パロ・アルト・ネットワークス【PANW】のシンプル銘柄分析
パロ・アルト・ネットワークス【PANW】は2005年にカリフォルニア州サンタクララに設立されたアメリカのサイバーセキュリティ企業です。
2012年7月にNYSEに上場しました。
同社は2007年に最初のファイアウォールを製造、出荷し、世界で初めて「次世代ファイアウォール」という名称を打ち立てブランド化しました。
ファイアウォール(Firewall)とは、企業などの内部ネットワークにインターネットを通して侵入してくる不正なアクセスから守るための"防火壁"です。
次世代ファイアウォールとは、世界ではじめてアプリケーション制御機能を搭載したファイアウォールのことです。アプリケーションの識別と制御、コンテンツのスキャンによる脅威の防止、データ漏れの防止、アプリケーション、ユーザー、コンテンツの可視化を実現します。
サイバーセキュリティは今やどんな事業においても欠かせない事業要件です。結果、世界150カ国以上の様々な業界で85,000件を超える顧客がいます。
ファイアウォールのような商品は、一度利用すると極端なセキュリティホールが存在するとか、ものすごく値段が上がるというようなことが無い限り、スイッチングに時間とお金がかかります。
よって、一度獲得した顧客は、バージョンアップ後も利用し続けてくれることが多いです。近年はサブスクリプションサービスに力を入れており、収益の約74%をサブスクリプションサービスとサポートが占めます。
出典: パロ・アルト・ネットワークス 2021 Annual Report
パロ・アルト・ネットワークス【PANW】の株価チャートと配当
5年チャートを見ると、水色のS&P500を大きくアウトパフォームし、約5.5倍に成長しています。
出典: US版 Yahoo Finance
現時点では無配企業です。無配の理由は後述します。
パロ・アルト・ネットワークス【PANW】の基礎データ
- 本社: カリフォルニア州サンタクララ
- ティッカー: PANW
- NYSE上場
- 決算期: 7月末
パロ・アルト・ネットワークス【PANW】の売上高と利益
売上高は成長していますが、2012年を除き営業赤字が続いています。当然純利益もマイナスですから、配当が出ないのは当然と言えるでしょう。
パロ・アルト・ネットワークス【PANW】のBPSとEPS
赤字企業ですから、EPSがマイナスで推移していることには合点がいきますが、BPSが増えるのは不思議です。
なぜなら、EPSから配当を出した残りがBPSに加わるわけで、EPSがマイナスならばBPSは減るはずだからです。これは”BPS”故の増加でしょう。
自社株買いで株式数を減らせば、仮に全体の純資産が大きく変化しない場合、BPSは上昇します。実際FY2019以降は自社株買いをそれなりに実施しており、FY2021にも実績があります。
出典: パロ・アルト・ネットワークス 2021 Annual Report
パロ・アルト・ネットワークス【PANW】のキャッシュフロー
赤字企業でもフリーCFは潤沢です。
これを用いて米国企業らしく、毎年のようにM&Aを実施し、人材・技術・顧客を獲得しています。
2021年3月にはクラウドセキュリティー・プラットフォーム開発のブリッジクルーを1億5690万ドルで買収しています。
パロ・アルト・ネットワークス【PANW】の課題は黒字化
売上高と営業利益のグラフでも述べたように、現時点でパロ・アルト・ネットワークス【PANW】は赤字企業です。理由はシンプルで、研究開発とセールス&マーケティングにお金をかけているからです。
実は、プロダクトとサービスの粗利率は非常に高いです。
しかしながら、研究開発とセールス&マーケティングの費用が粗利とほぼ同じになっているため、営業赤字となっているわけです。
これは、パロ・アルト・ネットワークス【PANW】自体がきちんと認識していて、Annual Reportには次のような記述があります。
「当社にはロスの履歴があり、(中略)。累積赤字がある。(中略)事業を成長させ続けるため、当面は営業費用が増加し続けると予想される。」
上場から10年が経過しようとしていますが、いまだ成長過程だということでしょうか。
株価のパフォーマンスがよく、時価総額の水準としてはS&P500に採用されてもおかしくありませんが、S&P500は赤字企業を採用しませんので当面インデックス採用銘柄になるのは難しそうです。
が、営む事業に対する需要は今後も好調に推移するでしょう。未来のS&P500採用銘柄として少し買って気長に待ってみるのも面白そうです。
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