上昇続く米国株式市場はどこまで伸びるのか
NYダウ、NASDAQ、S&P500の3指数とも高値圏にあり、2019年は非常に好調な1年となっています。2018年こそマイナス圏でしたが、一気に取り戻した感があります。
気が付けばFRBの金融政策はトランプ大統領の意向を十分に汲んだものとなっており、3回の利下げは市場心理を大きく改善させました。また、不安の見えた経済指標でしたが、比較的安定した企業決算が不安感を拭い去る結果になっています。
こうした中、一部にはリセッション懸念も依然としてくすぶっています。少し前に話題になった逆イールドや、過度なレバレッジを効かせたファイナンスの拡大、これらがどのように作用してくるのかということですね。
さて、今回は長期に渡る株価上昇の中で、積み立て投資を止めたという方からのご質問を紹介します。
リセッションを想像し、積み立てを一時中断しました。
たぱぞうさんこんにちは。
いつも記事を興味深く拝見させて頂いております。私は現在30歳の会社員です。
去年から米国株を始めてslim s&p500を400万程保有しております。この他に定期預金が1100万ほどあります。当初3〜5年かけて1500万を株式に移行する予定でした。
しかし米国の景気後退、リセッションが囁かれるなか、今まで通り積立することにやや疑問を感じています。実際ここ数ヶ月の株高で積立を一時中断しております。
私としては一度利益を確定してキャッシュポジションを増やし景気後退後、再び株式に資金を投入するほうがいいのではないかと考えています。投資資金は今後20年程は手を付ける予定のないものです。
投資方針としては2000万を超えるまで米国一本で行く予定です。ここで質問ですが、来るかわからない景気後退に備えるがいいのか、このまま積立を続けたほうがいいのか、たぱぞうさんの意見をお聞かせ下さい。
また、下落率の低いと言われる生活必需品セクターETFなども興味があります。現在のリスク資産および余剰資金をどのように考えていいでしょうか。ご教授下さい。
リセッションへの備えは、結局資金管理に尽きる
とても良い質問をありがとうございます。これだけ好調な市場が続くと、逆に不安になりますよね。そういう方は他にもいらっしゃるかもしれませんね。そういう意味で、とても良いご質問です。
もちろん、積み立て投資の基本は、コツコツと長く続けることです。
しかし、一番大事なのは資金管理ですね。過度にリスク資産に自分の資産を入れて、ドキドキする毎日を過ごすことは無意味なのです。自分にとって心地よい水準の投資額が適正です。今ある株価水準が高いのか、安いのか、それは、10年20年後に答えが出ているのでしょう。
企業業績がついてきており、ヨーロッパの経済指数も一部に良化の兆しが見られます。10月の決算ラッシュを無事に乗り越えたのはよかったですね。微妙な経済指標を、企業決算でカバーするという流れが確認できた形になりました。
テクニカル上はS&P500はうわ抜け、以前あった3000ポイントのレジスタンスはサポートラインとなるべく下値を固めつつあるようにも見えます。3200ポイントの中期的なレジスタンスが意識される展開です。
もろもろ考えると、極端に市況に悲観的になる要素は直近では少ないですね。
日本市場と大きく違うのは、S&P500などの米国主要指数は、基本が右肩上がりだということです。もし、3年、5年というスパンが不安であれば、10年あるいは20年というスパンで積み立て投資をすればよいのです。
あるいは、質問者さんのように一旦停止をするというのも手でしょう。いずれにしても、再現性の極めて高い、非常にシンプルな投資です。投資の要諦は「良いものを 続けて長く 保有する」ことですから、今までの積み立てを大事にしつつ、スピード調整するのは悪いことではないと思いますよ。
ただし、あまりに相場にとらわれると、暴落時に何も買えない、買い場を逃すということも起こりえます。機械的にするか、ある程度意思を盛り込むか、このあたりも考え方次第ですね。
基本は、「定額定期積み立て」ですけどね。そういう意味では投資額を落として、細々と取り組んでいくという選択もあるように思います。
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うまく相場を読んで、うねりに乗るのも1つの才能ですね。つみたて投資が優れているのは、そういううねりを無視して淡々と積み上げれば、それ相応の成果が得られるというところです。再現性は極めて高いと言って良いでしょう。
定額を定期的に投資する方法は、再現性が高いです。しかし、デメリットも無いわけではないですね。短期で多くのお金を得られる仕組みにはなっていないということです。このあたりの機微をどのように考えるかで投資の方針が決まります。
時間軸を長く取ると、投資の難易度は下がります。もっとも、日本市場のような、ボックス圏にある相場は難しいです。右肩上がり市場であれば買値が固定されたまま、実際の価格が上がるので暴落にも耐えうるポートフォリオになります。