たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

個人年金保険の種類とメリットデメリット

個人年金保険の種類とメリットデメリット

 個人年金保険という金融商品があります。その名の通り、個人で積立をして、年金として払い戻しを受けるというものです。大きく分けて以下の種類があります。

  1. 確定年金
  2. 終身年金
  3. 変額年金
  4. 外貨建て年金

 個人年金保険の種類としてはこのようなものがあります。生命保険会社のこれらの商品に共通する特徴があります。

  • 運用
  • 保険
  • 年金

 この3つの要素が詰め込まれた商品だということです。私たち個人投資家が気にする部分である利回りは「返戻率(へんれいりつ)」という言葉で説明されます。この返戻率は株式などと比べると驚くほど低いです。

 

 これは、運用だけでなく保険や年金などの付加価値がついているからです。私たち日本人は元本割れを恐れるあまりに、通常の感覚からはかけ離れた低利回り商品に手を出しているということです。

 

 これは、本来私たち国民の資産運用の中心をなすべきだった日本株式が振るわなかったことも原因の1つです。また、日本国債の長期に渡る低金利も大きく影を落としています。つまり、保険会社の国内運用先が限られるのです。

 

 個人年金保険は所得控除で実質的な利回りを向上させることが可能ではあります。ですから、所得控除枠を理解し、その枠内でのお付き合いというのが最も旨味があるということです。

 

 全く運用に興味と自信がなく元本を保全することが第一の目的ならばこれらの商品は悪くないでしょう。逆に、多少でも自分で運用ができ、長期での運用を目指すならば自分で資産運用をしたほうが良いでしょう。

 

 個人年金保険のメリットデメリットとはこういうことになります。このことを踏まえて、ご質問を紹介します。

個人年金保険を解約すべきかどうか

たぱぞうさん


 いつも素敵なブログ拝見させていただいています。

 

 先日紹介されていた方と同様自分も最近たぱぞうさんのブログを見るようになり、どのタイミングで投資を始めようか悩んでおりましたので、大変参考になりました。なお、最初はたぱぞうさんに習いVTIへ投資する予定です。

 

 一つ質問させて下さい。

 

 現在奥さんと合わせて3つの個人年金に加入しています。こちらを解約し投資資金にあてたいと思っています。加入期間が短いものが多く、返戻金で大きく損をしてしまいます。

 

 解約後複利4%で運用した場合の試算では余裕で運用益の方が勝るため、損切りと思えばいいのですが、株初心者ということ、現在株高ということ、その2点で躊躇しています。

 

以下保険内訳です。

  • 保険A 年20万積立、継続5年、満期35年、返戻率140%、現在解約損35万
  • 保険B 年23万積立、継続1年未満、満期35年、返戻率121%、現在解約損22万
  • 保険C 年19万積立、継続1年未満、満期20年〜35年、返戻率112%〜135%、現在解約損11万


 解約後、死亡保険がなくなってしまうので二人で年6万ほどの保険に入り直す予定です。質問と言いつつ背中を押して欲しいみたいな内容になってしまい申し訳ないです。たぱぞうさんのご意見を頂戴出来ると嬉しいです。

余分な個人年金保険は解約メリットが大きいです

 私は投資歴も長く、そこそこに経験もあるので株式に対する拒否感というのは全くありません。そうした前提でお読みいただくことになりますが、わたしならば後述の年間8万円の枠を超えるすべての個人年金保険を解約し、掛け捨ての保険に入りなおします。

 

 おっしゃるように返戻率が低いからです。もちろん、米国株は高値圏にあり今後の予断を許さないところではあります。しかし、想定の金額ならばNISAなどで手数料をゼロ円にしながら積み立てていく、そして相場の上下は給与からの追加投資で補てんできる可能性もあります

個人年金保険は将来設計に不要なことが多い

個人年金保険は将来設計に不要なことが多い

 保険はあくまで保険として、用途に応じた使い方をしたい。それがスタンスになります。生きているうえでの死亡リスク、入院リスク、あるいは介護リスクというのは小さいもののゼロではありません。

 

 そのため、万一に備えて保険に入っておくのは悪くない手だと考えます。しかし、生命保険会社はそれだけでは利益が限られますから、あの手この手で様々な付加価値商品を出しています。

 

 たとえば投信などもそれに含まれることになるでしょう。保険を通して投信を間接的に買うのではなく、投信なら競合投信と比べたうえで購入するのが最安の買い方ということになります。

 

 付加価値の付けすぎた保険商品は複雑でその中身が分かりにくいために、内部で大きな手数料を得やすいという特徴が同時にあります。つまり、どれだけの積み立てで、どれだけの手数料を取っているのかが不透明なのです。

 

 こうしたことを踏まえると、私ならば目先の数十万は学習代として諦めるということになります。しかし、株式での負けはこの程度の金額では収まらない場合もありますから、そうしたことを念頭に置いて相場の世界に親しむというのが一応の結論となります。

個人年金保険の控除枠とはどのようになっているのか

税区分 年間の支払保険料額 控除金額
所得税 20,000円以下 支払保険料の全額
20,000円超 40,000円以下 (支払保険料等×1/2)+10,000円
40,000円超 80,000円以下 (支払保険料等×1/4)+20,000円
80,000円超 一律40,000円
住民税 12,000円以下 支払保険料の全額
12,000円超 32,000円以下 (支払保険料等×1/2)+6,000円
32,000円超 56,000円以下 (支払保険料等×1/4)+14,000円
56,000円超 一律28,000円

 このようになっています。つまり、年額8万円以内の枠でのお付き合いが個人年金保険に関しては旨味があるということです。これは生命保険とは別枠です。控除は使いようで、暮らしを豊かにします。

 

 ご質問ありがとうございました。

 

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