1億円を資産運用で貯めるということ
1億円を資産運用で貯める、あるいは作るのは簡単なことではありません。しかし、私自身が長く資産運用に取り組んできた中で、これほど1億円を作るのが簡単に感じられる時代もありません。つまり、今の時代に生きているだけでチャンスなのです。
かつては「億り人」などといわれ、1億円を資産運用で作った人はそれなりの賞賛と物珍しさがあったように思います。しかし、今はどうでしょうか。億り人だけでなく、FIRE、セミリタイア、といった資産運用の成功者を表現する言葉があります。枚挙にいとまがないと言ってよいほどです。
しかもそれは、宝くじのような類まれな特殊な例ではありません。普通の市井の投資家でも達成可能なものです。
背景にある投資商品の種類の多さ、上昇幅は歴史上類を見ないほどです。一方で、情報の陳腐化も激しいです。しかし、株式投資や不動産投資のように100年以上の歴史を持つ投資も健在です。
それでは、我々はどのような商品に投資をし、どのような目線を持っておくのが良いのでしょうか。今日はこうしたことを意識しながら、1億円を資産運用で貯めるということで記事を書いてみます。
一律に論じるのは無理がありますが、そこを乗り越えて一般化しています。例外を取り上げるときりがないからですね。
用語は以下のようにしています。
- 軍資金=初期投資額
- 期間=1億円を得られるまでの期間
- CF=手残りとなるインカム
- 属性=仕事や年収
また、特別な経験や知識がなくても取り組みやすいものという目線で書いています。早速見てみましょう。
1億円を株式の資産運用で貯めるということ
まず、参入障壁が低く、誰でも始められる方法として株式投資によるものがあります。投資信託やETFはバックテストが比較的用いやすいので、ここではVTIなどの米国系指数を念頭に考えてみましょう。
- 軍資金 不要
- 期間 20年~30年
- CF 1%~2%
- 属性 不要。ただし入金力は必要。
- 難易度 低
仮に、年率4.8%の利回りで20年運用するなら、月に25万円必要です。
21世紀以降の年利回りである8%で20年運用するならば、月に17万円です。
この10年の年利回りである13%で20年運用するならば、月に8.5万円です。
投資信託やETFの積立投資で1億円の資産を作るのは、時間が必要になります。しかし、誰もが手金なしに、特別な下調べなしに取り組めるのは大きなメリットです。
もちろん、30年に設定すればもっと確実性を高めることができます。入金も激減しますね。これは、複利が働くからです。初期投資をしていればもっと早くなるということを意味します。
いろいろな資産運用がありますが、最も手軽で効率の良い投資の1つが株式投資です。これからも多くの人にとって資産運用の柱となり続けるでしょうし、その期待に応えるものと確信しています。
1億円を不動産投資で貯めるということ
次に不動産投資で考えてみましょう。こちらも時代によって前提条件が大きく異なりますので、仮条件を設定して考えてみます。
- 軍資金 4000万円
- 期間 20年~30年
- CF 2~3%
- 属性 年収600-1000万円以上が望ましい
- 難易度 中の上
地域にもよりますが、全国的に融資が厳しいのは共通します。年収の10倍が借り入れできる総額と考えることもできますが、それを言うと1億円の物件を1棟買うと終わってしまいます。複数の金融機関が使えるとしましょう。
シンプルに土地値が1億円となるような物件を買います。前提としては土地値が値下がりせず、なおかつ利回りも7-8%は取れるような首都圏、あるいは外縁部です。もちろんそれ以上の利回りが取れればよいですが、ほとんどありません。都内は7%も難しいでしょう。
うんと都心にすれば土地のキャピタルが取れるかもしれませんが、利回りが厳しいです。かといって、都心から離れると人口減少に伴う地価の不安定さがあります。
例えば、1億のアパートで土地建物が5千万ずつ、このような新築を2棟買えば、ローン返済と同時に1億円達成です。もちろん客付けに困らない立地とプランが前提です。
ただし、難易度は高いですね。まず属性が必要ということと、初期投資額が2割以上必要になるということ、さらにその目線の物件でさえ数が少ないということです。しかし、数年前までは年収の20倍以上借りられた時代もありましたから、状況は流動的ですね。
最大の欠点は、ほとんど事業になりますから、その手間です。ただし、面白みもあるので、好きな人はとことん追求していくことになります。
1億円をBTCで貯めるということ
近年評価を大きく変えた資産に仮想通貨があります。中でもBTCは著名度と流動性において安定的です。
- 軍資金 不要
- 期間 10年?
- CF なし。キャピタルゲインはありうる。
- 属性 不要。ただし入金は必要。
- 難易度 低
BTCの価値を算出するのは難しいですね。例えばEPSのようなものがあるわけではないですし、法定通貨ほどの不変の価値を示していません。法定通貨のような価値の希釈化がないのが強みの1つとなっていますが、変動が大きいです。
逆に言うと、その不確実性が値動きの激しさとなっており、魅力といえばそうです。このうねりをうまくいかせるならば、まさに億の近道になるのでしょう。
一時期言われたように仮に1BTCが1000万円になるならば、10BTCコインを集めるのが目標になります。仮に1BTCが2000万円になるならば5BTCです。今は想像するに難しいですが、実は仮想通貨長者の相談は2021年あたり実に多かったですね。それだけ成功していたということです。
値動きと同様に意識しておかなくてはいけないのが、独特の税制です。個人ならば総合課税になります。一言でいえば使いにくいですね。有価証券はそういう意味でも歴史に揉まれて使いやすくなっています。
1億円を太陽光で貯めるということ
最後に太陽光です。すでにこちらは数が限られ、セカンダリに移行していますから、従前のように10基も20基も集めるのは不可能に近くなっています。しかし、こちらもFIREを可能にした投資ということで触れておきましょう。
- 軍資金 2000万
- 期間 20年
- CF 1~2%
- 属性 年収500万以上
- 難易度 かつては低、今は物件が少ないため高
太陽光の場合は15年ローンが主です。そのため、ローン期間中にCFを出そうと思うと、手金を2割~3割入れたいところです。ここでは手金1割を想定しています。
15年後のローンが切れたとき、1基あたり売り上げが200万円あがってきます。10基あれば年間2000万、5年で1億円達成というシンプルな絵が描けます。ただし、こうなる前に設備償却が切れること、所得が増えることに対して対策を立てておく必要があります。
土地から仕入れて設備を作ったり、懇意の銀行がある人は実際にこれでかなりセミリタイアをされたのではないでしょうか。
1億円を資産運用で貯めるということ
コロナショック前には民泊も可能性としてはありましたね。しかし、コロナ以前から競争過多で収益性が落ち始めていました。難易度は加速度的に高くなっていたといえます。そのためここでは取り上げていません。とはいえ、世情が落ち着き、再び脚光を浴びつつあります。私の友人でもFIREの原資としているケースがあります。
昔からある投資と、新しく生まれた投資、いろいろあります。これからも新しい投資が生まれるのでしょう。大事なことは、時代に合わせて、しなやかに生きるということです。
ここで示した例も、確定的なものではないのです。前提条件が崩れたときに、投資家としての資質が試されるといってよいでしょう。
物事に不易と流行があるということです。その見極めが資産を最大化するということですね。これほど資産運用に恵まれている時代はありません。困難な時代を共に生き抜き、資産運用で毎日をより豊かなものにしていきたいですね。
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