グラクソスミスクライン(GSK)の事業内容と歴史
他の製薬会社がそうであるように、GSKも合併を繰り返してきました。古いところは1715年のプラウ・コート・ファーマシーまでさかのぼることができます。
グラクソ、は1906年の粉ミルクの商標です。
スミス、は薬局経営者のジョン・K・スミス氏から。
クライン、はその薬局に経営参加した、マーロン・クライン氏から。
いずれも19世紀から20世紀初頭にかけての話です。その後たくさんの吸収や合併を経て会社を大きくしていきます。現在の社名は2000年のグラクソウェルカムとスミスクラインビーチャムの合併で生まれました。
2016年時点での売上高の世界ランクは5位です。2009年では4位となっています。
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/9102/
これからも特許や特許切れなどを絡めつつ、業界地図は変わり続けるのでしょう。しかし、GSKはこれからも世界を代表する名門製薬会社であることには変わりありません。
※画像はGSKホームページから
グラクソスミスクライン(GSK)のチャートと配当
なかなか微妙なチャートと配当をしています。1990年代との比較であれば株価も上がっていますが、2000年以降であれば株価も配当も大して上がっていません。
2001年4月株価53ドル 配当0.3ドルぐらい
2016年4月株価42ドル 配当0.6ドルぐらい
2017年4月株価41ドル 配当0.5ドルぐらい
グラクソスミスクラインは配当が結構ばらつきあります。業績を意識した配当であることと、為替の影響を受けていることが原因です。
今後10年持ち続け、1.5倍のリターンを得られるかどうか。ここが投資の分かれ道になりそうです。今の配当と業界での地位があれば、リターンは得られると判断して私は投資をしています。
配当だけで5%を超えていますから、株価が上がらなくても達成できるのではないでしょうか。ただ、今後製薬業界全体含めて買い増しはあまり考えていません。
理由は2つあります。
1つは製薬業界の競争が激しく、特許切れで利益ががくんと落ちること
2つは製薬業界の利益は意外と政治に左右されやすいこと
特許切れに備えて新薬開発をするわけですが、ガンやリューマチ、各種難病などの新薬は簡単ではありません。メジャーな病気に対する薬は出尽くしたという意見もあります。
政治に左右されやすいというのは、老人医療費問題と関係します。どの国も削りたいけどなかなか削れないのが医療費で、そのためにジェネリックへの切り替えをあの手この手で行っています。
もっとも、こういう要因から株価は上がっておらず、逆に買場かもしれませんけどね。
グラクソスミスクライン(GSK)の基本データ
ティッカー:GSK
本社:イギリス
来季予想PER:16
PBR:70
ROE:29
ROA:1.9
EPS:2.62
配当:年間2.05ドル。1,4,7,10月に配当。
上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場(ADR)
PERはやや低め、ROEは高位安定です。配当は製薬ではかなり高いほうです。
グラクソスミスクライン【GSK】の配当と配当性向
緩やかに上昇傾向ですが、この3年は横ばいです。そして2016年はEPSの落ち込みに伴い、配当性向が400%を超えるという事態に陥っています。2017年、2018年の決算次第ではどうなるかというところです。
グラクソスミスクライン【GSK】のBPSとEPS
BPSが漸減傾向にあります。また、EPSは決算年によりかなりの上下があり、読みにくい業績になっています。業界における地位は決して低くありませんが、1株当たりの価値を高めるという意味では配当が魅力ではあるものの、やや物足りないといったところです。
グラクソスミスクライン【GSK】の売り上げと利益
2016年は売り上げは伸びましたが、大きく営業利益と純利益を落としました。そのせいで営業利益率は過去10年で最も悪い数字になっています。2017年は主力のぜんそく薬アドエアのジェネリックとの競合があり、厳しい状況が予想されています。
GSKのキャッシュフロー
営業キャッシュフローは2016年に入り回復しています。過去3年減少傾向だったフリーキャッシュフローもそれに伴い一息つく形になっています。2017年第2四半期の決算が終わり、失望売りから40ドル近辺まで落ちています。
個人的には、世界的にも有力な製薬会社であることに変わりなく、ブレグジット後の不利な状況もあって株価は割安な水準に置かれていると思います。40ドル近辺の株価というのは明らかに安く、妙味が増していると言ってよいのではないでしょうか。
ただし、他製薬会社の買収戦略には注意が必要で、かなりのキャッシュを吐き出すことになります。配当利回りはおよそ6%まで上昇していますが、買収するとそれも維持できるのか微妙なところです。
関連記事です。
同じイギリスの製薬会社、アストラゼネカです。
ヘルスケアの雄、ジョンソンエンドジョンソンです。
バイオ医薬大手のアッヴィです。