iシェアーズ 好配当株式 ETF【DVY】は高配当株式のETF
DVYはダウ・ジョーンズ・USセレクト・ディビデンド・インデックスへの連動を目指した、ブラックロックのiシェアーズ好配当株式ETFです。ロッキードマーチン【LMT】が組み入れ1位と、他の配当重視ETFとちょっと傾向が違います。
LMTに限らず、単純に高配当株を集めただけではなく、配当がそれほど高くなくても組み入れ比率が高いものもあります。比較的高配当の銘柄を集めてはいるものの、その限りではないということです。
設定年は2003年とそこそこ歴史あるETFです。VYMやHDV、あるいは増配銘柄を集めたVIGなどと並んで、分配金目当ての投資家に人気があります。分配金再投資の設定来の値上がりは3倍になっています。
iシェアーズ 好配当株式 ETF【DVY】の配当とチャート
※画像はブラックロック社から
配当再投資の結果です。この10年で102%の上昇を示しています。設定来ならば209%、1万ドルが3万900ドルになる計算です。これだけ見ると間違いなく優良ETFと言って良いでしょう。ただし、リーマンショック時に約50%の下落をしています。
信託報酬が0.39%と高めの分、連動先のインデックスに10%とやや大きめに劣後しているのが気になるところではあります。分配金再投資をしないチャートだと少し違った印象になります。
※Googlefinance
2006年9月 取引値66ドル 分配金0.566ドル
2016年6月 取引値85ドル 分配金0.674ドル
2017年6月 取引値91ドル 分配金0.729ドル
分配金再投資をしないチャートだとこのようになります。取引値はそこそこ伸びていますが、分配金の伸びがおよそ1.3倍ですね。直近の分配金利回りは3.72%です。
ちなみにリーマンショックの時には分配金も半額近くまで落ちています。取引値は半額以下です。艱難辛苦にチャンスあり、この時期に買った投資家は大きく資産を伸ばしたことでしょう。
しかし、リーマンショックのような非常時でなくとも、分配金利回りが常に3%を超えており、それを再投資をすると大きなリターンになります。株高傾向と言われる昨今でも3%後半の分配金利回りがあります。
iシェアーズ 好配当株式 ETF【DVY】の場合、取引値の伸びは30%程度でも10年で2倍近いリターンになることがブラックロック社のチャートから確認できます。取引値はこの10年でおよそ30%しか伸びていないのに対し、分配金再投資のチャートだとおよそ100%の伸びになるということです。
この2つのチャートから分配金再投資、複利の威力を学ぶことができます。DVYのチャートは、高配当銘柄が安定した収益をもたらしてくれることの良い例だと思います。
iシェアーズ 好配当株式 ETF【DVY】の構成銘柄
2016年
画像表記です。
ティッカー | 銘柄名 | (%) | 業種 |
LMT | LOCKHEED MARTIN CORP | 4.3 | 資本財 |
CME | CME GROUP INC CLASS A | 3.18 | 金融 |
MCD | MCDONALDS CORP | 2.37 | 一般消費財 |
NEE | NEXTERA ENERGY INC | 2.31 | 公益事業 |
CVX | CHEVRON CORP | 2.31 | エネルギー |
CAT | CATERPILLAR INC | 2.15 | 資本財 |
PM | PHILIP MORRIS INTERNATIONAL INC | 2.05 | 生活必需品 |
ETR | ENTERGY CORP | 2 | 公益事業 |
DTE | DTE ENERGY | 1.84 | 公益事業 |
SRE | SEMPRA ENERGY | 1.71 | 公益事業 |
KMB | KIMBERLY CLARK CORP | 1.63 | 生活必需品 |
VLO | VALERO ENERGY CORP | 1.6 | エネルギー |
D | DOMINION ENERGY INC | 1.59 | 公益事業 |
PKG | PACKAGING CORP OF AMERICA CORP | 1.58 | 素材 |
OXY | OCCIDENTAL PETROLEUM CORP | 1.57 | エネルギー |
LAZ | LAZARD LTD CLASS A | 1.42 | 金融 |
2017年
一番高い組み入れ比率はLMT(ロッキード・マーチン)です。レイセオンなどと並んで軍需産業界において技術、規模ともに最大・最高クラスの会社であり、軍に製品を多く納入している会社です。個人投資家からも非常に人気のある会社です。
CMEは商品市場、先物などのオプション取引を行うシカゴの取引所です。ETFの上位に組み入れられることは珍しいです。必ずしも高配当というわけではありません。しかし、取引所というのは寡占状態で、CMEのブランド力もあります。魅力ある会社と言えるでしょう。
iシェアーズ 好配当株式 ETF【DVY】のセクター構成比
公益事業が突出して多いです。
セクター | % |
公益事業 | 29.65 |
一般消費財・サービス | 14.6 |
金融 | 14.02 |
資本財・サービス | 11.49 |
エネルギー | 9.23 |
生活必需品 | 7.89 |
素材 | 6.98 |
ヘルスケア | 2.64 |
電気通信 | 1.71 |
情報技術 | 1.61 |
キャッシュ等 | 0.18 |
全体の構成では公益事業と一般消費財、金融でおよそ6割の組み入れ比率になります。2017年に入って伸びたのが一般消費財です。去年までは公益と金融が目立っていました。
また、2016年には上位にCVXやOKEなど利回りの高いエネルギーも目につきました。これらは高配当を意識した構成と言えますが、急激に比率を落としました。同じブラックロックの高配当系ETFであるHDVもそうです。
しかし、昨今の原油安の常態化に伴い、比率を下げています。やや逃げ遅れた感があります。それでもまだ比率は高めです。金融とエネルギーという景気や商品市場の影響を受けやすいセクターが大きい組み入れ比率を占めるというのが一つの特徴と言ってよさそうです。
DVYの全体の構成銘柄は99銘柄です。ETFとしては少な目の構成銘柄です。ブラックロックは一般的にバンガードよりも少数精鋭を好む傾向にあります。
冒頭で触れたように、HDV、VYM、VIGなどが競合するETFになります。分散して持っていてもよし、一番と思うものに集中投資しても良し、そもそもETFはリスク分散がされていますので買いやすいですね。
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高配当系の米国ETFといえばVYMでしょう。圧倒的な低信託報酬、分配金利回りの高さ、リターンの良さ、どれをとっても安定的です。ただし、S&P500系のETFやVTIなどのリターンには劣ります。
ブラックロック系の高配当ETFがこのHDVです。VYMとの違いは構成銘柄の違いです。HDVは今のところそれが裏目に出ていますが、相場は水物ですから、長い目で見ていくことが大事だと思います。
GURUというヘッジファンド後追いのETFもあります。ややマニアックですが、そのリターンはなかなか高く、手口の勉強にもなることからそこそこ人気もあります。米国株投資の魅力の1つがこの種類の多さ、すそ野の広さでしょう。