バランスファンドは決してダメではない
株式と債券の自動化をしてくれる、バランスファンドがあります。かつてはバランスファンドは信託報酬がどれも高く、ダメなものが多かったですね。しかし、昨今は良いものがいくつか出ており、かつてのイメージを覆しています。
時価総額加重平均に基づいたオールカントリータイプもあれば、均等割りで組成した6資産バランスや8資産バランスといった商品もあります。おおむね人気があるのは以下のシリーズですね。
- eMaxis Slim 8資産バランス
- 楽天インデックスバランスファンド
eMaxis Slimシリーズは業界最安信託報酬を目指しており、ファンド選びならばまずSlimというぐらいにブランディングに成功していますね。楽天シリーズはバンガードととの組み合わせでやはり魅力的なETFを包含することで購入者に利便を図っています。
直近のリセッションだと、米国株インデックスがおおむねピークから30%超の調整をしたのに対し、各バランスファンドは20%超に止まりましたね。債券の安定性が幾分クッションとして作用したような形です。
さて、今日はバランスファンドで老後の資産管理をしていきたい、ということでご質問を頂戴しています。
バランスファンドで老後の資産管理をしたいが、信託報酬が気になる
たぱぞうさんのブログで勉強をさせて頂いております。いつも有難うございます。
現在、年間予算の30倍以上の資産が貯まっており、最近は仕事を早く辞めたいと毎日考えるようになったので本気でFIREを考えているのですが、資産運用についてアドバイスを頂ければと思い投稿させて頂きました。
よろしくお願いいたします。
私は現在48歳の独身です。今後結婚する予定もなく、ローン等の借金もありません。
今まで資産運用に慣れておらず少額から積立投信を行っていたため現金比率が高かったのですが、現在はある程度慣れてきたので運用予定資産を60ヵ月かけて積み立てています。現在は予定積立金額の半分くらい積み立てています。
私のアセットアロケーションは、
- 株式(インデックス)30%
- 債券(インデックス)30%
- コモディティ20%
- つみたてNISAやクレジットカード積立てなどの投信やリートETF運用20%
それに加え現金クッション年間予算の5年分以上と考えています。
その中の株式30%と債券30%の部分ですが、コロナショックのときは株式と債券のインデックスファンドを積み立てていましたが、ボラティリティが大きく株式が大きく値下がりしたので債券の積み立てを少なくして株式の積み立てを多くしましたが、そのあと株式が大きく値上がりしたため債券の積立てを多くしてリバランスしました。
そのとき思ったのが70歳を超えてもこんなことができるのか?また、この時は積立金額を変更してリバランスしたが、積立てが終わって資産運用のみとなったときに暴落時はもちろん平常時の際にも売却してまでリバランスができるのか?と考えて現在は株式+債券(インデックス)の部分はグローバルバランスファンドを購入しています。
ただ、FIREを本気で考えたとき信託報酬が気になってしまいました。グローバルバランスファンドの実質信託報酬は、信託報酬の安いインデックスファンドより0.4%程度高く、更にインデックスファンドだと保有ポイントが貰える証券会社もあります。
今まではFIREをしようと思えばできるだろう程度の考えで80%程度の実りがあれば良いやと思っていたのですが、FIREを本気で考えたとき給与収入が0になり、国民年金等の支出も増えるので経費にはこだわった方が良いのだろうかと考えるようになりました。
そこで慣れるまで頑張って、eMAXIS Slimのオールカントリーと外国債券ファンドなどでリバランスを機械的に出来るようにした方が良いのか。それとも保有ポイントはないが、松井証券の投信工房で自動リバランスをして貰う方が良いのか。
はたまた信託報酬が安いETFを利用して機械的にリバランス出来るようになり、暴落時にも少額でも分配金を貰い、現金クッションの減少を少しでも小さくした方が良いか。
やはり無理せずグローバルバランスファンドで運用する方が良いか。このように考えては答えを出すことが出来ずにいます。
投資はもちろん自己責任ということは分かっているつもりですが考えても悩むばかりですので、たぱぞうさんにアドバイスを頂けないかと思っております。無理なお願いではございますがどうかよろしくお願いいたします。
バランスファンドは必ずしもダメというわけではない
そのバランスファンドの信託報酬はたしかにそれなりですね。ただし、もうすでにそれなりの利が乗っていることでしょう。そこから乗り換えるとなると、信託報酬以上のスイッチングコストが発生する可能性がありますね。
また、コロナショックの時に適切なリバランスができていますから、手動でできるぎりぎりまでセルフでリバランスし、いよいよ無理だなと思った段階で乗り換えるというのも可能に思います。
実際、今の70代はかつてよりも若いですから、ご自分が思った以上に長い間メンテナンスはできる可能性もありますね。しかし、病気のリスクなど様々ありますから、断定的には言えません。やはりご自分の心の声が大事ですね。
30年分の生活費をすでに貯められているということで、ご年齢を考えるとほとんどFIREは達成されていますね。年金も出ることを考えると、あとはタイミングということになります。
キャッシュもしっかりとっておきながら、バランスファンドで完全自動化というのも悪くない選択と思いますよ。選ばれた商品は、たしかにそれなりの信託報酬ですが、ダメな商品というわけでもありません。
金融商品は買う入り口が最も大事なのは確かですね。どうしても気になるならば、もやもやするのが一番もったいないですから少額ずつ売り、別のものを買い付けるというのもありですね。
ちなみに私ならば全売却、自分でリバランスをしていきます。おそらく、バランスファンドに手を出すことは当分ないと思います。質問者さんもまだ若く、知識、経験もおありでしょうから、少々もったいなく感じるのですね。ご質問ありがとうございました。
関連記事です。
年金積み立てもある意味では、保険のついたバランスファンドを買っているようなものですね。
株式は特にこの10年のリターンが出色ですね。
株式の爆発力と、債券の安定性を組み合わせたのがバランスファンドとも言えます。