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オートデスク【ADSK】の銘柄分析。統合CADの高シェア企業。

オートデスク【ADSK】のシンプル銘柄分析、統合CADの高シェア企業。

 オートデスク【ADSK】は製造・建設/インフラ、製造業界、エンターテインメント、デジタルメディア向けの2D/3Dの統合CAD(Computer Aided Design)ソフトウエアで高いシェアを持つ企業です。S&P500、NASDAQ100に採用されています。

 

 設計者やデザイナーが、コンピューターで2D/3Dデザイン・設計、シミュレーションする際にオートデスク【ADSK】のソフトウエアが使われています。例えば、NYのOne World Trade Centerやテスラの電気自動車の設計には同社の製品が使われています。

 

 主な製品は、汎用2/3D設計ソフトウエア「AutoCAD」、意匠設計、建築構造用「Autodesk Revit」、「AutoCAD Architecture」、プラスチック射出成形設計用「Autodesk Moldflow」、3Dアニメーションソフトウエア「Autodesk Maya」などです。

 

 企業ロゴには”Make anything”との記述があります。「なんでも作る」という意味で、まさに同社の製品群を象徴しています。

オートデスク【ADSK】のシンプル銘柄分析

オートデスク【ADSK】のシンプル銘柄分析

 1982年にJohn Walkerにより創業され、1985年にNASDAQに上場しました。NASDAQが誕生したのが1985年ですから、NASDAQの黎明期に上場して現在に至っている息の長い上場企業と言えます。

 

 その後は米国企業らしくM&Aを繰り返しながら、製品群と業績を拡大してきました。
当初はライセンス販売ビジネスを営んでいましたが、そのライセンス販売をFY2016で終了し、現在は他のソフトウエア企業と同様にサブスクリプションサービスによる収入がほとんどです。

サブスクリプションサービスによる収入がほとんど

サブスクリプションサービスによる収入がほとんど

 直近決算では、前年度比でサブスクリプションサービスによる売上高が+26%であった一方、サブスクリプションサービスに伴うコストは+8%でサービスの移行が、コスト削減に寄与しています。

サブスクリプションサービスへの移行が、コスト削減に寄与

サブスクリプションサービスへの移行が、コスト削減に寄与

  現在の事業セグメントは4つです。

オートデスク【ADSK】の事業セグメント

オートデスク【ADSK】の事業セグメント
  • Architecture, Engineering and Construction (“AEC”)
  • AutoCAD and AutoCAD LT
  • Manufacturing (“MFG”)
  • Media and Entertainment (“M&E”)

 “AEC”とAutoCAD and AutoCAD LTの2つで収益の7割強を占めます。アメリカ大陸、中東・ヨーロッパ、アジアパシフィックの広範囲に約3000万人のユーザーがいます。

オートデスク【ADSK】の株価チャートと配当

オートデスク【ADSK】の株価チャートと配当

オートデスク【ADSK】の株価チャートと配当

 今年の年初に高値を付けてからやや軟調ですが、5年で約5倍になっています。Annual Reportにはわかりやすい比較が掲載されていて、S&P500を大きくアウトパフォームしていることが確認できます。

S&P500を大きくアウトパフォーム

S&P500を大きくアウトパフォーム

 現在無配企業ですが、自社株買いは適宜実施しています。

オートデスク【ADSK】の基礎データ

  • 本社: アメリカ カリフォルニア州サン・ラファエル
  • ティッカー: ADSK
  • NASDAQ上場
  • 決算期:1月31日

オートデスク【ADSK】の売上高と利益

オートデスク【ADSK】の売上高と利益

オートデスク【ADSK】の売上高と利益

 前述したように2016年にライセンス販売業態を終了させた結果、FY2016~2018は業績に痛みを伴うことになりました。しかしながら、その後はまさにV字回復をしています。

オートデスク【ADSK】の収益変化

オートデスク【ADSK】の収益変化

 10-Kフォームからは、サブスクリプションの売上高が大きく成長した一方、売上原価はほとんど変わらなかったことがV字回復に寄与していることがわかります。

オートデスク【ADSK】のBPSとEPS

オートデスク【ADSK】のBPSとEPS

オートデスク【ADSK】のBPSとEPS

 売上高や営業利益で痛みを伴ったFY2016~2018は当然EPSにも打撃がありましたが、それもFY2020以降は回復しています。

オートデスク【ADSK】のキャッシュフロー

オートデスク【ADSK】のキャッシュフロー

オートデスク【ADSK】のキャッシュフロー

 ソフトウエア会社ゆえ、設備投資はたいてい毎年少ないです。そのため、フリーCFは営業CFにほぼ完全相関です。

オートデスク【ADSK】のトピック

 オートデスク【ADSK】は、研究開発と企業買収の両方に力を入れて製品開発をしています。研究開発費は売上高の約25%を占めます。
 
 近年はEngineering and Constructionセグメント(以下:“AEC”セグメント)向けのソリューション拡充のため、M&Aを活発に実施しています。


 2018年7月のゼネコン向けに3Dデータ管理プラットフォームを提供する”Assemble Systems”の買収を皮切りに、同年11月に施工管理ツールを提供する”PlanGrid”、同年12月に建設工事の入札・調達管理ツールを提供する”BuildingConnected”、2020年7月に建設工事のワークフロー自動化ツールを提供する”Pype”、同年11月に都市開発のためのAIツールを提供する”Spacemaker”を買収しています。

 

 2021年に入ってからは、水道システム設計ソフトを展開する”Innovyze”を買収しています。

 

 実際、”AEC”セグメントはオートデスク【ADSK】の売上高の40%超を占める主要事業で、FY2021の実績は前年比で+20%の高い成長をしています。業績に痛みを伴っていたFY2018あたりでは1割以上の従業員を削減した大規模なリストラも実施していましたが、2018年7月にM&Aを実施したということはリストラしつつも将来の稼ぎの芽も作っていたことになります。

 

オートデスク【ADSK】のAnnual Reportによれば、ソフトウエア業界は参入障壁が低く、競合は多いとし、具体的な競合の名前としてアドビ(ADBE)、AVEVA(英:AVV)などを挙げています。

 

 一方で、リストラ->M&A->業績V字回復を企業として経験したことで、オートデスク【ADSK】はタフな企業になったとも言えそうです。

 

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