インカムの元手はキャピタルゲイン投資で作った
インカムとは、安定的かつ継続的に得られる収益のことです。不動産の家賃収入・金利収入・株式の配当収入などがあげられます。
キャピタルゲインとは、売買差益のことです。5万円で買った株が50万円になれば、45万円の儲けです。この45万円の売買差益のことをキャピタルゲインと言います。
私はしばらくインカム投資を投資活動の中心に据えてきました。もっと言うと、米国株の配当金収入を投資の中心にしてきたということです。2018年の夏以降は再びスポットでの参戦でキャピタルを狙いつつ、インカムを得るというハイブリッドな投資スタイルを取っています。
それ以前はキャピタルゲインのみを取っていました。投資の元手が少なくて、そうせざるを得なかったというのもあります。
その投資手法は、典型的な逆張り投資術であり、たまたま勝ちを重ねることで元手を伸ばすに至りました。しかし、その勝利の法則は絶対と言えるものではなく、運に助けられた面が大きかったように思います。
キャピタルゲインでまずまずの結果を残しながらも、投資に関しての不動の確信が得られたことは少なく、勝負の刹那を生きていたと言って良いでしょう。現在のインカムをくわえた米国株投資はそのころに比べると、おちついて投資をしています。
今では、元手が大きくなり、勝つ投資術よりも負けない投資のほうが大切になったということです。給与で投資の損失を補てんできる額ではないからです。そのため、年に数パーセントの利幅をコツコツと積み重ねるという形になっています。
さて、このインカムゲイン投資とキャピタルゲイン投資に関してご質問を頂きましたので、改めて考えてみます。
インカムゲインとキャピタルゲイン、どちらを狙った投資が良いのか
質問はインカム(配当利益)ではなくキャピタルゲイン(売買差益)に関してです。たぱぞう様は配当利益を重視し、だいたい年利約4パーセントの配当利益入手を目指しているものと考えます。
私もそれに倣い、いわゆる高配当銘柄を中心に保有しています。ただ、利殖のスピードがもう少し早くなればなと。
売買差益狙い銘柄として、今年初めあたりにVを購入し、現時点での時価がUSD7,000.-程度ですが、これ以外にAAPLやUNHを追加し、毎月の投資額(約10万円程度)の半分を費やすことを視野に入れています。
しかしながら、著名な米国株ブロガー諸賢の見解を鑑みると、今まで通り、配当利益に主眼を置いたほうが良いのかなとも。いかがなものでしょう? たぱぞう様のご意見を賜りたく存じます。
ご参考のため、現在の私の資産の詳細は、およそ次の通りです。
金地金 :500グラム弱。
米国株 :現時点での時価でUSD50,000.-弱程度。
毎月の投資額:約10万円~12万円程度の資金を投資(米国株のみ)に費やしています。
主な保有銘柄:BUD, DEO, PM, BTI, RAI, MO, DUK, NGG, T, VOD, V, NOV, JNJです。
※ 目標(というか、希望というか):10年以内にUSD500,000.-にすることです。
宜しくお願いいたします。
インカムゲイン投資の人気株コカ・コーラとエクソンを見てみる
さて、インカムゲイン投資とキャピタルゲイン投資のどちらを取るかということですね。私の場合は、インカムを狙って2010年ごろに安いところを拾っていましたが、昨年大きく売ってしまいました。今は国債利回りを得つつ、中期でキャピタルも狙っています。あとはハードアセットの組み合わせでキャッシュフローを出しています。
さて、長らくインカム銘柄として人気のある、コカ・コーラやエクソンモービルを見てみましょう。この5年であまり上下動が無く、キャピタルゲインが殆ど得られていません。しかし、連続増配を含むインカムを合わせるとそれなりの資産成長をしています。しかし、投資額に対して2倍3倍という数字ではありません。
これは配当含まずですが、5年でコカ・コーラがプラス20%、エクソンが-20%の株価推移です。それに対してS&P500連動のSPYは50%の成長を示しています。
コカ・コーラはともかくとして、エクソンは長らくパッとしませんね。シェールオイルの採掘低コスト化で原油株の地位が変容したのは知っておいて良いですね。タバコ株もESG投資の観点や電子タバコのシェア変動により変容していますね。
結局のところ、個別株である以上、個別株リスクから逃れられないというのは安全に見えるインカム銘柄でもつきまとうのです。原油やタバコ銘柄と言えば、シーゲル銘柄の筆頭格です。インカム投資でも個別株の場合は分散が大事ということですね。
キャピタルゲイン投資だと、大きな利益が得られることも
極端なキャピタルゲイン投資ですと、例えばリーマン直後のバンクオブアメリカやシティグループを買っていれば、何倍にもなっています。新興国の信用不安が起きていた2010年ごろのタタモーターズADRも短期間で2倍以上のパフォーマンスを見せました。
ただし、成長株あるいは逆張り投資の難しいところは、読みが外れて株価が下がった時に、配当利回りという心理的支えが効かないところにあります。配当というのは実現損益ですから、株価が下がっても配当と業績がきちんとしてさえいれば、安心して追加投資ができます。
年率6.8%というのが過去のアメリカ市場における平均成長率です。ただ、今後はこの成長率も鈍化が見込まれています。そう考えると、インカムゲインで4%ないしは5%を着実に狙っていくというのも妥当性がそれなりにあります。
インカム投資では元手の大きさが必要になってくる
ただし、インカムのように読みやすい%の世界になってくると、元手の大きさがモノを言うようになります。資産100万円ぐらいだと、インカム投資での資産形成はなかなか難しいです。
質問者様は、現在の所持金が5万ドル、10年以内に50万ドルという目標があります。月間の追加投資が10万円から12万円ということは、無理のない範囲で年間追加投資がおよそ1万ドルということになるでしょう。
10年で、単純な積立だけだと元金合わせて15万ドルになります。差額の35万ドルをどうするかが投資戦略になります。
- 月の積立 1000ドル
- 元金 50000ドル
- 年利回り 6.8%
これで10年間運用すると、およそ268,889ドルになります。過去の平均的な数字である6.8%では追い付きません。目標の50万ドルを達成するには年利で15.5%で回す必要が出てきます。ETFや配当株で資産形成していくには苦しい目標値ということになります。
ゆっくりと資産形成を狙うのは比較的安全ですが、急速な資産形成はどうしてもリスクがつきまといます。目標額を下げて着実にインカムを積み重ねていくのも妥当性があります。
米国株の場合は多国籍企業で誰でも知るような企業でも成長を続けてキャピタルが狙えるケースが多々あります。ご質問のVやMAもそうですね。また、株価は成長していなくても安定したインカムを得られ続ける企業もあります。公益などはその代表格でしょう。
とはいえ、継続して個別を読むのは簡単ではなく、買った時期がモノを言う面もありますね。こういったことを加味して、誰もができる投資法として弊ブログではETFの購入をおススメしています。
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ここに登場する連続増配の表がインカム投資家にとっては大変魅力なのではないでしょうか。
10%近くのインカムで知られるBDC銘柄ですね。しかし、値動きもそれなりにあります。
バフェット先生が強くお勧めするS&P500連動ETFです。持っておけば、インカムもそれなりに成長してきます。増配するからですね。