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スマートベータETFとは

スマートベータETFとは

 指数連動のインデックス投資が投資の王道であることは疑いの余地はありません。それがバンガードの隆盛であり、SPYなどS&P500連動のETFであったりしたわけです。それに対し、アクティブファンドは少数の優れたファンドが実績を残してきました。

 

 昨今、インデックスとアクティブに加えて、スマートベータETFというETFが市場の話題になっています。そして、今後の動静が注目されています。従前のインデックスやアクティブとどこが似ていて、違うのか。

 

 まとめておきたいと思います。

世界で爆発的に増えているETF

 まず、状況としてETFが世界的に爆発的に増えているという背景があります。使われる指数はMSCI、S&P、Barclaysなど様々ですが、押しなべて利用が拡大しています。リスクを分散し、リターンを得る。ETFはまさに金融テクノロジーの恩恵と言ってよいでしょう。

 

 これらの指数に基づいたパッシブ運用は個人投資家含め、機関投資家にとっても投資の主流になっています。同時に、昨今スマートベータETFの利用も伸びており、将来的にはかなりのアクティブファンドのシェアを侵食してくる可能性があると見込まれています。

 

 また、インデックスというのは非効率な実態の良くない企業銘柄、あるいは買われすぎの企業銘柄というのを取り込む可能性が付きまといます。ETFによっては何千社も取り込んだ指数が、そういう非効率なリスクをはらむのは宿命と言ってよいでしょう。

 

 それは、行動経済学という理論で説明されます。そして、もしそういったリスクを極力排除、あるいは計算できるならば、理想の運用が実現するということになります。

 

 つまり、後述するファクターごとに精選していけば、効率的な投資が可能になるのではないかという仮説も成り立つわけです。具体的には10社~20社で程度に絞り込んだほうが、投資効率は向上する可能性があるということです。

ファクターとは何か

 MSCIの資料からの抜粋です。

ファクター 内容 指標
バリュー 株式本来の持つ価値に対して、株価が低くなっている場合のリターン 純資産倍率、株価収益率、簿価、売上高、利益など
サイズ 成長株など小型株のリターン 時価総額規模
モメンタム 流行りの、より好調な株式のリターン 株価のリターン
ボラティリティ ベータなどの値動きのリターン 標準偏差やベータ値
クオリティ 安定的な利益成長を持つ株式のリターン ROE,収益安定性、配当成長、財務基盤、など
イールド 高配当利回りのリターン 配当利回り

 ファクターは6つに分類されますが、このすべてのファクターが常に妥当な評価がされているかというと、そういうわけではありません。

 

 時に市場は非効率です。不自然に割安であったり、小型株が過小評価されていたり、逆に成長株が過大評価されていたり、ということです。

 

 これらのファクターからは長期的には差益ともいえるプレミアムが発生すると見込まれます。そういう意味では、小型株のアクティブ運用や、バリュー投資、あるいは高配当投資などはファクターに注目した投資の一形態と考えられます。

 

 どれか1つ、2つのファクターを選んで投資をする考えもあれば、すべてのファクターを網羅した、マルチファクター投資をするという考えもあります。また、マルチファクターでもどこかに比重を置いた、傾斜比重のファクター投資という考え方も成り立ちます。

 

 このファクターという考えをもとにしたのがスマートベータ投資であり、ETF化したものがスマートベータETFということです。

パッシブ運用との共存は可能なのか

 ファクター投資と言えども、基本になるのはスマートベータ指数、ファクター指数と言われる指数になります。そういう意味では今全盛を誇るインデックス指数との対立というのが気になるところです。

 

 MSCI社の捉えでは、すべての基本となるのは時価総額だという考えです。そのため、時価総額指数が無くなることは無いし、これからも投資家全体として所有できる唯一のポートフォリオとして中心的役割を果たすだろうということです。

 

 つまり、スマートベータ指数は、時価総額に基づいたベンチマークの代替になるようなものではなく、「補完的な役割を果たす」ということです。

 

 現在、米国ではスマートベータETFと呼ばれるものが上場し、数も増え始めています。東証にも数銘柄あります。自分がどのETFを買うかを考えるときに、このファクターという要素を前提にしてETF銘柄を選ぶと理解がしやすいかと思います。

最後に

 指数会社のMSCI(Morgan Stanley Capital International)の内 誠一郎氏にお話を伺いました。内 誠一郎氏は東証からS&P、MSCIと転職されており、指数のスペシャリストです。

 

 MSCIの方から、まさか投資先を「かなり」絞り込むという、パッシブとは違う方向のお話を伺うとは思いませんでした。そういう意味でも刺激的で面白かったですね。

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 この記事は、東京証券取引所主催の比較的ドメスティックな勉強会での話に基づいたものです。ブロガーの虫取り小僧さんにお話をいただき、ほかに日経新聞の田村さん、トムソンロイターの植竹さん、FPの竹川美奈子さん、ブロガーの吊ら男さん、kenzさん、nightwalkerさんが出席されました。

 

 このほかにも興味深い話が多々あったのですが、今回はスマートベータETFに絞りました。2時間に及ぶ会で、「誰得のマニアの会だよ(笑)」という声も聞かれましたが、あっという間に時間が過ぎた充実した会でした。

 

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