たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

新型コロナウイルス【COVID-19】と米国株式市場

新型コロナウイルス【COVID-19】と米国株式市場

 順調に上昇を続けてきた米国株式市場ですが、2018年の夏以来に動揺しています。理由は、言わずと知れた新型コロナウイルス【COVID-19】の影響です。

 

 中国をはじめとするこの新型コロナウイルス【COVID-19】は、どこか東アジア固有の問題とみられていた傾向がありました。しかし、ユーロ圏ではイタリア、ギリシア、さらに北米、そして中南米ではブラジルと感染者が広がっています。

 

 ここにきて、ようやく他人事ではなく自分事として認識され始めており、世界の株式市場は動揺を見せています。

異常に買われ始めている債券市場

 株安もさることながら、債券市場に非常にお金が流れ込んでいます。金融緩和が高レベルで継続していることが確認できます。

期限 利回り
米国債 3ヶ月 1.51%
米国債 6ヶ月 1.42%
米国債 12ヶ月 1.25%
米国債 2 年 1.17%
米国債 5 年 1.16%
米国債 10 年 1.34%
米国債 30 年 1.83%

 COVID-19が騒がれるためにあまり話題になっていませんが、短期債と長期債の利回りが逆転してます。最も気になる2年-10年ものは逆転していませんが、注目されていいでしょう。

 

 10年債は1.3%、30年債は1.80%、いずれも過去最低を更新するような形になっています。株式、S&P500における配当利回りは2%前後となっていますから、本来リスクが高い株式とあまり変わらないという珍しい現象です。

 

 これは、やはり同様に債券が買われたリーマンショック以来の出来事です。やはり金融緩和の産物の1つと言って良いでしょう。ちなみに、投資家に人気のある総合債券ETFであるBNDも急角度で上昇しています。こちらも珍しいチャートを描いています。

BNDの1年チャート

BNDの1年チャート

 このような流れにあって、債券ファンドや債券を組み込んだファンドの成績も非常に良いものになっています。しかし、うがった見方をすると、株よりもむしろ債券のほうがやや心配な水準なのかもしれません。

今後は経済指標で一喜一憂する展開になる

 中国ではトヨタの4工場が再開するなど明るい材料もあります。しかし、まだ正常化には程遠く、日本、ドイツ、アメリカといった国々は「感染初期」という位置づけです。殆どの国が感染初期であることを考えると、影響は想定されていたものよりも長引くのかもしれませんね。

 

 これを受けて、世界自動車販売台数の見込みが0.9%マイナスから2.5%マイナスに修正されました。中国では特に2.9%のマイナスが予想されます。このような指数の下方修正というのが、今後しばらく相次ぐと見たほうが良いのでしょう。

 

 普段はあまり注目されることの少ないリッチモンド連銀製造業指数が予想を大きく下回る-2だったことは、今後に対するぼんやりとした不安を伝えるものでした。

 

リッチモンド連銀製造業指数

リッチモンド連銀製造業指数

  リッチモンド連銀製造業指数は0を境目として景況感を伝えるものです。前回20、予想10の中での-2ですから、それなりのインパクトと言って良いでしょう。

 

 一方で、全米新築住宅販売件数は増加しており、住宅販売価格も14%上昇というポジティブなニュースもあります。しかし、やはり将来を見越してマーケットはあまり反応していませんね。

S&P500指数をどう見るか

 S&P500指数も大きな動揺を見せています。米国のGDPの8割が内需とは言え、今までCOVID-19の影響を非常に楽観していたことに逆に驚きます。サプライチェーンの問題なども含めて、もう少し織り込んでいるのかと誰もが思ったのではないでしょうか。

 

 しかし、その心持が逆に米国の強みなのかもしれません。

S&P500指数の3か月の値動き

S&P500指数の3か月の値動き

  たった1週間でセンチメントはがらりと変わりました。2日の暴落を経て、3日目は強く始まりました。しかし、FDA高官が新型コロナウイルスをパンデミックの瀬戸際と話したこと、ブラジルでも感染者が確認されたと伝わったことから相場は急落、マイナスに転じています。

 

 さらっと書きますが、ダウやS&P500よりもNASDAQのほうが強い場面がみられるのは注目されてよいでしょう。やはり、産業構造の変化はここにも表れているのです。

 

 年始に今年のS&P500は3200をはさんで±200程度か、という予測を立てました。2月にしてすでに突破の勢いだったのですが、予期せぬ感染症により年初のレベルに戻ってきました。

 

 短期的にはもちろん弱気、下値の最初のめどは3100ポイント近辺にあります。3000ポイントを切るようだと、以前のレンジに逆戻りです。個人的には2019年夏以来の買い場ととらえ、やや厚めに買っていっていますが、どうでしょうか。

 

 10年、20年の目線での投資をしている人は、全く気にする必要はありませんね。相場に波はつきものです。しかし、上にも下にも行き過ぎるのが昨今の相場です。自分の中で買いの目線、売りの目線を事前に決めておきたいですね。

 

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