オートマティック・データ・プロセッシング【ADP】はADP雇用統計で有名
オートマティック・データ・プロセッシング【ADP】は1949年設立、給与計算アウトソーシングで世界一の企業です。
給与計算のみならず、人事や税金、社会保険など企業の総務的な部分をITを活用して請け負っている企業です。
ITアウトソーシングという業種で見るならば、IBMやヒューレットパッカードがあります。ちなみにヒューレットパッカードはエレクトロニックデータシステムズという会社を買収し、ITアウトソーシング業界の大手になっています。
ADPはS&Pやムーディーズといった格付け機関からAAAの格付けを付与されていた4社のうちの1社でした。しかし、2014年に1部門をスピンオフしたあとはAAになっています。ちなみに世界展開もしており、その国々はおよそ50か国を数えます。
米国の雇用統計は景気動向を占う1つの指標として多くの人が気にかけていると思います。雇用統計と言えば米国・労働省の非農業部門雇用者数という公的発表の統計を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
この先行指標として2006年からADP社が出している雇用統計があります。これが、ADP民間雇用者数といわれる雇用統計です。
毎月、労働省発表の統計よりも2日早い第一水曜日に出されます。まれに逆指標になることがありますが、おおむね高い相関を示します。そのため、最も信頼できる先行指標として使われます。ちなみに同じようにムーディーズも雇用統計を出していますね。
ADP社は全米で50万社を超える企業を顧客としています。そして、給与計算を引き受けています。そのため、契約企業の雇用状況が把握できます。それのデータを集め、統計として出しています。
契約企業数が多いためその数字はかなり信頼性が高く、広く使われています。
※画像はオートマティック・データ・プロセッシングのページから。
オートマティック・データ・プロセッシング【ADP】の配当とチャート
※Yahoo!finance
2006年12月 株価43ドル 配当0.23ドル
2016年9月 株価87ドル 配当0.53ドル
2018年3月 株価115ドル配当0.63ドル
2019年3月 株価165ドル配当0.79ドル
現在の配当利回りは2%弱です。もともと配当利回りが高いわけではありませんが、2%~3%のレンジで安定した配当利回りを示しています。10年で配当は2倍以上になっています。株価は4倍近くになっています。
魅力的な企業ですが、今のPER40倍というのは近年では非常に高いレベルです。やはり業態とシェアが魅力です。なかなか落ちてこない企業の1つです。
オートマティック・データ・プロセッシング【ADP】の基礎データ
それではオートマティック・データ・プロセッシング【ADP】の基礎データを見てみましょう。
オートマティック・データ・プロセッシング【ADP】の配当と配当性向
配当は右肩上がりです。この10年で2倍になっています。それに対してペイアウトレシオは横ばいですから、無理のない配当です。連続増配銘柄でもペイアウトレシオが上がってしまっている銘柄が散見されます。
対してADPは、非常に良くコントロールされた無理のない増配歴であることが分かります。ちなみに40年以上に及ぶ連続増配銘柄です。
オートマティック・データ・プロセッシング【ADP】のBPSとEPS
EPSが10年でほぼ2倍になっていますね。業務内容は地味ですが、着実に業績を上げているところが好感持てますね。ある意味ではIT業界における生活必需品メーカーのような存在です。
特に、経理や総務に多くの人員を割けない中小企業へ良く浸透し、それら企業へのアウトソース需要に応えています。
オートマティック・データ・プロセッシング【ADP】の売り上げと利益
営業利益率は17%から20%のレンジに収まっており、この10年非常に安定的です。営業利益は売り上げの拡大に伴いじりじりと上昇しています。
給与計算システムは一度導入すると他社への乗り換えコストがかかります。そのため、クライアントに比較的長く使われる傾向にあります。ADPの場合は北米を中心に大きなシェアを持っており、安定した収益を上げることに成功しています。
懸念は他社によるより安価なシステム提案ですが、価格競争面も引けを取らず、今のところは安泰です。地味で必需だからこそ経済的な濠が広いと言えるでしょう。
オートマティック・データ・プロセッシング【ADP】のキャッシュフロー
じりじりとフリーCFが上昇しているのが見て取れます。また、投資CFは殆ど一定で読みやすいキャッシュフローになっています。リーマンショックなどの経済危機の影響を殆ど受けない業態ですね。
オートマティック・データ・プロセッシング【ADP】の株数とROE
順調に自社株買いを進めていますね。ROEもミニマム20%、米国企業らしい高さです。近年増加傾向にあり、これが継続されるのかどうかは注目したいところです。ROE40%は米国企業内でも高いほうですね。
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