世界で最も技術的に進んだ国ランキング 2023とは
“Global Finance Magazine”は1987年に創刊されたグローバルビジネスと金融に携わる人々をターゲットとした雑誌です。2002年からはweb版がリリースされています。
このメディアが定義した” Most Technologically Advanced Countries In The World 2023”「世界で最も技術的に進んだ国2023」をご紹介します。
以下の4つを評価して、ランキングしています。
1) 国の人口に占めるインターネットユーザーの割合
2) LTE ユーザーの割合
3) IMD世界競争力センターが開発したデジタル競争力スコア
4) 研究開発(R&D)に費やされたGDPの割合
以前当ブログで2020年版を紹介したことがありましたが、その時とは評価項目が少し変わっています。
1)と2)は上昇させるのが比較的容易です。ですから、ランキングは3)と4)の程度によって差が出る傾向があります。
では、2022年のランキングと比較した形で上位20位までをご紹介します。
世界で最も技術的に進んだ国ランキング 2023
2023年 |
Country |
2022年 |
1 | South Korea | 1 |
2 | United States | 2 |
3 | Taiwan | 6 |
4 | Denmark | 3 |
5 | Switzerland | 4 |
6 | Israel | 10 |
7 | Finland | 9 |
8 | Netherlands | 8 |
9 | Sweden | 5 |
10 | Norway | 12 |
11 | Singapore | 11 |
12 | United Kingdom | 17 |
13 | Belgium | 14 |
14 | Germany | 13 |
15 | Austria | 15 |
16 | Japan | 7 |
17 | Iceland | 20 |
18 | United Arab Emirates | 18 |
19 | Canada | 16 |
20 | Australia | 21 |
出典: Global Finance Magazine
アジアとヨーロッパの国々が、目立ちます。2位の米国を除き、上位17か国はすべて、これら2つの地域のいずれかで裕福な国です。1位は韓国です。
これは、評価項目の4) 研究開発(R&D)に費やされたGDPの割合が他国と比べて相対的に高いからだと想像されます。
サムスン、LGといった企業の研究開発費がGDPと比較すると他国より大きいということでしょう。
台湾は、研究開発への投資が増加したため、3ランク上昇して3位にランキングされました。
妙味あるスタートアップ企業が次々に誕生しているイスラエルは、大幅に順位を上げて6位にランキングされました。
決して大きな国ではありませんが、研究開発に莫大な投資を続けており、ライフサイエンス、軍事技術、その他の分野で急速に進歩しています。
第二次大戦前から技術力で知られるドイツは、現在、そのノウハウをグリーンエネルギーの分野で積極的に活用しています。
技術革新における世界のリーダーの多くは、北欧諸国、ベルギー、スイス、豊富な天然資源に頼ることができない小さな国が多いです。
順位を下げた日本には厳しいコメントがついています。公共部門でアナログへの依存度が著しく高く、ビジネス技術の俊敏性の欠如と技術における国際的な経験の低下により、デジタル競争力も低下したと評価されています。
人口大国も順位を落とす
21位以下にランキングされた国では中国とインドという人口大国に言及があります。
両国ともに前年からランクダウンしました。
中国のインターネット人口は約73%で、ロシア、メキシコ、アルゼンチンなどのいわゆる新興国より大きく劣るそうです。
中国は研究開発に多額の投資を行っていますが、人口を活用する能力が不足していること、さらに政府が、民間技術部門を取り締まり、その範囲と規模を制限し、さらには縮小していることがランクダウンにつながったとコメントされています。
インドは、研究開発費がGDPに対して非常に小さいことが、ランクダウンの要因です。
他の新興国と技術的な評価の観点
ブラジル(55位)、インドネシア(59位)、ロシア(44位)についてもコメントされています。3か国については技術力の向上はあったとしてもほとんど見られないと厳しい評価です。
ロシアに関しては、ウクライナとの戦争で技術的専門知識の流出に拍車をかけ、今後何年にもわたって技術的および科学的専門家の「頭脳流出」の可能性を生み出したと指摘されています。
面白いランキングですが、今後はインターネットアクセス環境の進化に伴い、評価項目が変わりそうにも思えます。
実際、2年連続して1位だった韓国は、2020年の評価項目が少し違うランキングでは9位でした。データの連続性より、評価項目に照らし合わせた位置づけとしてとらえるのが無難でしょう。
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