たぱぞうの米国株投資

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株主優待のメリットデメリットを考える

株主優待狙いのメリットデメリット

 米国株などでは株主優待はありません。それは、配当で支払えばよいという極めてシンプルな考えからです。それに大して日本では伝統的に株主優待が盛んで、その数はおよそ800社近くに上ります。

 

 今日は、そのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。

株主優待狙いのメリット

 まず、株主優待狙いのメリットです。

  1. 利回りを押し上げる
  2. 税金面での慣行的な優遇
  3. 投資先企業の現物商品がもらえる

 このようなことになります。

利回りを押し上げる

 まず、自社の飲食優待券や自社利用券、さらには自社商品などがありますが、そのいずれもがお金に換算すると高利回りになっています。また、転売がきくことも多く、実質的な配当のようになっている例も少なくありません。

 

 そのため、配当金利回りを実質的に押し上げる効果があります。

税金面での慣行的な優遇

 本当は株主優待にも税金がかかるのですが、慣行的に非課税になっている例が少なくありません。例えば、現物などは金額に換算しにくく、確定申告も実質不可能です。そのため、多くの株主優待は非課税のようなものになっています。

 

 ただし、本来は給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えるときには確定申告の対象になりますので、株主優待もその範疇になります。

投資先企業の現物商品がもらえる

 モノが送られてくると嬉しいのはだれもがそうです。配当金もうれしいのですが、モノで送られてくる喜びは独特のものがあります。その会社の製品が気に入っていればなおさらで、自社製品が送られてくるから買う、という人もいます。

 

 カゴメの優待などは人気のある現物株主優待として昔から有名ですね。

株主優待で有名なカゴメの株主数推移

株主優待で有名なカゴメの株主数推移

 株主優待投資家に非常に人気があります。

 

株主優待狙いのデメリット

 株主優待狙いの投資はメリットだけではありません。デメリットもあります。海外の企業はむしろこのデメリットに着目して株主優待を出していないと考えることもできます。

  1. 株主優待品に飽きてくる場合がある
  2. 株主優待狙いとファンダメンタルズの乖離
  3. 信用で買うと株主優待を貰えない
  4. クロス狙いで逆日歩が付くことがある
株主優待品に飽きてくる場合がある

 最大のデメリットは「飽き」でしょう。例えば、外食チェーンの株主優待は若い時は嬉しいかもしれません。しかし、年を取って嗜好が変わってオーナーシェフの店が良いとか、地元の居酒屋が良いとかなると、チェーン店にいくことが億劫になります。

 

 そういう意味では有名な桐谷さんは本当に健啖家、非常に健康な方です。 長期投資という視点では、この「飽き」は避けたいところです。

 

 ちなみに、たぱぞうの父は優待が好きです。外食産業の株主優待券で、私たちに毎年定期的にごちそうをしてくれています。食べ放題、飲み放題で最後にボトルをキープして、それを私たちにプレゼントして帰るという豪気なことをしています。

 

 そういう楽しみ方はお金では測れないメリットかもしれませんね。

優待狙いとファンダメンタルズの乖離

  これは高配当狙いの株式投資にも似ています。配当あるいは株主優待に惹かれて、本来の企業価値以上の株価がついているケースがあります。特に小さい企業などはそうで、やはり基本的な数字を押さえて比較的割安と思える水準で手出しをしないと株主優待以上に損失をかかえることになります。

信用で買うと優待を貰えない

 信用買いだと優待がもらえません。優待狙いの場合は権利日に現物株を持っておく必要があります。そのため、株価変動リスクを抑えるために、現物を買って、同時に信用売りをするというクロス取引をするケースもありますが、この場合は信用売りで逆日歩が付く可能性もあります。

 

 ともあれ、株主優待とはあくまで株式投資のサブ的な楽しみ方です。私たち投資家の投資の幅を広げるものですが、資産形成のコアにはなりにくいかな、というのが個人的な見解です。

 

 世界を見回しても日本の株主優待制度は特殊で、一般的には万能な商品引換券である現金のほうが人気があります。日本で人気があるのは、投資雑誌やネット情報が大きく株主優待情報を取り上げているからというのもあるでしょう。

 

 さて、こうしたことを踏まえてご質問にお答えします。 

株主優待目当てに国内株投資をしているが...

 いつもブログを拝見しています。夫が、株主優待目当てに国内株に投資し、最近は「ジュニアNISA」も始めてダブルで優待券をもらっています。

 

 国内個別株より「iDeCo」のほうが税制優遇が大きく、堅実に殖やせると思うのですが、節税のため、私のアドバイスで、もともと加入していた個人年金に加え、積立型死亡保険・積立医療保険に加入し、そのうえ、60歳まで引き出せないiDeCoは嫌だ、何より投資信託しか選べないのが気に入らないといいます。

 

 夫婦とも年収は世代平均(30代後半)より少ないですが、独身時代に倹約していた上、ずっと共稼ぎのため、投資に回せる余剰資金は、二人あわせてすでに500万円以上あります。

 

 私も散々悩んだ結果、追加で「iDeCo」の加入申し込みを行い、拠出金額を最低の5000円のままにするか、上限いっぱいまで上げるか、検討しているところです。

 

 優待狙いの国内株取引のデメリット、iDeCoや外国株など他の投資先のメリット、どちらも私から話すと聞く耳をもたないので、ブログのネタとして取り上げていただけるとうれしいです(クオカード以外の優待はまったくうれしくないのでやめて欲しいのです)

株主優待よりはiDeCoの控除のほうが魅力

 結局株式投資は結果ですので、その株主優待狙いの投資がリターンを生み出していればそれが正解ということになります。成果に対する評価を一度冷静に出してみると良いでしょう。

 

 それと同時に、優待を始めた時期にイデコを行っていればいくらになっていたのか、またどれだけ税が軽減されたのか把握すると比較しやすいと思います。

 

 私ならば国内株、日本株はすでに旬を過ぎているという考えですから、イデコを先に埋めてから他の投資をします。ただ、質問者様が年配の公務員ならばつみたてられる年限と金額が1万2千円と小さいです。

 

 引落に係る手数料(103円)は収納回数が少ないほど節約できますので、このあたりも重要になるでしょう。

 

 積立貯蓄型の保険はあまり良くないことが多いです。気になりますが節税のためということですから控除の枠を踏まえた商品選びをされているということなのでしょう。弊ブログではとにかく余分な機能の無い、掛け捨てをおススメしています。

 

 投資信託しか買えないので嫌だ、というご主人の主張は数年前の私を見るようです。投資信託はつみたてNISA登場以来、急激に商品が良くなっています。改めて調べてみるよう、ご主人にお声かけすると良いかもしれません。特に海外投資をしている投資信託は、非常に良い成績です。

 

 かつてのイメージ通りのおかしな商品も生き残っていますが、良い商品がようやく出てきています。

 

 ご質問ありがとうございました。

 

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