをお聞きしたいです。

 

 お忙しい所、お手数をおかけしますが、ご回答頂けますと幸いです。

 よろしくお願い致します!

個人と法人での資産運用は不確実な要素を入れずに考えたい

 株式に関する運用益は不確実性が高いので、ひとまず置いて考えるとよいでしょう。マーケット環境に左右されるからです。

 

 この場合シンプルに、税金と社保負担で考えるということです。

個人と法人、どちらで資産運用するのが良いのか

個人と法人、どちらで資産運用するのが良いのか

 その考えで収益規模に配慮すると役員報酬を抑えたほうがいいです。理由は確定利益になるからです。

 

 NISA分に関しては経営状況を見ながら事前確定届出賞与で対応するのが良いでしょうね。事前に決めすぎると、業績がぶれるため難しい面もあると思います。

 

 大まかですが、法人で株式を運用するメリットは以下になるかと思います。

  • 株式の収入を事業収入と合算できる。逆に言うと黒字経営ならば投信など課税機会を繰り延べできるほうが良い。
  • 相続時に不動産などと組み合わせて検討することができる。
  • 欠損の繰り越しが9年ある。
  • 関連経費が計上できる

 ご存じとは思いますが、上記になります。

 

 この場合は何が何でも早くNISA枠を埋める、ということにはならない、すでにある法人という器を有効活用する、ということになろうかと思います。ケースバイケースなのは事実ですけどね。

 

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