たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

米中貿易交渉に伴う相場変動の最悪を中期目線で想定してみる

米中貿易交渉に伴う相場変動

 大方の予想を裏切り、米中貿易交渉がうまくいっていません。中国の「のらりくらり戦術」が米国側に見透かされており、今まで通用した外交戦略がうまくいっていないのですね。

 

 以前にも書きましたが、中国の外交は「時間稼ぎ」を主眼としており、欧米に対抗できる力を十分に付けるまでは徹底してこのやり方を貫いています。

  • 憲法に関わることだから改定できない
  • 国際社会では履行に努力するが、国内では無理

 など理由を付けて、不利な条項は履行しなかったり、一部しか守らなかったりということがあったわけです。今回は、米国が合意事項の一覧表をつけさせようとしたり、順守しない場合の罰則事項を盛り込もうとしたり、わりと踏み込んだ交渉をしています。後から逃れられないようにしているということです。

 

 こういった強硬姿勢は以前では見られなかったことですね。

  • 中国の成長が鈍化している
  • 中国の海外伸長が欧米の利害と競合している
  • 共和党政権である

 これらの理由が関係していますね。トランプ大統領単独の交渉ではもちろんなく、米国政府としての意思の強さが感じられるところです。

 

 中国が高成長を維持するならば、中国政府の言い分をある程度飲んでもメリットがありました。中国国内の成長の果実を得ることができたからです。しかし、国内成長は鈍化が明らかで、高齢化も目前です。以前ほどの魅力は薄れたということです。

 

 また、中国は成長の鈍化に伴い海外進出を強めており、特にアフリカにおいては多くの国で最大の貿易相手国になっています。アフリカは今まで旧宗主国、つまりEU諸国とのつながりが強かったのですが、この20年で様変わりしています。

 

 それに伴い、高金利の中国からの借款が返済できず、インフラ設備などで物納するような事態も起きていますね。ますます存在感を強めています。

 

 また、共和党政権であることも大きいです。パフォーマンスが目立つ現政権ですが、根本は政党の政権支持があって初めてできることです。また、トランプ大統領の支持層は盤石で、45%前後の支持率が堅持されているのは注目されてよいでしょう。歴代の大統領の中でも高くはありませんが極めて安定的な支持率です。

 

 これまでのところ、支持率は上方に乖離することも無いですが、下方に乖離することも無いですね。つまり何があっても支持する強固な層を抱えていることが強みになっています。

  

 さて、こうしたことを踏まえて、最悪の事態を想定してみましょう。

米国市場の行方は明るいが、長引くと影響は避けられない

 まず、米国市場ですが決算はまちまちながらも目先の経済指標はよく、大きな崩れは今のところ予想できません。特にFRBによる金利引き上げの懸念が去った今は、EUや日本のQE、量的緩和の効果もあり、非常に心地よい株価水準になっていました。

 

 しかし、このままの状態が続くと、製造業PMIなどを始めとする経済指標の悪化が予想されます。それはそのまま企業決算に反映されますので、交渉が長引くか決裂するとそれなりの影響が出てきそうですね。

 

 ただ、そこまで事態が悪化すると予想している人は多くは無いですね。

最悪を想定して米国市場の行方をチャートで見てみる

 続いて、チャートで見てみましょう。下図はS&P500の半年チャートです。

米国市場の行方をテクニカルで見てみる

米国市場の行方をテクニカルで見てみる

 利上げに伴う株価調整があり、この時の底が2350ポイントでしたね。これは当面強固なサポートラインとして意識されるところです。実際には、中期の目線では2400ポイントあたりが妙味のあるラインになるでしょう。

 

 2400というのは、米中貿易交渉による経済的な影響が顕著になってきて初めて意識されるところです。つまり、市場の空気もだいぶ悪化して、買うのに勇気がいる局面になっていると予想します。そうなると、逆張り派が積極的になる相場ですね。

 

 ただ、ここまで下げるには条件が重ならないと無理で、やや期待しすぎというところでしょう。

 

 また、目先のサポートラインとしては2800が意識されるところです。これは昨晩オンラインメンバーにも配信しましたが、目先の切り返しのラインになりましたね。

 

 次に意識されるのは2650です。しかし、これは喫緊に意識されるサポートラインではなく、もう少し先の視点です。米中貿易交渉が長引いたら、当然意識されてきますね。

 

 今年に入ってすでに10%を超える上昇を見せている米国市場です。今まで買いたくても買えない銘柄があった人は、S&P500を参考指標にしつつ、どのタイミングで買い参入するか考えるのも楽しいですね。

 

 逆に、この下げで苦しい人はポジションを取りすぎです。cash is kingですから、常に手元にキャッシュを持っておいて、相場を楽しむのが大事ですね。

ボックスだが下値は切りあがっている米国市場

ボックスだが下値は切りあがっている米国市場

 いったん底抜けはしたものの、上値、下値ともに徐々に切りあがっているのが米国市場ですから、短期的な値動きに動揺せずに腰を据えて取り組みたいですね。

 

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  今回のごたごたは暴落というものではなく、調整レベルですね。

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  VTIなどの積み立てをしている人にはこういう相場変動は関係ありません。淡々と、「続けて長く持てる株」を積み上げていけば良いのです。

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  2018年末とは様相が全く違いますね。やはり経済事由の調整のほうが底知れない怖さはありますね。

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