年収360万円からの投資術
今の20代、30代の若い人たちにとって、投資は必須のたしなみになりつつあります。ちなみに、私は私たち世代よりもさらに時代が下る子ども世代、孫世代のほうが経済的に厳しい状況になってくると私は予想しています。
社会保障費は増えることはあっても減ることは無く、これはそっくりそのまま給与天引きという形で跳ね返ってきます。増税の流れもそうでしょう。労働人口が減り、高齢化社会を迎えるというのはそういうことなのです。
元来が悲観的なものの見方をするのでこういう厳しい見通しをしています。かつて、日本は日本人であるだけで、だれでもある程度の豊かな暮らしができました。それは、世界との比較です。
また、世界的に能力に応じて活躍する場が得られるように変化してきています。それはグローバル化、あるいはITの進展に伴うボーダーレス化という言葉で表される通りです。私たちの人材の価値というのは今までは多く国内での比較でしたが、これからは世界規模での比較になります。すでに一部ではそうです。
そういう厳しい時代を生き抜く能力を身に着けることも大事ですが、並行して今ある富を正しく次の世代に引き継いでいく、こういう発想も必要になってくると確信しています。
少なくとも自分の人生を自分で切り開いていく、そういう覚悟が必要になってきたということです。そのためには給与所得だけでなく、投資で「お金がお金を生み出すシステム作り」をすることが肝要だということです。
投資というとまだまだ危険なイメージがあります。しかし、この危険性は時間によって薄めることができます。20年、あるいは30年こういうスパンで見ていけば、市場の多少の上下はあっても資産を増やすことは誰でもできます。
若さというのはこの「時間」を味方につけることができます。若いうちに投資を始める価値の1つと言ってよいでしょう。ただ、投資の対象というのが大事です。この投資対象というのは私は米国株ETFであると思っています。さて、こうしたことを踏まえてご質問をご紹介します。
年収360万円、有効な投資をしていきたい
たばぞう様
初めてご連絡させていただきます。ほのかと申します。いつも大変参考になる記事をありがとうございます。こちらのブログで米株式のことを初めて知り、ぜひ今後米株式投資に挑戦したいと考えております。
突然恐れ入ります、資産形成につきまして、以下ご相談させてください。私は27歳(女性)でして、現在1,800万ほどの貯蓄額があります。ただ、現在収入は年360万ほどですので、ある程度安全資産も持ちつつ、投資を行うことを検討しております。
リスク資産に回せる金額は500万円程度を想定しておりまして、その投資とは別に、
積立NISA:月3万円(年間36万)
→楽天バンガード全米株式への投資
こちらの積立NISAへの投資を来年度より進めていければと思っております。
こちらの積立と並行し、米国株への投資を行う際、為替リスクのことを考えると、月に何万という金額ではなく、100-200万ずつ、一度に投資を行った方が手数料もかからないので良いのではと思い始めました。
(ただ、たばぞう様のブログにもありました、一度に投資を行ってはいけないという記事を拝見し、手数料とどちらを取るかを迷っております…)
ただいま、考えている投資先はブログでもおすすめいただいていた
VTI、VYM、HDV、BND
への分散投資を目標としております。
また、残りの金額については、現在普通預金に預けているため、来年度より安全資産をまとめ、国債を買えればと考えております。
まだ知識不足の点もあり、拙い質問となっておりますこと恐縮です、もしたばぞう様でしたらこのような資産構成の場合、どのような投資をされるのかお教えいただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
ほのか
豊かな貯蓄額は今後虎の子の資産になる
まず、1800万というのはこれは虎の子の資産です。というのも、360万円と言われる年収の5倍にもなります。今後の人生を豊かにする、大切な切り札と言ってよいでしょう。これを原資にいかに分散投資をしていくかというのが守りの投資術になります。
守りの投資術
守りの投資術に関して改めて書いておきます。
- 信用売買をしない
- CFDをしない
- 現物を積み立てる
- 投信あるいはETFのみを買う
ズバリこういうことです。信用売買やCFDは勝てれば大きく資産を伸ばせる夢のような投資方法です。しかし、その夢は悪夢に変わることもあります。それはNYダウが1000ドル下げたときにロスカットが続出したことからも明らかです。
これに対して現物、しかも投信あるいはETFであれば少なくともゼロにはなりません。しかし、レバレッジ系のETFはこれもやんちゃ投資なので守りの投資術を目指す人には手出し無用です。
「損して得取れ」分散投資
まず、100万200万の一気投資はおススメしません。手数料は確かに安くはありませんが、それ以上に相場の変動幅のほうが大きいです。特に今はボラティリティが市場全体で上がっています。
こういう中で「ドカン」と一気に投資するのは当たれば大きいですが、外れると痛手を被ります。守りの投資術を目指すならば、ここはセオリー通り時間の分散、ドルコスト平均法です。
年収360万円の投資術のまとめ
まず、今年に入って単純な右肩上がり相場が終わりました。ですので、ここは
- イデコの活用
- つみたてNISAの活用
という二つの税メリットを最大に生かすことが肝要です。職種にもよりますが、これだけで月々5.5万程度のつみたてになります。また、イデコはご質問には書かれていませんが、税控除も効きますから効果は大きいです。また、退職控除も退職金が少ない場合には絶大に効きます。
もちろん、この投資には貯蓄額からの資金も充てます。
最初はこのイデコ枠とつみたてNISA枠を活用した投資で金融リテラシーを養うのが良いと思いますよ。「虎の子の貯蓄」、これが年収を補ってくれるはずです。一気にドカンと使うのはリスキーです。
そうすると、年間で66万円のつみたてになります。これにプラスして、だいたい分かってきたら月々10万ちょっとのETFか投信買い付けをしても良いかもしれませんね。100万はやりすぎだと私は感じます。
買う対象に関しては、関連記事をご紹介しますので、そちらもご覧になってみてください。
関連記事です。
イデコとつみたてNISAでの商品選びについてです。
月5万円の投資、時間をかけることで見える景色が変わります。
私は毎日つみたてをしています。結果として、毎日来る買付レターに埋もれております(笑) これは予想していなかった。