たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

ペーパーアセットだけでの手軽な分散投資が可能な時代になった

ペーパーアセットでの資産管理と資産分散

 ペーパーアセットという資産があります。これは以下のようなものがあります。

  • 株式
  • 債券
  • 現金
  • リート

 要は、現金や証券など紙で管理されたものですね。現在はほとんど電子化されています。これに対して、ハードアセットという資産があります。

  • 金(ゴールド)
  • 絵画などの美術品
  • 実物不動産
  • 太陽光発電所

 こちらは、電子化されていないものです。ただし、金や不動産、さらには太陽光発電所、実物不動産などは証券化されてペーパーとしても扱えるように近年ではなっています。商品先物として扱われる、原油などもETF化されていますね。

 

 そういう意味では、かつてのように現金と証券類に限られたペーパーアセットは、かなり実物資産を代替できるようになっています。証券化する、つまりペーパー化すると流動性が増しますから、投資家にとってはよいですね。

 

 小口での出資が可能になったのも、この証券化によるメリットの1つと言ってよいでしょう。

 

 さて、今回はこのペーパーアセットに関してのご質問を頂戴しています。

ペーパーアセットだけでアセットクラスを分散させることはできるのでしょうか?

 たぱぞうさんこんにちは。

 

 毎日勉強になる有用な記事を書いて頂きありがとうございます。
 たぱぞうさんの記事を読むのはもはや私の日課です 笑
 本も拝読させて頂きました。

 

 本題の件ですか、ペーパーアセットだけでアセットクラスを分散させることができるのか分からず質問させて頂きました。

【現在の資産状況】

私:30代後半

  • 米国株 1400万円
  • 投資信託 200万円(emaxis slim S&P500中心)
  • J-REIT 50万円
  • インフラファンド 50万円
  • 預金 500万円

  • 預金 1500万

 この程度の資産額ではまだまだ早すぎるのかもしれませんが、たぱぞうさんがよく仰っている「株だけにしないポートフォリオ」をそろそろ意識してみようと思い、勉強がてらコロナショックで叩き売られていたJ-REITやインフラファンドを購入してみました。

 

 しかし、購入後に思ったのですが、J-REITやインフラファンドは投資対象が不動産や太陽光発電であるとはいえ、どちらもペーパーアセットですし、これでアセットクラスを分散させたと言えるのか疑問になり質問させて頂きました。実際、J-REITの値動きは株式並みに激しいですし。ご意見いただけると幸いです。

ペーパーアセットでの分散投資は可能ですが、目的を明確にしたいですね。

 結論から書きますと、ペーパーアセットだけでの分散投資は可能ですね。リートやインフラファンドへの投資は、実物投資の側面を持ちます。今は歴史が浅いために株式とある程度連動していますが、インフラファンドなどは本来債券的な役割を果たすものでしょう。FITに基づくリターンが明確なペーパーアセットですからね。

 

 分散投資をするにあたって、目的を明確にされるとよいですね。以下のような視点で分散される方が多いです。

リターンを追及して分散投資をする

 1つ目はリターンを追及して分散投資をする例ですね。これは、海外リートや海外長期債の一部が当てはまります。株式以上のリターンを示すリートや長期債があります。

 

 あくまで、過去のデータによるものですが、高リターンを狙ってこれらのアセットに投資をするというのは、1つの目的になりえますね。ただし、高リターンというのは、リスクも高いということですから、分散投資の目的としてはかなりアグレッシブになります。 

ポートフォリオ全体の値動きをマイルドにする

 2つ目はポートフォリオ全体の値動きをマイルドにする目的で分散する例ですね。資産が大きくなってくると、自分の年収以上に一日の資産額が増減することが珍しくありません。

 

 こうなると、値動きがストレスになるケースがあります。ポートフォリオのすべてを株式にせずに、値動きの小さいものをポートフォリオに入れます。そうすることで、資産額の増減をマイルドにするというのが狙いになります。

 

 これは、日米を中心とした先進国債券がその役割を担うことが多いですね。

値動きの激しい株式と、マイルドな債券で分散する

値動きの激しい株式と、マイルドな債券で分散する

 投資信託ならeMaxis Slim先進国債券、米国ETFならばBNDやAGGがよく使われます。チャートの例は、青がSPY、赤がBNDです。それぞれの個性がよく出ています。コロナショックでも逆にやや上げているのがBNDです。

 

 ただし、長期のリターンはトータル債券は株式に劣ることが一般的です。あくまで、資産全体の値動きをマイルドにするための投資です。

主力アセットの逆相関を目指す

 3つ目は主力アセットに対して逆相関性を持たせる例ですね。2つ目のさらに発展版と言えるかもしれません。やや上級者向けになりますが、玄人好みの投資手法になります。 

分散投資ならではの逆相関性を示したSPYとTLT

分散投資ならではの逆相関性を示したSPYとTLT

 かつては金ETFのGLD、今はより安価なGLDMがよく使われますね。また、長期債ならばTLTが株式との逆相関性で人気があります。チャートの青はSPY、赤がTLTです。コロナショックにおいては見事な逆相関を示しましたね。

 

 ただし、逆相関性はあくまで今までそのような確率が高かったという話で、必然性は担保されるものではないですね。

ペーパーアセットでの分散投資のまとめ

 ペーパーアセットは何といってもその手軽さ、シンプルさが魅力です。ほとんどすべての投資対象が証券化されている今、非常に分散させやすくなったと言えます。

 

 ただし、実物投資の魅力がそれで薄れたかというと、必ずしもそういうわけではありません。不動産投資や太陽光投資での魅力は「事業化」というところでしょう。事業化して、投資と節税の両輪で資産運用していくというのも、一つの完成系になりますね。

 

 いずれにしても、今は金融商品が多岐にわたり、情報も得やすいです。自ら学び、考えるタイプの投資家には、非常に恵まれた時代になったと言えますね。

 

関連記事です。

  バンガードETFのリターンを見ると、それぞれの特性が見えてきますね。株式も様々な値動きがあります。

www.americakabu.com

  実業としての運用、こちらもなかなか奥深い面白さがありますね。

www.americakabu.com

  債券ETFならば、BNDが最も入りやすいアセットと思います。投資信託ならばSlim先進国債券ですね。

www.americakabu.com