たぱぞうの米国株投資

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米国FRBの利上げによる今後の影響とは

FRB、米国連邦準備制度理事会が利上げを決定

 米国連邦準備制度委員会(FOMC)でFRBがフェデラル・ファンド金利の目標をさらに引き上げる決定をしました。平たく言うと、政策金利の利上げを決定したということです。背景としては、16年ぶりの水準まで下がった4.3%という失業率、堅調な設備投資が後押しした形になりました。

 

 具体的には0.25%引き上げ、年1%~1.25%という誘導目標にしています。FRBは年率2%程度の経済成長を理想としており、そのためには2018年、2019年も引き続いて利上げをし、3%程度の金利が望ましいとしています。

 

 また、今回は利上げだけでなく、リーマン前の1兆ドルから4.5兆ドルへ積みあがったFRB総資産の縮小という方向性も示され、一歩踏み込んだ内容になっています。

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Effective Federal Funds Rate | FRED | St. Louis Fed

 こちらはFF金利の60年チャートです。21世紀以降ですと、2000年ITバブル時に1%まで下げ、その後2004年から2年間かけて5.25%に上げました。

 

 サブプライムローンが騒がれ始めた2007年から段階的に下げ、リーマンショックを経て2009年から2015年まで地を這うような金利だったわけです。2015年から利上げに転じ、2016年は連邦公開市場委員会、FOMCがあるたびに利上げするのではないか、という思惑が交錯しました。

 

 結局、2016年は横ばいの金利だったわけです。

 

 今までだと一度利上げされると比較的短期に、段階的に利上げが継続されてきました。今回の利上げペースは過去に比べると比較的緩やかです。これは米国経済は比較的強いものの、世界的に見ると弱含んでいる昨今の経済状況を反映したものでした。

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 こちらは5年チャートです。 2016年11月以降の米国株高を受け、ようやく順調に利上げペースを早めていることが分かります。利上げによる影響を、今後の投資活動のためにもまとめておきたいと思います。

米国の利上げによる予想される影響

新興国の通貨安・資金流出懸念

 金利が上がれば上がるほど、金利の良い米国に資金が向かいます。どうしてもリスクのある分、新興国は比較的高金利で資金調達をします。そのため、米国など資金が潤沢な国が低金利になると新興国にも資金が流れてきます。

 

 しかし、米国が利上げをし、運用益が見込めるならば、より安全な米国に投資家は資金を向けるようになります。今まで低金利で調達した資金は米国内だけでなく、多く新興国にも流れていました。その流れが還流し始めるということです。

 

 そのため、ドル高が起きやすい状況になります。もし、このペースで利上げが進むならば、ドル円もドル高方向に落ち着くのが自然ということになります。

 

 ただし為替は多分に政治的であり、シンプルにセオリー通りにはいかないのが難しいところです。

債券安になる

 金利が上がると債券価格は下がります。100円で1%の金利だったものが、後発で100円で2%の商品が出ると、古い1%債権をだれも買わなくなります。そのため実質2%にするために、100円だった債権を値下げして売ります。

 

 だから、金利が上がると債券価格は下がります。

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※グーグルファイナンスから

 バンガードの債券ETFであるBNDとブラックロックの債券ETFであるAGGです。12月14日の決定を受けてきれいに下げているのが分かります。今後、継続的に利上げが行われると、セオリー通りならばさらなる下げが見込めます。

 

 ただし、これもセオリーに反して2017年4月に入り反発基調です。今後も引き続いて注目したいところです。

日銀政策金利との矛盾

 対する日銀は低金利政策です。長期金利を0%程度として、操作目標を置いています。介入をちらつかせることで、金利が上がるのを防いでいます。

 

 介入とは具体的には国債の買い入れ額を増額する、さらには指値を示してその指値で国債を買う、などです。ただし、すでに国債の4割を日銀が保有するという状況の中、さらなる大規模買い入れは難しいところです。

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長期金利推移グラフ | 日本相互証券株式会社

 10年ものの長期金利です。2016年7月に底打った後に、金利は上昇傾向を示しています。米国の景気や金利の影響を受け、日本の金利が上昇してくると日銀の思惑とは違う方向に動くことになります。

 

 日銀と政府は当然ながら景気を維持したいところですから、金利上昇策を取りづらいです。すると、低金利継続のために、違う手を打つ必要がでてきます。そういう意味でも、日本の金利動向にも注目したいところです。

株価はどうなるのか

米政策金利の推移と株価

http://www.world401.com/data_yougo/usa_kinri_eikyou.htmlより引用

 

 1991年からのS&P500とフェデラル・ファンド金利のチャートです。利上げの初動ですぐに株価が下がるということは過去ではありませんでした。むしろ、利上げが行われるということは米国経済が好調ということですから、株価も利上げ後しばらく上がっています。

 

 確実に言えることは、株価が下がり始めたとき、米国経済が変調をきたし始めたときにはフェデラル・ファンド金利はすぐに下落に転じているということです。常に適切な金利政策を採用することは難しく、どうしてもやや後手になるのは、いたしかた無いところです。

 

 しかし、リーマンショック後の株価の伸びをみると、むしろ利上げタイミングとしては遅いぐらいです。FRBの経済政策の手持ちカードを増やす意味でも、利上げというのは時機に適ったものだと言えそうです。

米国FRBの利上げと感想

 願いとしては、このまま利上げを継続し、やや過熱感のある経済を持続可能な形に落ち着かせてほしいというものです。しかしFF金利3%というのは、日本や欧州が低金利にある中ではかなり難しい目標と言えます。

 

 また、個人的にはもう一回の暴落局面が無い限り、今ある株式資産が大きく減る危険性を常に孕んでいるという認識です。

 

 ただ、このままFRBの思惑通りのコントロール範疇の経済が続くのか。それとも意図しない不況あるいはバブルが来るのか。そして10年近い株高にいつ終わりがくるのか。FF金利と関連して注目しています。

 

関連記事です。債券系のETFは値動きに要注目ですね。

AGGとBNDは米国債中心でディフェンシブです。

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 こちらは企業債、優先株中心で、高配当ですが不況時のボラティリティが高いです。

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  ほかにはハイイールド債のJNKHYGなどもあります。