リセッション以後、がらりと変わった投資への取り組み
先日、相場が乱れましたね。久しぶりのことでした。
リーマンショック、コロナショックと経て、はっきりとわかったことがあります。それは、各国中央銀行および政府は景気の維持、株式市場の維持が大命題になっているということです。
21世紀に入ってからのリセッションは、このことを可視化する機会となりました。
「いまさら何を当然のことをいうのか」という感想を持たれるかもしれません。しかし、リーマンショック以前の投資環境は今よりも厳しく、誰もが確信をもって何かのアセットに投資をするということが難しい時代でした。
特に日本株においてはそうで、以下のような特集が投資雑誌でもよく組まれたものです。
- 一攫千金デイトレード入門
- 次のテンバガー銘柄
- 業績期待、爆騰の銘柄10選
このほとんどが当たらなかったわけですが、このようなイチかバチかの投機的な投資をせざるを得なかった時代でもありました。株式指数にそこまで信認がおけなかった時代とも言えます。
今は違います。繰り返しますが、各国中央銀行および政府は景気の維持、株式市場の維持が大命題となっているからです。株式市場の目先の暴落があったとしても、力業で維持されるからです。個別株はともかくとして、株式指数の維持がされる、このことは大きな心理的支えになります。
この流れは、政権交代があったとしても維持されるでしょう。経済危機は政権を不安定にさせ、年金運用を困難にするからです。良いものを続けて長く持ち続ける。弱気相場になると忘れがちですが、原理原則は変わらないのです。
そういう意味では、誰もが安定的に資産運用できる時代になったとも言えます。しかし、同時に通貨の価値は減価するという原則も確認されたわけです。投資はすべての社会人にとって、安心安全な生活を維持するための、必要不可欠なリテラシーになったともいえるかもしれません。
さて、今日は投資の基礎基本ということで、ご質問を頂戴しています。
投資に取り組む時間がもったいないので、楽をしたい
たぱぞう様
唐突なメール失礼いたします。私は30代男性でサラリーマンをしています。直近の投資ブームに肖りデビューした超初心者投資家です。
勉強も兼ねて投資全般について学ぼうということで、NISA口座を開設しとりあえず50万円を元手に日本個別株から始めました。
私生活で馴染みのある銘柄の値動きを追いかけたりと最初は楽しかったのですが、本業との兼ね合いが難しく、また株価の上下に一喜一憂は自分に向いていないと早々に悟りました。
収支もNISA枠を50万円ほど利用し+5万円程度とマイナスにはならなかったものの、たまたま運がよかった、情報収集の労力に対して対価が見合わない、できれば楽してお金を増やしたいと感じました。(たかだか初心者の戯言です。お気を悪くされたら申し訳ありません。)
そこで、たぱぞう様のブログや書籍やYoutube等を漁り納得した上で、切り替えて積立投信にしようと考えています。
楽天証券でデビューさせていただきましたので、まずは楽天・全米株式インデックス・ファンド、eMAXISSlim米国株式(S&P500)あたりにしようと決めました。
前置きが長くなりましたが、本題について...
切り替えようと決めて気になったのがNISAの残り枠についてです。もったいないと思いどのようにしようか思案した結果、以下が思いつきました。
- 購入予定の投信を可能な限り分散して購入し期限までに使い切る。
- NISAの利点を活かしてETF(VOOかVTI)を同じく分散して購入する。
- "若い時の苦労は買ってでもせよ"の諺に従い個別株でもう少し苦労して勉強をする。
初心者丸出しで③に至っては少額でフザけるなとお叱りを受ける内容かと思われますが、何か良い方法があればご教授いただければと思い恥ずかしながらメール差し上げます。
私のような質問はまったくもって稀有で長期運用で見ればこのような事は誤差の範疇で気にする必要もないのかもしれませんが、お時間ありましたらお返事いただければ幸いです。
たぱぞう様をはじめ、様々な媒体の著者皆様のおかげで稚拙な私も投資リテラシーを身につけることが出来ました。
これからも応援しています。拝読いただきありがとうございました。
投資を始めて間もないころに、投資の基本に気づいたのは僥倖
1と2は同じベンチマークであればほとんど同義になります。外国税額控除の手間のかからない、投資信託や東証上場ETFでの米国株購入を最近はおすすめしています。理由は「楽だから」です。
個別株研究は、面白いと思える人がやればよいですね。趣味と実益を兼ねた素晴らしい活動に成長する可能性があります。半面、研究をして知識を得たから良いリターンが生まれるかというとそういうわけでもありません。
米国株インデックス、S&P500や最近ではNasdaqのリターンは、個別株投資の意味を改めて考えさせてくれますね。個別株に投資した時間とお金が、インデックスのリターンに負けることがしばしばあるということです。
「しなくてよい苦労はしないに越したことはない」ということです。苦労をするとか、下積みをするというのが私たち日本人は好きですが、同時に「しなくてよい苦労」もあります。個別株投資の苦労はそれです。別に楽な方法があるのに、敢えて成果の分からない難しいことに取り組む必要はありません。
したがって、これから積み立てようと考える米国株インデックスを今から購入するのがベストですよ。投資の初期段階でこのことに気が付けたのが僥倖と思います。課税口座云々にこだわらず、投資の王道を歩めばよいのですね。
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50歳前後でのセミリタイアは、若いころからの資産形成がしっかりされていれば、決して無理ではありません。