高信託報酬の金融商品は業界の構造上、無くなることはない
インデックス全盛の今、信託報酬の安い良い商品が多くあります。しかし、これらはネット証券などで自分で選定しなくてはならないケースが殆どです。そのため、金融機関の窓販などでセールスをかけられ、それが最初の投資になるということも珍しくありません。
運用会社の収益増は2パターンあります。1つはスケールです。これは米系運用会社によく見られるように、運用総額の大きさが収益につながるパターンです。もう1つは高信託報酬による高収益構造です。運用総額に比して収益が大きい運用会社は、このパターンが当てはまります。
すべての運用会社がスケールを追及できるわけではありません。そのため、高信託報酬の商品というのは今後も出続ける、ある意味では必然と言えます。
これら高信託報酬の商品は金融機関の窓販や、FPにお勧めされることが多いです。運用会社からフィーが出るからです。これらの販路から購入する商品のすべてが悪いわけではありません。
しかし、基本的に高コストです。個人投資家があえて選好する必要が無いものが多いです。資産運用上は避けて通ったほうが良いと言えるでしょう。
さて、今回は独立系FPにおすすめされた高信託報酬の商品の処遇を巡ってのご相談です。
高信託報酬の金融商品は売るか、そのままか、どうするべきでしょうか。
たぱぞう様
この度は初めてご連絡させていただきます。たぱぞう様のブログは日課として拝見させていただいており、日々知識を蓄えるのに大変ためになっております。
さてこの度は今後10年程度でFireを検討しておりますため、現在の資産分散の必要性、また現在のポートフォリオのままで良いのかが気になり、もしご相談にのっていただけるのであればと思いお問い合わせさせていただきました。
簡単ではございますが今の状況を記載させていただきます。
性別:女性(既婚・子なし)
年齢:37歳
勤め先:日系IT企業
年収:1250万
夫:39歳 外資系IT企業勤務 年収1800万
夫婦は財布は全く別にしており、夫は結婚するまで貯金をしていなかったため金融資産としては1000万弱保有している様子。
資産状況
●現金:1300万
●株式:300万(個別株はアメリカ株ですが、ほぼ負けております・・)
●投資信託4300万:ほとんどが積立投資で6年程まえに開始。★は当初買って今はほったらかしで積み立てていない銘柄ですが、平均25%〜30%近くは上がっている印象
●DIAM新興国市場日本株ファンド(月10万積立):現在480万
●SBI・V・S&P500インデックスファンド(月20万積立):現在140万
●eMAXIS Slim 米国株式 S&P500 (月3.3万積立Nisa):現在73万
●eMAXIS Slim 米国株式 S&P500 (idecoで月1.2万積立)2年ほど前から開始で現在の額は分からず
●自社株を月10万積立(補助25%で12万5千円)を2022年7月より積立開始しました。
●キャピタル世界株式ファンド:現在2900万※マンション売却のキャピタルゲインにより独立系FPの勧めで一括3000万で購入
●三菱UFJ国際-eMAXIS Slim先進国株インデックス:現在140万★
●三菱UFJ国際-eMAXIS Slim先進国株インデックス:現在127万★
●ニッセイ日系225インデックスファンド:現在195万★
●ニッセイ外国株式インデックスファンド:現在143万★
●三井住友TAM世界経済インデックスファンド:現在210万★
その上での希望
現在月40万程度積み立てており、1億超えたらFireしようと思っています。恐らくその頃には40代後半で、持ち家ではないので賃貸金額を考えると月40万ぐらいの手取りがあればよいと考えています。
老後は年金が5万ぐらいになりそうですので+35万ぐらいあればよいと考えています。ちなみに子供も1人考えています。(子供ができれば海外でマレーシアやカナダなどで親子留学も検討中)
質問
1.今あるアセットの組み換えや整理、また不動産などのハードアセットへの切り替えなど、今後Fireしてからの人生が長いのですが何か対策として考えられるものはありますでしょうか?
現在上場企業に務めており属性は悪くなく、また以前はずっと大手外資におりましたので今後転職もありかなと思っており、属性の担保はできそうです。前職では3つのワンルームマンション投資話を不動産屋から持ちかけられたのですが、数年後にはCash Flowがマイナスになるものの節税効果があるという話だけでは信じきれず断りました。とは言いつつ属性があるうちに活用したほうが良いと思っています。
2.過去の歴史は当てにならないと分かっておりつつ、過去の成績が良かったキャピタル世界株ファンドを3000万も買ってしまい、信託報酬の高さを考えるとこのままで良いのか若干気になっています。まだ投資から半年ですが、もしご見解ありましたらお願いします。DIAMは新規買付できませんので、このまま書い続けたいと思います。
3.現金保有が多めなので、このまま塩漬けももったいないと思っています。今の円安の状況も鑑みて日本高配当株もありかと思っていますが、もしアドバイスなどございまいたらお願いたします。
4.できれば崩す心配がないよう今から老後まで投資信託で増やし、将来はETFに買い替えて安定した配当で暮らしたいのですが、いつ頃それに切り替えれば良いのかなど何かご意見ありましたらお願いします。
以上多くの質問となりましたが、可能な範囲でご回答いただけましたら幸いです。宜しくお願いします
ご夫婦でご属性が高いので、今後の資産形成は贅沢をしなければスムーズに進みそうですね。
1ですが、不動産も面白いですからチャンスがあれば取り組んでもよいでしょう。体験的にご存じと思いますが、個人所得税率は加速度的に高属性家庭を直撃しますから、よい対策になると思われます。
2は高いですね。組み入れ銘柄は比較的まとも、悪くありません。逆に言うとインデックスでも代替可能です。おそらく独立系FPに相応のバックがあることでしょう。私ならば即売却、他に置き換えます。
投資に見込み違いはつきものですから、決断と実行が大事になります。来た道はいつでも引き返せるのが投資の良さです。
3ですが、今はマーケットも為替も特にチャンスという局面でありません。ゆったりと積み立てていけばよいですね。そういう意味では成熟度の高い株式へのエクスポージャーをあえて高める必要性は薄いと感じます。
4は取り崩しがベストですが、配当目当てということでしたら今から分けてもよいでしょう。理由は、良い商品は成長し続けますから、いずれにしてもスイッチ時に大きく税金がかかります。投資信託のように課税機会を先延ばしにする、含み益前提の商品というのは実は優れているのですよね。
以上になります。積み上げてきたご属性を大事に、これからも投資に励まれると良いですよ。歩まれている方向性に間違いはありません。
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冒頭の運用会社の収益構造は、これをみれば非常によくわかります。
高配当ETFも例外なく低信託報酬を選好したほうがいいですね。
同時に、副業をして収入を増やせるとより運用に余裕が持てます。