ワンルームマンション投資は上級者向けの投資
ワンルームマンション投資に興味を持たれる方も多いのではないでしょうか。友人・知人から相談を受けることが最近多いので、改めて考えてみたいと思います。
まず、ワンルームに限らずマンション投資というのはなかなかレベルが高い投資だということです。戸建てや一棟ものと違い、土地が残るわけではありません。そのため、路線価などの土地値から考えるのも限界がありますし、修繕積立金なども恣意的に抑えられているケースがあり、初心者が正確な利回りを出すのが難しいということです。
同じマンションや近隣のマンションの一室がどのぐらいの値段で売られているのか比較するのが基本になります。
そもそも、不動産投資自体が現状なかなか難しく、マーケットに出ているものをそのまま買おうとすると、概ね高いというのが今の相場です。つまり、値引き交渉をするとか、値付け間違いのものを即決で購入するとか、あるいは不動産屋さんとの強力なコネクションがあるとか、そういうひと工夫が必要になるということです。
そうなると、初心者がいきなり買ってうまくいく例というのは極めて少ない、ということになります。特にワンルームマンションに関しては数々の資料を見てきましたが、「これなら回るね」というのは殆ど見たことがありません。
おそらくそれは、業者から提案されたのをそのまま私に見せているからだと思います。さすがにこれは、というものが多いというわけですね。
さて、そんなワンルームマンション投資ですが、関連してご質問をご紹介します。
ワンルームマンション投資は低リスクという話があります
不動産に関して質問致します。長文駄文になることをあらかじめお詫びします。
たぱぞう様は、野立て太陽光など不動産に関する知識も深いと推察致しますが、ワンルームマンション投資に関してどのようにお思いでしょうか?
ご存知とは思いますが、ワンルームマンションを購入し、それを他人に賃貸し、家賃収入を得るというインカム投資です。
以前は、空室リスクや家賃滞納リスクが足枷でしたが、最近は手数料を払うことでそれを完全保証する業者もいます(その保証制度が永年続けばという前提ですが)。
利点としては(理想論ですが)、
- 老後まで(相続後は子孫まで)、マンションの耐久が許す限り家賃収入が見込める。
- 不動産はインフレに強く、それに見合った家賃収入が見込める。
- 団信による生命保険効果がある。
- 節税効果が(比較的)高い
リスクとしては
- 家賃値下がりリスク
- 空室発生や家賃滞納による未収入リスク(保証してくれる業者あり)
- 金利リスク
- 災害(地震・火災)リスク
- 建物の構造上の欠陥リスク
ちなみに私は1度、この投資に関して直接プロの人から話を聞く機会があったのですが、「建物欠陥リスク」といつ概念はない。行政の厳しいチェックを通ってから建てるので、その時点でそのリスクは排除されている、という考えだそうです。
行政も完璧ではないですし、過去にも似たような事案は発生しているのでリスクは0ではないと私は思うのですが…
リスクのない投資はないですが、特にリスクが高いと言えますね
リスクはやはりありますね。まず、その家賃の値付けが適正かどうかということです。
例えば、都心からちょっと離れれば、家賃2万、3万というアパートはゴロゴロしています。そういうところで例えばRC、鉄骨の新築ワンルームを買っても、当初の計画通りの家賃を取り続けるのは至難の業でしょう。大体、想定レントロールからして盛っているケースもありますね。なかなか無茶な家賃設定をしているケースが散見されるということです。
それ以外にも、空室率の想定が極めて低い、部屋が狭い、駅から遠い、返済比率が異常に高い、などですね。
また、よく言われる節税効果ですが、これも考えようです。まず、赤字経営になると、住民税の普通徴収で損益通算をサラリーマンの所得と合わせてしたくなりますが、副業ばれのリスクは跳ね上がりますね。住民税が不自然に下がるからです。
黒字ならば自分で納付すれば住民税は変わらず、総務からは見えません。赤字だと住民税が明らかに下がりますから、見えやすくなるというわけです。
同時に、減価償却は魅力ではありますが、ワンルームマンションは新築だと法定耐用年数が47年ですから取れる金額も少ないです。あえて築古を狙って、法人の利益が出た年にぶつけて4年程度で償却するという手もありますが、そういう発想になる人はそこそこ知識のある人でしょう。
とはいえ、どの業界も成功者という人はいます。きちんとした値付けのワンルームマンションを買い進め、成功している人もいますね。ただし、大して仲良くもない誰かが持ってきたものをポーンと買って、誰でもうまくいくような世界ではないということです。
ワンルームマンション投資あるある
ワンルームマンション投資あるあるをいくつか示しておきます。
まず、新築ワンルームはめ込み商法です。新築のワンルームマンションは業者の利益がたっぷり乗っています。投資用マンションというのはおおむねそうです。一軒当たり500万~1000万程度は市況から見て高い、というのは知っておいて良いでしょう。いきなりその額を取り返さなくてはいけないわけですから、難易度は高いです。
次に、ローン借り換えマジック商法です。カードローンなどの返済に困る人が釣られるのですが、オーバーローンを引いて、一気にカードローンを返済するというスキームです。月々のカードローン返済に苦しんでいたのが、あら不思議、ワンルームマンションの返済に早変わり、ということですね。
これは金利は軽くなりますが、負債が激増します。これで客付けがうまくいかなかった場合は一気に自己破産の道を歩むことになります。まず、良くてカツカツ、大体うまくいきません。そういう業者はそれなりの物件ではめ込むことが多いからです。
これもよく聞く例ですね。カードローンが苦しくなると、視野が狭くなり、そういう一発逆転にかけたくなるということですね。
いずれにしても、新しい投資に取り組む時は、複数の経験者に聞いて、なおかつ本も読み、知識を付けた上で取り組むのが良いですね。人によっては、例えば山の手新駅案件・田町再開発案件で倍近くのキャピタルを得た人もいるのです。
こういう海千山千な投資案件からすると、米国株ETFや投資信託というのは現物ですから、非常に安心な投資先ということになります。レバレッジというのは、人を幸せにもしますが、不幸のどん底に陥れる可能性も無くはないのです。
ご質問ありがとうございました。ともにがんばりましょうね。
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