たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

年間80万の投資資金で米国株を買いたい

証券口座には課税口座と非課税口座がある

 つみたてNISAやiDeCoと言った非課税口座に比べると、課税口座というのはややネガティブな印象を与えるのかもしれません。税金が資産運用上大きな負担になるのは事実で、だからこそ欧米各国は非課税口座枠を充実させてきたわけですね。

 

 これは、日本ほど健康保険を始めとする社会保険が充実していないという事情が背景にあります。これから、日本もさらに本格的な高齢化社会を迎えます。インフレ政策がすすみ、年金支給額が据え置き、あるいは支給年齢の引き上げということになると話は違ってきますね。

 

 日本においてもさらなる非課税枠の拡大というのが課題になってきます。そうしないと、老後の国民生活が苦しくなるからです。

 

 さて、このような政治的な思惑と非常に関連深い非課税口座に対して、課税口座というのものがあります。課税口座は3つに分けられます。

  • 一般口座
  • 特定口座(源泉徴収あり)
  • 特定口座(源泉徴収無し)

 かつて、米国株は一般口座対応のみでした。そのため、各自で売買時の為替、取得単価はもちろん、配当金においても同様に利益を計算していたものでした。それが当然だったので何とも思いませんでしたが、今考えると大変な手間で、一部の株好きのみが参入してくる市場でしたね。

 

 それが、特定対応になり、事情ががらりとかわります。一気に楽になりましたね。計算を自動でしてくれるからです。そのため、普通は特定口座の源泉徴収ありを選びます。

特定口座の源泉徴収無しを選ぶケース

 特定口座(源泉徴収なし)の最大のメリットは「年間20万円以内の利益ならば少額不追求の考えで無税になる」というところです。サラリーマンなど年末調整をしている人は確定申告をしなくてよいので、売買益と配当収入の合算で年間の利益が20万円以内ならば国税に関しては税金がかかりません。申告不要、つまり免税です。

 

※ただし、地方税、住民税部分に関しては申告が必要です。

 

 さて、こうしたことを踏まえてご質問を紹介します。

投資というと、つみたてNISAやiDeCoの非課税口座が注目されますが・・・

 毎日楽しくブログを拝読している者です。


 米国株ETFの運用の仕方についてご教示ください。これまで資産運用に興味はあれど、今ひとつ行動に起こせなかったのですが、最近色々と本を読んだりブログを読んだりして情報収集に努め、今年から、つみたてNISA口座で投資信託の運用を始めました。

 

 特定口座(源泉徴収あり)で非課税枠の40万満額買い付けの設定をしています。これから毎年ノーセルリバランスしながら資産運用していくつもりでおります。ところが、いざ始めてみた後に、米国株ETFの運用経費の低さに魅力を感じています。

 

 実際に、貴殿のブログを拝読しているうちに、実際に買ってみたいと思うようにもなりました。ただ、VTIやVOOなんかはつみたてNISA口座では買えないので、さて、どうしたものか考え中です。


以下の2つの方法ならばどちらでしょうか?

  1. つみたてNISAで非課税枠いっぱいまで投資信託を購入しながら、課税口座で米国株ETFを買う。
  2. 来年NISA口座へ変更して、そこで米国株ETFを買う。

 現在の私の収入では年間投資に回せるのは、せいぜい80万というところでしょうか。将来的には収入が上がると思うので、そうなればさらに投資に回せる額も上がります。

 

 たぱぞう様ならどのようにお考えでしょうか?ご意見お聞かせ願います。よろしくお願いいたします。

課税口座は意外に悪いものではない

 結論から申し上げますと、課税口座での買付が良いです。一般NISAは5年と年限が短いため、長期運用としては判断の難しい期間です。また、せっかく始めたつみたてNISAと併用ができません。そのため、つみたてNISAをコアとして、iDeCoあるいは課税口座での積み立てをお勧めします。残りのおおよそ40万円ですね。

 

 実は課税口座は意外に悪いものではないですね。証券税制では2割の分離課税になっています。この分離課税というのがそれなりに良い仕組みで、一律で2割の課税なのです。これは、所得税などの累進課税とは一線を画する税制です。

所得税速算表

所得税速算表

 資産運用がうまくいき、それなりの所得が発生するようになると、総合課税か分離課税を選ぶという課題に直面します。その時に参考になるのがこの表ですね。分離課税のほうが有利であれば分離課税、総合課税のほうが有利であれば総合課税という形で選ぶことができます。配当だけでこの税率が気になるレベルまで持っていくのは大変です。しかし、キャピタルならばあり得なくない額ですね。

 

 たしかに、非課税での運用ができないのは残念ではあります。しかし将来のことを考えると課税口座で今から買っておいて永久保有というのも悪くありません。

 

 投資の基礎基本は、「良いものを 続けて長く 持ち続ける」ということです。例えばETFならば誰でも永続保有が可能ですね。関連記事に米国株における特定口座と一般口座の違いについて書いた記事があります。併せてご覧いただければと思います。 

 

関連記事です。

  個別株は、ある程度のポートフォリオの入れ替えが必要になります。

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  米国株における特定口座と一般口座のメリットデメリットまとめです。

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  同時に、キャッシュポジションも意識はしておきたいところです。

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