たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

ファイザー【PFE】は米国最大の製薬会社、配当利回り高め

ファイザー【PFE】は世界トップクラスの売り上げを誇る製薬会社

  ファイザー社は1850年にドイツ移民であるチャールズ・ファイザー氏とチャールズ・エアハルト氏によって設立されます。

 

 飲みにくい寄生虫薬にフレーバーを混ぜて錠剤にしたり、南北戦争の北軍に多くの医薬品を納入することで徐々に業績を伸ばします。当時のアメリカは化学分野がまだ弱く、ファイザー社のつくる特殊化学薬品は価格競争力もあり、よく売れました。

 

 1928年にアレクサンダー・フレミング氏によりペニシリンが発見されます。ペニシリン、青カビから出る汁の殺菌作用は強力で、それは医療分野での応用が期待されるものでした。ペニシリンの量産化に成功したのがファイザー社です。

 

 そのため、第二次世界大戦でのペニシリン需要の殆どをファイザー社が担いました。その後、1950年にはテラマイシンを開発し、それが初めての自社での販売製品となります。それ以前はファイザーの作ったペニシリンなど医薬品を他社がブランドをつけて販売していました。

 

 テラマイシンの成功により、名実ともに大手医薬品メーカーとなります。時期を同じくして海外進出を果たし、かなりの部分を海外部門が売り上げるようになります。

 

 また、企業買収にも熱心です。有望な新薬を開発した製薬会社をそのまま買収する手法は「ファイザーモデル」とまで言われ、会社の発展に寄与しています。

 

 この手法は今のアメリカ企業全体に広がっています。有望な企業を買収し自社の一部門にしたり、シナジー効果の薄い部門を切り離して分社化、あるいは売却して米国企業は常に収益性を高めています。米国でM&Aが盛んなのはこういう投資カルチャーであり、経営方針だからと言えます。

 

 年商10億ドル以上の新薬をブロックバスターと言います。大きな年商を上げるブロックバスターを開発することは大変難しいです。実際にファイザーも21世紀に入ってから本体単体で開発したブロックバスターはありません。だから買収に熱心だとも言えるでしょう。

 

 製薬業界は3つの新薬に関わる問題を抱えています。

  1. ブロックバスターをなかなか開発できない
  2. ブロックバスターを開発しても、特許切れで後発医薬品との競争にさらされる
  3. ブロックバスターなど新薬の予期せぬ副作用とそれに伴う訴訟リスクがある

  以上の点から、吸収や合併による収益の確保が課題となっています。ファイザーの場合は2014年のアストラゼネカ買収提案が記憶に新しいところです。

 

 結局、グラクソスミスクラインとコンシューマーヘルスケア部門で合弁、今後の行方に注目が集まります。この部門に関しては数年来の売却の方向がようやく固まったということで、朗報と言えるでしょう。

 

 主な特許切れ案件は、2017年のViagra、2019年のLyricaというところですね。現段階ではPrevnarが売り上げの10%以上を占めており、やや特定の商品に偏りがあるのが気になりますが、ファイザーに限ったことではありません。むしろ、よく分散されているほうです。

 

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※画像はファイザーのホームページから

ファイザー【PFE】の配当とチャート

ファイザーの株価推移

ファイザーの株価推移

2006年8月  株価27.5ドル 配当0.24ドル

2016年5月  株価34.7ドル 配当0.3ドル

2018年11月 株価43ドル   配当0.34ドル

 

 10年以上の長期チャートで見ると、株価も配当もおおよそ1.5倍というところです。リーマンショック直前には0.32ドルの配当がありました。しかし、直後には0.16ドル、つまり半減しています。

 

 ようやくその時の減配分を10年かかって回復しました。株価は停滞、横ばいのイメージが強かったのですが、この直近の2年で随分伸びた印象です。

 

 FDAにより長らく認可が下りなかった遺伝子疾患薬タファミディス、これが特定の心筋症に著効とされ、年間の売り上げはピークで20億ドル以上が見込まれています。このままいけば、久々のブロックバスターになります。この期待もあって、株価を押し上げました。

ファイザー【PFE】の基礎データ

 続いて基礎データを見てみましょう。

売り上げと利益

ファイザーの売り上げと利益

ファイザーの売り上げと利益

 一時期伸び悩む時期があり、再編していました。そこから数年で復活してきましたね。恒常的に高い営業利益率も目を引きますが、純利益の回復基調は注目されてよいですね。経営改革が軌道に乗りつつあります。

配当と配当性向

配当と配当性向

配当と配当性向

 前述のようにリーマンショック後に減配をしています。その後は右肩上がりで、10年かかって元の配当水準に戻してきました。ペイアウトレシオはやや高めで、不況時に配当が維持できるかどうかは注意が必要です。

BPSとEPS

BPSとEPS

BPSとEPS

 よく復活してきましたね。EPSの回復がやはり株価には直に効きますね。30$近辺でもたついていた株ですが、この業績回復で一気に40ドル半ばまで伸びました。BPSは殆ど横ばい、あまり気にしなくても良いでしょう。

キャッシュフロー

キャッシュフロー

キャッシュフロー

 研究開発費が兆円単位で、大きくかかる割にはフリーCFはしっかり出ています。基本的には利益が出やすい企業体質ですね。とはいえ、フリーCFに関しては殆ど横ばいになっており、成熟企業らしい推移です。

ファイザー株のまとめ

 競争の激しい業界です。また、一つのブロックバスターが社の運命を変えることがあります。政治的な影響も大きいです。後発医薬品が関わる特許の期間や、高価な薬価も政治が関わるところです。

 

 そしてアメリカに限らず医療費抑制はほとんどの国で喫緊の課題になっていることから、やり玉に挙げられやすいと言えるでしょう。それらの不確実要素をチャンスとみるかリスクとみるかで投資するか否かが決まります。

 

 いずれにせよ、M&Aが大きな意味を持つ業界ですね。

 

関連記事です。

 ヘルスケアセクターは浮沈が激しいところがあります。しかし、セクターとしては成長性がありますので、ETFで買い参入するというのは妥当性のある選択になりますね。

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  動物向けの製薬会社、ゾエティスの記事です。ここはもとはファイザーの一部門がスピンアウトしたものです。業績は良いですね。動物向けというところでニッチであり、より利益が出やすい体質になっています。

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  こちらでおススメしている証券会社ならば、有名どころの米国株は殆どすべて買うことができます。

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