たぱぞうの米国株投資

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コツコツ投資が報われるって誰が言った論争が熱い

「コツコツ投資が報われるって誰が言った」論争が熱い

 Twitter界隈でちょっと盛り上がった話題で「コツコツ投資が報われるって誰が言った」論争があります。元記事はこちらです。私もどちらかというとコツコツ投資家に今はなっていますので、「おや?何かな?」と思いました。

 

「コツコツ投資が報われる」って誰が言った:日経ビジネスオンライン

 

 ただ、最初は私も「そんな考えがあるんだなぁ」ぐらいにしか思いませんでした。しかし、あまりにも多くの人が話題にするので私も改めて読んでみました。やはり自分で原典にあたるというのは大事ですね。

 

 その主張と、それに対する私見を述べたいと思います。ちなみに、この記事を書かれたのは武田健太郎記者、新進気鋭の記者さんですね。懸垂がお好きだそうです。

 

 個人的には該当ビジネス誌の記者に高校時代の友人がおり、妙な親近感があるのですが、まあそれはおいておきましょう。

今の株価は買いか?

 今の上がっている株価の中、コツコツと株を買い集めることについて武田記者はこう述べています。

日本はここ20年ほど、平均1%を切る低成長を経験している。欧米の成長率も足元では年1~2%台。先進国の成長が鈍るなか、現在の株高は一時的な現象と見ることもできる。老後資金の形成に向けた20~30年の視点でみると、いま投資を始める必要性はあるだろうか。

  これはたしかに言われると、その通りなところがあるのですよね。右肩上がりのチャートがこれだけ長く続いた相場経験は私にはありません。そのため、いつも最悪を想定しています。ちなみに、2014年ぐらいから暴落を想定してきました。

 

 長期投資家に鞍替えしてからは、キャッシュポジションのルールに従って淡々と買い増してきました。買わないことによる機会損失と、買うことによる暴落直撃はなかなか悩ましい問題です。

 

 今の株価は買いか?と言われたら

「買いではないかもしれないが、機会損失を恐れてルール通りに買っている」

 と答えます。フルインベストできないのはそういうことです。それを考えるとあながち的外れな意見ではないですね。

コツコツ投資は現実的か?

 2つ目の問題提起が「コツコツ投資は現実的か?」ですね。ここが一番読み応えある文章です。ちょっと長いですが引用します。

 

 バブル崩壊やリーマンショック時の株価急落に動じず、突然の出費で投資資金を切り崩すこともない。雨にも風にも負けず辛抱強く一定の投資を続ける。そんな宮沢賢治のような個人投資家を私は知らない。

 

 長期的なドルコスト平均法は極めてストイックで経済的に合理的な人間を前提としている。NISAやiDeCoをきっかけに投資を始めた人々が、今後30年同じ銘柄に投資を続けるなんて不可能に近い。

 

 「高度経済成長が終わった日本では、相場は上がったり下がったりの連続。長期投資が良いなんて幻想だ。長く持ち続ける事ほど辛いものはない」。バブル期に有名証券会社で活躍した70歳代投資家の言葉が重くのしかかる。

  宮沢賢治が出てきたところで、ちょっと吹きました。こういうちょっと面白い文章、私は好きです。さすが記者さんですね。プロです。

 

 しかし、1個別銘柄に追加投資を続ける人は少ないかもしれませんが、ETFまで広げて考えると人数は増えるのではないでしょうかね。

 

 最後の70歳代投資家の言葉は確かに金言です。ボラティリティの高い日本株、特に個別株を握り続けるのはなかなか厳しいものがあります。ただ、今は日銀やら年金やらの買いが入っており、さらに出口戦略が無いならば右肩上がりのバラ色相場、という可能性もわずかながら残されています。

 

 ちなみに私は米国ETFであるVTIやVYMは永続的に持てるETFだと思っています。何十年と持ち続けて21世紀の宮沢賢治型投資家になりたいです。この言葉、頂きました。

税制優遇は魅力的か?

 ここではとくに確定拠出年金についての話です。確定拠出年金については私も微妙な印象を持っています。下の関連記事をお読みいただければと思います。ただ、私の場合は税制面というよりも今の商品群の魅力の面からの話ですので、ちょっと違いますね。

 

 退職金がそこそこ出る場合は税制上のうまみも薄れるという話ですから、これは商品も含めて様子見だと思っています。

アメリカを参考にされても……というけれど

 これら3つの疑問を受けて、結論です。中略しつつ引用します。

 証券会社にせよ政府にせよ、「長期投資は絶対成功する」という前提に立っている。それが商売だから仕方が無いと言えばそうかもしれないが、やはりどこか一般個人の感覚として受け入れられない部分が残る。

 

 恐らく長期投資を絶対的な正義と見る背景には、投資大国アメリカの影響があると思われる。

(中略)

 日本には少子高齢化という大きな課題があるし、世界経済も新興国の成長や米国の好景気に支えられた時代は終わりを迎えようとしている。株式市場にバラ色の将来は当面見通せない。

 

 しかし、もう10年待てば世界経済の景色も大きく変わっているかも知れない。長期投資の強みは、その名の通り長い時間軸を持っているということ。数年くらい様子見したって問題はない。

  これはその通りですね。そのため、コツコツ投資家は日本株投信だけでなく、海外株、とくに米国株投信やETFを組み入れているということになります。これは日本の投資家に限らず、どこの国でも母国を基本としつつ投資対象国を分散させるのは常識的な投資です。

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 長期投資の時間軸は確かに長いです。ドルコスト平均法が優れた手法であるのは歴史が証明しています。しかし、今のような政治的なリスクが不透明かつ株高傾向な中ではあえて見送るというスタンスもありなのかもしれません。

 

 私はどちらかというと、毎月決まった額を買うよりもグランビルの法則などに基づいて買うタイプなので、本来の意味のコツコツ投資家からは外れているのかもしれません。これは米国株投資だとどうしても手数料が気になるからです。そういう意味では納得できる部分があります。

 

 日本にいながらアメリカ株を買うことは簡単です。ですから、大いにアメリカ市場を参考にし、自分のポートフォリオに組み込んでいけばよいのです。それは私たちの年金を預かる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)もETFを通してしていることです。

 

 今の強い円、豊かな国富で海外資産を買うことは、縮小経済を迎える日本にとって意味があることです。

コツコツ投資が報われるって誰が言った論争についての雑感

 日経という大きなメディアだからこそ、多くの人がレスポンスしたくなるような記事を提供するのは提案性という意味において素晴らしいと思います。今は言論をメディアが独占する時代ではなくなりました。

 

 「ペンの力って今、ダメじゃん。だから選挙で訴えた」とは、都知事選に出馬した鳥越俊太郎氏の言葉です。これは、メディアが言論をかつてのように独占できなくなったという意味においてはそうです。

 

 一方、ブログやニュース記事、Twitterやフェースブックなど様々な情報媒体は全て文字を基本としています。歴史上これだけ多くの人が活字文化に親しんだことはありません。とくに、情報発信者側の数は有史以来最高と言って良いでしょう。

 

 そういう意味では、いわゆる「ペンの力」はますます増大しており、多極化という意味において、カオス的様相を呈しているとも言えます。ささやかながら私もその恩恵に浴している1人と言って良いでしょう。

 

 そうした中、従来型のメディアの記者として、勇気ある、そして提案性ある記事を提供してくれたのではないかと私は思っています。溢れる情報の中にあって大事なことは、1人ひとりが情報の内容を吟味し、練り合うということですね。

 

 そして、情報を知識として蓄え、理解していけばよいのです。

 

関連記事です。

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