何歳でも始められる投資である米国株インデックス投資
投資信託や東証上場ETFなど、円で投資できる米国株投資は「誰でもすぐに始められる」という点において優れています。なぜ誰でもすぐに始められるかというと、再現性が高いからです。今回は、老後の資産運用ということで長文を頂戴しています。
さっそくご紹介します。
老後を意識した50代からの資産運用
初めまして。50代の主婦です。ブログを拝見させて頂いております。
資産運用についてご相談差し上げたいことがあります。
関東在住、会社員55歳の夫と二人暮らし、子供はおりません。自宅はマンションを3年前に購入、ローンはありません。2年前より夫の個人年金が年168万(手取り)入るようになり、その運用に悩んでいます。
現在の資産は夫婦合わせて7700万(ほぼ半分ずつ)。うちインデックス投資信託が500万(NISA含む)、社債が300万、個別株が約100万、普通預金(SBIネット銀のハイブリッド)が1000万くらい、社内預金(0.2%位)1000万で残りは定期預金です。定期は地方信金の0.3%前後の数社に分散しています。
普通預金が1000万もあるのは、今後5年くらいかけて合計2400万程度を投信に積み立てるための資金なのですが、預け先がなく放置しているのが実情です。
今後定年までに個人年金を含め900万程度預金が増え、退職金(不明ですが低めに見て2800万くらい)を合わせると大台にのるかと思いますが、どのように運用すればよいか悩んでいます。
年金は夫婦合わせて額面310万、個人年金と合わせると、現在支出が年550万なので、年に100万ずつ資産を切り崩していくことになります。
(※毎年海外旅行にいくのが夫婦の趣味のため支出は多いです)
夫が60~65才までの生活費、私の65までの年金不足分、夫婦どちらかが老人施設に入る費用3000万、車の買替えやリフォームなど予備費1200万を引くと、余裕資金として2400万残る計算なので、これを75才位までインデックス投信で年3%(税込)程度で運用するつもりで、この6月から月30万位を積み立てることにしました。
投信はたぱぞうさんおすすめの楽天VTIとS&P500などの米国株と、ニッセイ外国株などを3:1の割合で持つようにしています。今のところバランス型や外債インデックスも入ってますが、おいおい整理していく予定です。
この試算で行くと、夫が75歳時点で投信の元本をのぞくと6000万位がまだ預金として手元に残ることになります。うち1割くらいは旅行などに使うとしても、まだ5000万強は現金です。
たぱぞうさんの著書を拝見すると「セオリー通りにいけば投資不要」ということでしょうが、もう少しうまく運用できないかと思っています。今はソーシャルレンディングを少し始めようかと思ってます。
不動産は借金を背負いたくないのと、子なしのため資産は使い切りたいので流動性が低いものは、ないかと思ってます(地方のため人口減も気になりますし)
たぱぞうさんは円の価値が下がるリスクヘッジとしてドル資産を持つことを薦めておられますが、オフショア口座(香港のHSBC)について、いかがお考えでしょうか?ご自身でも使用されているかと思いますが、これから我々夫婦が口座を開くことにメリットがあるとお思いでしょうか(運用期間の短さなど)確定申告が必要になったとも聞きますが、いろんな金融商品があるとのことで興味はあります。
夫は英語は堪能、私もしゃべりは下手ですが海外航空券の手配、ホテル予約などをネットで英語で行う程度はできます。香港という国も旅行先としても気に入ってますが、今の中国の圧力は気になっています。
何もせず手元に置いておくとして、外債の投信をある程度持つ、または積立投信の一部をドル建てETFにする、などはメリットがあるでしょうか?外債投信も、今回のコロナでは株と同じ値動きをしており、また今後アメリカも日本同様低成長が続くとすると、債券を持つこと自体がリスクになる気もするのですが。
ちなみに、夫は家庭の影響で全く投資に興味がなく、会社の301Kか何かが始まってようやく「投資」らしいものを始めた程度で、かつて誰かにそそのかされ、ワンルームマンション投資をやりかけた過去があります。私が反対してやめたのですが、私もその怪しさを理解していたわけではなく、「賃貸に住みながら人のマンションを買うなんて馬鹿らしい」と極めて感情的な意見からでした。
私自身は父が投資をしていたため若いころから興味はあり、友人のすすめで公社債投信(8%!)を積み立てたりしてましたが、ITバブルの際、300万買っていたアクティブ投信が半額になり償還されてからほとんど投信は禁じ手でした。
ただ貯金だけでは価値が目減りするため、米国・欧州MMFを40万ほど買ったり、ミニ株を買ったりとなんとなくちょこちょこ手を出しています。NISAもなんとなく3年ほど前に始めたのですが、たぱぞうさんのブログと著書及び勧められていた書籍を拝読し、やはり海外積立投信は必要だと確信、この冬から積立額を上げていたところです。
リーマンショックの際は個別株が半額になりぞっとしましたが父の「持っておけば相場は戻る」の言葉通り、ある程度は回復しました。がたぱぞうさんの言われる通り個別株は素人にはリスキーすぎるため、適当なところで手放すつもりです。
コロナショックの際はたまたま外債投信を多めに持っていたせいもありそれほど痛手を負わず、逆に株投信は買い増して、今それなりに回復しました。この経験もあり、2000万ほど積立ても大丈夫かもという自信にはなりました。
長くなりましたが、いろんなこと(低リスクなこと)に興味はあり、我々で持つメリットがあるのなら太陽光発電、ドル建てETF、あるいは他のドル建て資産などにも検討したいと思っております。メリットがある場合、どの程度の割合で利用すればよいかもご指南頂ければ幸いです。
たぱぞうさんの本来の強みとはずれた相談で、興味があまりおありでないとも思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
①資産の余裕は夫の個人年金に負うところが多く、夫が比較的若いうちに死亡した場合のリスクを考えておきたい。なお年金配分は夫が210、私が100万程度です。私は30半ばに退職したのち健康上の問題でフルタイムで働けず、ずっと単発バイト程度の専業主婦です。
②現在の住まいは一人暮らししている姑に近い地方都市で、車がないと生活できず保守的な風土も私にはなじめないため、できれば10年後くらい(姑の死後)には東京都内など、私の親族の住む便利な都市に引っ越したい。現在の自宅は築20年(現在)中古マンションをリフォームしたもので、かなり趣味的な志向の上、築年、駅からの遠さなどから売却値は期待できず、へたすると1000万くらいかも。
③夫は再雇用制度を利用するつもりだが、精神的にも肉体的にも長年の疲労がたまっており、可能なら定年退職させ、身軽にしてやりたい
④子なしの所在なさ、不安は年々増しており、多少の贅沢や経費(人に頼んで何かしてもらうなど)は増えていくと思われる。
以上のような点から、もう少し収入を確保できる手段を得ておきたいと考えております。夫が再就職したとしても2-3年、1000万にもならないのではと思っております。
つまらない身の上相談になってしまいましたが、ご助言いただければ幸いです。
大きな失敗が許されない50代の資産運用
様々な投資に目を向けてこられたわけですね。おっしゃる通り、現金比率が高いですね。
ご質問中にもありますが、将来に備え投資をする必要は特にありません。十分な現金資産がおありだからです。
その中でも特にということでしたら、質問者様でしたら、やや割高感が出てきたとはいえ、米国株インデックス投資をお勧めします。安心感、安定感がまるで違います。また、都下に引っ越す可能性を持っておくならば、キャッシュにしやすいアセットというのが大事でしょう。
そのうえで、触れられていた各種投資案件についてコメントしますね。
ソーシャルレンディングはとにかくデフォルトしないことが前提です。積み上げたインカムが瞬時に吹き飛びます。
オフショア保険はやる必要が全くありません。太陽光は20年の売電が魅力ですが、法人経営からの運営になりますから、これもご年齢を考えて無理されなくてよいかと思います。オフショア保険、太陽光は即現金に戻すというのが、他と比べて性質上難しいアセットです。不可能ではありませんが、時間がかかるということです。
ワンルームマンション投資は買った瞬間にしんどくなる投資物件がほとんど、外貨建てMMFは利回りが回復していますね。資金の置き場としては悪くありません。
バッサリとシンプルに言うと、米国株インデックス投資がリスクコントロールもしやすく、適しています。選んでいる商品に間違いはありませんから、ゆっくり長く、続けて取り組んでいくことですね。
奇をてらった、高リスク高利回り商品を追う必要はまったくないフェーズです。手間のかからない、シンプルなアセットを淡々と積み上げればよいでしょう。
関連記事に補足して各種アセットの特徴をまとめてあります。併せてごらんいただければと思います。
関連記事です。
オフショア生命保険のメリットデメリットです。やめたいけどやめられないという相談がいくつも来ています。現地IFAに行く末をゆだねることになるアセットです。自己決定できないアセットということを知っておいたほうがいいですね。
ワンルームマンション投資についてです。買ってすぐに負債化する可能性があります。こちらもよくご相談がきています。残債をみつつ損切をするのがベストですが、手元にキャッシュがないと売却もできません。
意外と物件はまだ出てきますね。最も取り組みやすいハードアセットの1つですが、セカンダリ市場に移行しつつあります。ファイナンスもつきますね。新規案件が完全に枯渇するにはあと1年というところでしょうか。