キャピタルゲインとインカムのどちらをとるのが望ましいのか
よく、キャピタルゲインとインカムのどちらを重視するのが望ましいのかということが議論になります。それに関しては、Topdown chartsのこちらの資料が答えになるのでしょう。
水色がキャピタル、インカムつまり配当が濃い青の部分です。この表を見てもわかるように、米国のリターンの源泉はキャピタルにあります。これには背景があります。
それは、GAFAMなどを中心とした大型グロース株の時価総額の伸長がすさまじいものだったからです。そういう意味では、特に21世紀のGAFAMの成長というのは、IT発の産業革命だったと言えるのでしょう。
また、同時にこのグラフからは重要なことが読み取れます。それは、新興国、あるいは米国を除いた先進国も「世界平均」に勝てないということです。つまり、トータルのリターンを引っ張ったのは米国であり、それ以外の国は世界平均に劣ったということです。
過去25年、特にこの10年に関する限りはそのような傾向だったということです。
キャピタルにしても、インカムにしても「プラス」を前提にしている
このグラフを見て、このような結論を付けることもできるでしょう。
- キャピタルゲインが優れているから、高配当投資は良くない
- 米国のリターンが圧倒的だから、全世界投資は良くない
- 特に新興国のリターンは低いから、しないほうがいい
・・・いかがでしょうか。
気を付けなくてはいけないのは、こういった実績というのはあくまで過去だということです。「過去に現在を見る」あるいは「未来を見る」というのは大事なことです。しかし、絶対ではないということですね。
私は「投資はストーリーである」ということをよく書いてきました。要は、自分が何を求めて投資をするのかということですね。
もし、高配当による安定的なインカムを求めるならば、それは妥当性がありますね。あるいは、新興国に行き、その勢いに共感をしたならば、新興国投資をするというのも妥当性があるでしょう。
要は、自分が納得できる方法を採用して、続けていくというのが大事だということです。「腹落ち」した投資ならば、相場が動揺した時に安値で売ることもないでしょうし、目先の高値で小幅に利益確定してしまうこともないということですね。
ただし、新興国通貨のように明らかに買ってはいけないものもありますから、そこに気を付ければよいのですね。
いずれにしても、株式投資というのは長期でプラスになってくる性質のものです。簡単に言うと、自社株買いで1株あたりの価値を高めたり、企業収益を伸ばすことに各企業は注力するからですね。
上の表は日本株インデックスの年毎のリターンです。日本株インデックスのリターンの低さは良く語られます。しかし、近年はそれなりに健闘しており、以前ほど悪くありません。何十年という単位で見れば、やはりプラスリターンになってくるのですね。
キャピタルゲインにしても、インカムにしても「プラスサム」を前提としたシミュレーションで検討ができるというのは、実は幸せなことです。プラスが大きいか、小さいか、そういう話なのです。
すべてのアセットが「プラスサム」で議論ができるわけではないので、やはり株式というのは前提条件が恵まれているということです。
- 投資対象の分散
- 投資時間の分散
この2つを行えば、長期ではプラスに収れんしてくる、そういう投資であるということですね。実は、冒頭のグラフで最も大事なことは、このことだと思います。そういう意味では、それぞれの投資にそれぞれの意味があるということですね。
投資というのは答えが1つではないですから、自分が腹落ちする方法を探すのが求められるところです。「投資は自己責任」というと、何か突き放すような冷たい印象を受けますが、実はそういう背景があるのですね。
自分の心に寄り添った資産運用が一番だということです。私はSNSやブログで議論をしませんが、それはそういう考えだからです。
米国株のトータルリターンは鈍化するのか
数年前、MSCIコクサイの米国株比率が7割を超えたということが話題になりましたね。
MSCIコクサイは日本を除いた先進国株への投資をするために使われることが多い、インデックスです。オールカントリーなども米国比率が上昇していますね。
米国株の強さは出色と言ってよいですが、ここに不安を覚えるならば全世界、あるいはMSCIコクサイなどの地域分散になるのでしょう。
いずれにしても、百家争鳴いろいろな主張があります。1つひとつ深刻に考えるのではなく、それを楽しみ、自分なりに深めていくということが大事ですね。
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