定年退職後の資産運用計画はどのように立てるのか
弊ブログでは多くのご質問を受け付けています。40代までだと、まだ資産運用期間が長く取れ、50代からはちょっと時間が無くなってくる、60代になると総まとめという印象です。
気が付けば私も40代であり、あと10年もすれば50代になるわけです。そう考えると、意外に残された時間は長くないと実感をしています。しかし、年を取るということは、必要なお金も少なくなることを意味します。
まず、人生における残された時間が少なくなりますし、いずれ扶養家族も減るからです。そういう意味では、リタイアというのは年を取ってからのほうが難易度は下がります。それも小さくないレベルでです。1年違うだけで数百万変わりますからね。堅実に貯めたり、投資したりしてきた人にとっては、50代でのセミリタイアというのは現実的な選択肢でしょう。
20代や30代の多くの人にとって、そうした実感はないかもしれません。しかし、資産運用というのは、特に複利というのはそういう効果がありますね。早ければ40歳前後でのリタイアも可能になります。センスと運がよければもっと早いですね。
さて、定年退職を間近に控え、いままで貯蓄や投資に励んでこられた方からのご質問をご紹介しますね。
60歳定年で結婚した後の資産運用計画をどのようにするか
たぱぞう様
毎日ブログを楽しく拝読させて頂いております。
色々示唆に富む内容が書かれておりますが、いざ自分自身に当てはめるとどうしようかと悩みます。
というのもあと少しで60歳定年を迎えるにあたり資金をどう配分して行くか悩んでいます。幸いにも蓄えはあるのですが、いざ定期収入が無くなると心理的に不安があります。
原資を減らすことなく、インカムで普通に生活をして行けたらと思っています。バランスとポートフォリオを組む時間軸についてアドバイスいただけたらと思います。
- 家族構成:長年独身でしたが縁あって近々にパートナーと生活をすることになります。(パートナーも収入はありますが、頼らない前提で考えています)
- 住居:賃貸住まい。都内に相続した土地と一戸建があるが住むか未定、別途購入も未定。
- 投資経験 日本、米国株式を中心にそこそこの経験あり。
- その他、太陽光発電を取り組み中。(太陽光は融資を引いてレバレッジをかけられるミドルリスクアセットとして位置付けています)
- 現預金 日本円 5000万 米ドル 35万ドル(米国の銀行口座)
- 証券会社口座 3000万 (日本株1000万、米国株800万 中国株200万 待機資金1000万、日本株は現在REITを中心に保有、米国株・中国株は個別)
- 投資信託 500万(英国の口座)
- 退職金は2400万くらい(内DCでの運用が600万程度)
※5000万+3000万+500万+2400万=約1.1億の資産
とりあえず日本円2000万、米ドル35万を米国ETFを中心にしたポートフォリオでどうかなと思っています。これと証券口座資金合計で月25万くらいのインカムが確保できたらと思っています。
証券口座の方は待機資金の1000万は米国ETFとREITのような高配当銘柄で構成させ、個別株は今の規模程度で続けて行こうかと思っています。(主に米国株)
退職金は2400万くらい(そのうちDC運用が600万くらい)ありますが、これは第二段として考えます。(マイホームを買うかもしれませんが、今のところ住むところにこだわりがないので。。海外もいいと思ったりしてますので)
当面は約7000万でETFを買い付けるとして、オススメ銘柄バランスと時間分散についてアドバイスもらえたらと思います。
毎月機械的に買って行くのがいいのでしょうが、タイミングをみて少しまとめて買うのもありかと。(個別株をやっているとどうしても後者を考えます)
買い付け期間はどのくらい取るのがいいのでしょうか? (毎月100万でも5年以上かかりますね)
証券会社は分散した方がいいのか。(楽天、マネックスは口座あり、IB証券はどうでしょうか?)リバランスはどうするか?(アセットアロケーションの基本ですが)
よろしくお願いいたします。
定年退職後の資産運用はディフェンシブにならざるを得ない
ご結婚おめでとうございます。定年退職して、時間ができたところで新しい方との生活が始まる。本当に素晴らしいですね。
まず、現段階で退職金込みのペーパーアセットが1.1億円ありますね。これに65歳からの年金が加わります。すでに数千万規模での株式投資もされています。仮に保守的に老後の資産運用の理想を「債券or現金70:株式30」と考えると、もう投資済みと考えても良いでしょう。
現役時代のキャッシュフローが出る中での投資と、定年退職後の投資は大きく変わります。つまり、追加投資が難しくなるということです。そのため、無理して現金を株式に変えていく必要はありません。増やすフェーズから、使うフェーズへ移行して良い段階だということですね。
日本株がしっかりしていれば、配当控除を意識した投資になるところですが、市場のセンチメントは内外問わずやや不安定です。
そうなると、今あるアセットの入れ替え、あるいは損切り、益出しというのが堅実かもしれませんね。ちなみに、所得がない状態で米国ETFをドルで買うと、外国税額控除による源泉徴収課税を取り戻せないことになります。年金が出ればまた所得が復活しますが、投資信託での課税繰り延べがシンプルですね。
こうした背景を踏まえて7000万円の運用です。どうしても米国ETF、株式3:債券7の割合で投資していくならば、少なくとも5年以上をかけてS&P500ETF&投信とBNDなどの債券に投資していくというのが王道になります。VTI部分は投資信託でも良いでしょう。BND部分は先進国債券投信でもよいでしょう。ただし、特に債券は低金利で急がなくてよいタイミングです。
BND部分を日本円で持っておくのも考え方の1つでしょう。そうすれば、投資信託でもリバランスしながらポートフォリオを組めます。
7000万の投資額であるならば、ざっくりこれだけでも月間平均で10万円ちょっとのインカムを得続ける事が可能になりますね。とにかくごちゃごちゃせず、シンプルに組み立てていくのが大事です。
高齢になってくると、自分での管理だけでなく、家族も含めて管理を共有していくという発想が必要になります。より一層のシンプルなポートフォリオのほうが良いということですね。
何かご参考になれば幸いです。ご質問ありがとうございました。
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定年退職後の資産運用で大事にしたいことです。現役世代の資産運用とはマインドセットが明らかに異なりますね。「守り」ということです。
50歳前後は、自分のあり方や今後を考える年代ですね。
経済的な自由をテーマに書いています。