- インカム投資とキャピタルゲイン投資とは
- キャピタルゲイン投資においては、特にリスク管理が大事
- インカム投資はキャピタルゲイン投資より、ある程度計算できる投資
- 多少の相場の上下に一喜一憂しないこと
- インカム投資とキャピタルゲイン投資のまとめ
インカム投資とキャピタルゲイン投資とは
インカム投資は、配当や分配金目的の投資です。株式やETF、投資信託などに限らず、不動産の家賃収入や太陽光収入などもインカム投資ということになります。
キャピタルゲイン投資は、値上がりを期待した投資です。例えば100円で買った株が200円になれば、税金分2割を引いて8割が儲けということになります。
この2つはお互いに独立したものではありません。たとえば、高配当銘柄を配当目当てで買っておいたら、株価が値上がりして結果的にキャピタルゲイン投資にもなった、ということがあります。
そういう意味では厳密に分けるようなものではなく、共存させられる性質のものです。ただ、目的によってインカム投資とキャピタルゲイン投資の比重は変わってくるでしょう。
ここで、いくつか箇条書きにしてまとめておきましょう。
インカム投資における収入の例
インカム投資における収入の例をまとめておきます。
- 配当・分配金収入
- 債券利回り
- 家賃収入
- 売電収入
ここには記載しませんでしたが、コインランドリーの使用料金、民泊利用料などもインカム投資における収入に属するでしょう。
キャピタルゲイン投資における収入の例
次に、キャピタルゲイン投資における収入の例をまとめておきます。
- 株式・ETFの値上がり収入
- 不動産における売買益
- 希少金属、仮想通貨などの売買益
投資家にとっては「売買益がキャピタルゲイン」ということで上記の例が最たるものでしょう。特に、この10年はほとんどすべてのアセットが値上がりするという時代でした。
そういう意味では、どのジャンルの投資家も最大限に資産を伸ばした稀有な10年を過ごしたということになります。
キャピタルゲイン投資においては、特にリスク管理が大事
投資というのはスケールメリットがものを言います。100円で投資を初めて、アメリカ株の平均年間リターンである6%を得たとします。すると1年後には106円です。しかし、これが100億だと106億円となります。
これはいささか極端な例かもしれませんが、1000万を超えたあたりからこの効果を実感できることになります。仮に6%の値上がりだと、年間の収入が60万程度、ちょっとしたボーナスぐらいになるからです。
私が1000万円以下の投資資金だった時には、配当などのインカム投資よりもキャピタルゲイン投資を積極的にしていました。やり方は簡単で、不況時に金融株をあえて買ったり、不祥事のあった企業株の底値を狙って買ってみたり、という投資をしていたということです。褒められたものではなく、切った張ったの逆張り投資です。
うまくいけば、配当以上の収入が得られることもありましたが、失敗のリスクも隣り合わせでした。そして、連戦連勝とはいかないのが、逆張りのキャピタルゲイン投資でした。
今にして思えば、こういう株式市場とのかかわり方というのは投資ではなく、投機にあたるもので、ずいぶんと無茶をしていたと思います。しかし、才能と運に恵まれた人は逆張り、順張り問わずキャピタルゲイン投資で大きな資産を築いています。
リターンを大きく狙う投資方法は逆に大きく資産を棄損する可能性があることは肝に銘じておいてよいでしょう。ただ、たしかに当たれば大きく資産を伸ばすことができます。
インカム投資はキャピタルゲイン投資より、ある程度計算できる投資
これに対してインカムゲイン投資はキャピタルゲイン投資よりも計算が立ちやすく、勝ち幅は小さいですが、安定感の高い投資です。投資する国と銘柄の分散投資をすれば、さらに確率は上がります。
JNJ: Dividend Date & History for Johnson & Johnson
連続増配で有名なジョンソンエンドジョンソンの配当履歴です。60年以上連続増配を続けています。このジョンソンエンドジョンソンを仮に2000年に買っていれば配当は5倍になっています。
株価は2000年時点で35ドルです。35ドルで買った株式が、現在年間3.2ドルの配当を出してくることになります。
- 配当利回り=配当÷株価×100
で計算すると、実に今の利回りは9.14%になっています。米国株ではこのような連続増配銘柄がゴロゴロしており、どれも長期で持っていれば信じられないような高配当銘柄化しています。
もちろん、この間にはITバブル崩壊であったり、リーマンショックといった経済危機を挟んでいますので、株価は凸凹したものです。しかし、配当に関していうならばそんなに極端な凸凹はありませんでした。なだらかな右肩上がりです。
インカム投資は比較的計算できるというのはここにあります。毎年の収入が計算しやすいのです。もちろん、個別株は減配リスクがつきものです。特に、原油などのコモディティ関連株は市況の影響を受けやすいです。
しかし、連続増配企業あるいは高配当銘柄企業というのは、その企業の方針として配当に気を配り、株主還元するのが企業価値を高めるとされています。自社株買いなども企業価値を高めるための株主還元の一環です。
こういう信頼できる企業に分散して投資をし、共存共栄の関係を築くこと、それがインカム投資の醍醐味と言って良いでしょう。もちろんいくら増配銘柄だと言っても、一点集中買いはリターンも見込めますがリスクが大きいことは言うまでもありません。
多少の相場の上下に一喜一憂しないこと
米国株投資をしていると、為替の影響が大きいことに気が付きます。例えば50万ドル運用すると、1ドル1円の値動きで50万円動きます。10円動くと500万円です。これに株価の上下がありますのでかなりの値動きがあることになります。いわゆる、為替リスクです。
しかし、こういう上下を気にしすぎるのは意味のないことです。長期で配当をもらい続けていれば、あるいは大きなキャピタルが育ってくれば、いずれは損のしようが無くなる、腰の強い投資になるからです。
特にインカムゲイン投資において気にするべきは配当収入であり、年間でいくらになるのか、そして税金はどうなっているのか、その配当は持続可能なものか、ということです。
なぜならば、外国源泉徴収課税分を確定申告で還付してもらわなくてはなりませんし、場合によっては損だしをして国税分と地方税分を還付してもらわなくてはいけません。税に関して多少の知識を持っておくことは大事だと思います。
インカム投資とキャピタルゲイン投資のまとめ
それぞれの特徴を生かして、バランスの良い投資をしていくことですね。また、個別株の場合はインカム重視だから安心ということもありません。それは、近年で言うならば原油株やタバコ株が教えてくれました。
いずれにしても、資産規模が小さいうちは大きなキャピタルを狙った投資も可能ですが、資産規模が成長してくると両方のバランスをどうしても意識するようになるということですね。
人によっては、ペーパーだけでなく、ハードアセットの分散投資も考えるようになるということです。私もそうですね。どのような市場環境にあっても、持続可能な投資術を模索するようになるからです。広い意味で、「航路を守れ」というのはそういうことだと私は解釈しています。
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