米国連続増配株ETF【VIG】とは
ティッカー【VIG】はVanguard Dividend Appreciation ETF、日本語では「バンガード・米国増配株式ETF」と呼ばれます。
その名の通り、米国の配当成長株で運用されているETFです。
バンガード社といえば【VOO】を始めとして、低コスト運用ETFでよく知られています。【VIG】の経費率も0.06%と非常に低い水準です。
すでに持っているという方もいらっしゃるかもしれません。このETFを敢えて今当ブログで取り上げるのは、2021年9月にベースとしているインデックスが変更されているからですね。
かつてはNASDAQ Dividend Achievers select indexをベースとしていた
【VIG】が2021年9月までベースとしていたのはNASDAQ Dividend Achievers select indexです。年間配当が少なくとも10年以上成長している銘柄で構成されています。このインデックス自体は今も存在していて、NASDAQ omxが日々公表しています。
連続増配は投資家にとってありがたいことですが、欠点があることを否めません。キャッシュが潤沢にある、あるいはコンスタントに入ってくる企業であれば増配が可能なため、業績が芳しくなくても連続増配企業に該当するという点です。
この点を考慮したと思われるインデックスが現在【VIG】のベースとなっているS&P US Dividend Growers Indexです。
S&P US Dividend Growers Index
現在【VIG】がベースとしているS&P US Dividend Growers Indexは年間配当が少なくとも10年以上成長しているという点はNASDAQ Dividend Achievers select indexと同じですが、もう一つ特徴があります。該当部分を引用しましょう。
The index excludes the top 25% highest-yielding eligible companies from the index.
(この指数は、上位25%の最高利回りの適格企業を指数から除外しています。)
10年以上増配している企業を抽出したうえで、配当利回りの上位25%を採用しないというルールを設けています。配当利回りは1株当たり配当÷株価で求めますから、株価が低迷していれば配当利回りは高くなります。
そのような企業は連続配当成長をしていてもインデックスに採用しないというポリシーです。いい意味でのフィルタリングが加わったと解釈してよいでしょう。
S&P US Dividend Growers Indexは2021年6月1日から運営されています。指数は2006年3月17日に遡及して算出されています。
インデックスの見直しは原則として年1回3月です。およそ300銘柄で構成されています。浮動株ベースの時価総額加重平均ですが、定期見直し時にウエイトは上限4%に調整されます。
米国連続増配株ETF【VIG】の組み入れ上位10銘柄
ユナイテッド・ヘルス・グループ【UNH】、ジョンソンエンドジョンソン【JNJ】、プロクター&ギャンブル【PG】等が上位に位置します。
タバコ株などがないのが、配当利回り上位25%が排除された結果でしょう。
ハイグロ株は無配企業が多いですから、10年以上配当成長しているというスクリーニングをかけると、相対的にコンサバティブな銘柄構成になります。
出典:S&P US Dividend Growers Index fact sheet
米国連続増配株ETF【VIG】のパフォーマンス
S&P500と1年で比較してみました。2022年春以降は青のS&P500をややアウトパフォームしています。
グロース株が必然的に除外されるインデックスですから、グロース株が軟調な局面では優位に推移する傾向があるでしょう。
出典:S&P website
米国連続増配株ETF【VIG】の分配金履歴
年4回分配です。直近の分配利回りは約2%です。あまり直近の分配金目当てで買うようなETFではなく、将来性を加味して考える必要があります。
出典:Vanguard website
VIGはいい意味でプライスの推移も分配もマイルド
決して高分配ETFではありませんし、高成長を享受できるETFでもありませんが、2021年9月のベースインデックス変更は、結果的に【VIG】をいい意味で洗練させたのではないかと感じます。
ある程度の資産を形成したあと、適度にキャピタルの成長と分配を享受するために保有するのは悪くないと思います。
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