世界の平和な国ランキング【2022】
オーストラリア、シドニーに本部が置かれているThe Institute for Economics and Peace (IEP)が16年にわたり発行しているGlobal Peace Index (GPI)の2022年版です。今日はそのご紹介をします。
2022年は163の国と地域をランキングしています。
ランキングは
- 「国内外の進行中の紛争(Ongoing domestic & International Conflict)」
- 「社会的安全とセキュリティ(Social Safety & Security)」
- 「軍事化(Militarisation)」
の3つのカテゴリーに分類された23の質的、量的データで判定しています。
視点は下記のように公表されています。
世界の平和な国ランキングトップ20
上位20位は以下の通りです。
上位10か国について、簡単にご紹介します。
1位:アイスランド
実は15年連続1位にランキングされています。アイスランドには軍隊がありません。
犯罪率が低いです。
また定評ある教育と福祉制度があり、雇用と収入、幸福感(wellbeing)で最高の国にランクされています。
2位:ニュージーランド
2017年から連続して2位にランキングされています。
平和には直接関係ありませんが、住宅価格は相対的に高いそうで、低所得の人の住宅取得が困難など、貧富の格差が拡大しており、最大の経済問題と考えられています。
3位:アイルランド
世界で最も裕福で、最も発展し、最も幸せな国の一つです。
GPIで3位は過去最高の順位です。
4位:デンマーク
2011年以降5位以上にランキングされています。
高い政治的安定性、報道の自由、人権の尊重が国家としての特徴です。
しかし、2018年、東欧と北欧におけるロシアの軍事活動活発化の脅威に対抗するため、軍事支出で国家GDPの2%というNATO加盟目標を達成するために、防衛予算を20%増やすという画期的な党派横断的な政治的合意に達しています。
デンマークは北欧の隣国スウェーデンとノルウェーの支出水準に足並みを揃えています。
5位:オーストリア
冷戦が終わって以来、人口わずか900万人程度のオーストリアは、EUの若いメンバーとして、そしてNATOの外で各国といい関係を作ろうとしてきました。近隣諸国との協力の新しい形を受け入れる傾向があったということです。
5位というランキングはその結果が反映されたものでしょう。とはいえ、近年はやや治安が悪化していると評価されています。
6位:ポルトガル
GPIでは近年順位を上げている国です。
住宅、ワークライフバランス、個人の安全、環境の質の面で先進国の平均を上回っていると評価されています。
7位:スロベニア
ヨーロッパの新興国としてはGPIでトップランクです。
8位:チェコ共和国
ピルスナー・ウルケルなどビールでおなじみの国ですね。昨年から1つ順位を上げています。
過去10年間で、政治的安定から個人の安全、国際関係に至るまで、多くの分野で持続的な改善を示してきました。
25歳から64歳の94%が高等中等教育を受けており、先進国に引けを取らない高い教育水準を有しています。
9位:シンガポール
2008年には22位でしたが、順位を上げてきています。
皮肉にもランキングの上昇は何かの犠牲によってもたらされると言及されており、軍事化は進んでいると評価されています。
シンガポールは繁栄を海上貿易に依存しています。インド洋と太平洋の玄関口となるマラッカ海峡を船舶が円滑に航行するための海軍資源を持つことが極めて重要という地政学的特徴に言及されています。
10位:日本
犯罪率の低さを高く評価されている一方、近隣諸国との関係では、中国や北朝鮮との緊張の高まりが懸念される分野と評価されています。
また日本の憲法は2014年に再解釈され、国の軍事力の再構築と増強に先立つ「集団的自衛」を可能にしたとも言及されています。
一人当たりの軍事支出が相対的に少ないこともランキングを押し下げる要因と指摘しています。
住んでいると気づきにくいですが、これだけ安全で自由な国は他になかなか無いのも事実でしょうね。先人が築き上げてきた無形のレガシーと言ってよいでしょう。
世界の平和な国ランキングのまとめ
さて、2022年版にはロシアとウクライナの戦争に関しては
“The impact of this war is only partially captured in the Global Peace Index 2022, as the conflict broke out shortly before the cut-off date for the compilation of some GPI indicators.”
(この戦争の影響は、いくつかのGPI指標の編集の締め切り日の直前に紛争が勃発したため、世界平和指数2022に部分的にしか捉えられていない)
という記述があります。
しかしながらすでに、防衛政策、防衛態勢、食糧安全保障上の根本的な変化を引き起こしていると指摘しています。
ヨーロッパの国が上位にランキングされている2022年版ですが、来年はやや大きな変化が見えるかもしれません。
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