たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

HYGは高利回りの社債を集めたETF!分配金利回りはおよそ5%

【HYG】はややリスクありの高利回り社債ETF

 iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF【HYG】は、高利回り社債で構成される指数と同等水準の投資成果を目指したETFです。

 

 BNDやAGGが国債を中心にした構成なのに対し、HYGは社債、それも高利回りの社債に特化したETFと言えます。iBoxx®米ドル建てリキッド・ハイイールド指数に連動します。

 

 ハイイールド債とは、格付けが低く、元本割れの恐れがあることから結果として高利回りになっている債券のことです。そのため、個別で買うにはリスクが大きいです。HYGのようなETFでリスク分散をして購入するというのが1つの選択肢になります。

 

 設定日は2007年です。リーマンショック前という絶妙なタイミングで設定されています。他の債券ETFと比べて比較的ハイリスクと言われるHYGですので、リセッション時には取引値を下げています。

 

 信託報酬に相当する総経費率は0.49%です。BND・AGGは信託報酬が0.035%と0.04%、です。優先株式ETFのPFFが0.46%ですから、性格的にも信託報酬的にもPFFに近いETFと言って良いでしょう。

 

 株式ETFのIVVやVTIなどに比べると高いですね。この数年信託報酬は下がる傾向にありません。わりとニッチなジャンルのETFですので、一定の需要を満たしつつ信託報酬も高位安定傾向ということになるのでしょう。

HYGの値動きと分配金

HYGの分配金込みリターン

HYGの分配金込みリターン

※画像はブラックロックのサイトから

 

 分配金再投資の結果です。リーマンショックの時は70%程度まで落ち込んでいました。コロナショックでも調整しながら、株式市場の回復と歩調を合わせるようにして右肩上がりになっています。

 

 実は、取引値自体はまったくといっていいほど伸びていませんが、高分配金なのでそれが積みあがっています。

 

 2011年から2021年での分配金再投資のリターンは1.4倍です。ハイリスクと言われつつも、意外に安定した堅い値動きに見えます。次に、分配金を含まない取引値の推移を見てみましょう。

HYGの取引値推移

HYGの取引値推移
  • 2007年6月 取引値 106ドル 分配金0.586ドル
  • 2016年6月 取引値  86ドル 分配金0.397ドル
  • 2018年6月 取引値  84ドル 分配金0.384ドル
  • 2021年2月 取引値  87ドル 分配金0.359ドル

 

 取引値も分配金もぼちぼちのところですね。株式ならば購入に躊躇するレベルです。分配金再投資での結果とかなり違って見えます。ブラックロック社のETFはだいたい分配金再投資のチャートを載せていますので、丁寧ですね。

  

 取引値も分配金も成長を期待するよりは今出ている数字を見て買うETFですね。リセッション時には下げますので、そこを狙って買い向かう投資家さんもいますね。直近ではコロナショック時にはそれが功を奏する形になっています。ただ、実際にはなかなか確信が無いとできない買い方ではあります。

HYGの構成銘柄と利回り

  銘柄はすべて社債であり、株式ではありません。 

HYGの構成銘柄

HYGの構成銘柄

 この数年で上位の銘柄がかなり入れ替わっていますね。非常に分散して投資されていることがわかります。ハイイールド債といいつつも、比較的安定的な企業の社債が目立ちます。これら企業の株価も高利回りのものが多いですね。

 

 業界別では通信業界におよそ25%投資しています。それからエネルギー、石油天然ガスですね。これらのセクターはやはり個別株でも高配当です。この傾向はこの10年あまり変わりません。

HYGのセクター別割合

HYGのセクター別割合

 分配金利回りはPFFに近く、常に5.5%~6%前半というところでしたが、今は5%を切っています。ベータ値はPFFが0.26で、HYGが0.4ぐらいです。HYGのほうがやはりボラティリティは高いですね。

 

 当然ながら、コア投資というよりはサテライトで活用するタイプのETFです。インカムに魅力を覚える投資家はチェックしている人が多いのではないでしょうか。 

 

 ただし、利上げ局面では債券は値下がりするのがセオリーですから、そのことを踏まえてインする必要がありますね。逆に言うと、金利動向に応じた出し入れは地味ですが、比較的確実性の高い中期投資となります。

 

関連記事です。

 高利回りETFと言えばPFFですね。同じく金融危機には弱いですが、やはりインカム目当ての投資家に一定の人気があります。

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  こちらは同じハイイールド債のJNKです。HYGと人気を分け合っています。こちらは運用会社がSPDRですね。

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  英国株や豪国株も高利回りな株が多いです。ADRという形で米国市場に上場している外国株が多くあります。英国株ならばBTやRDSB、DEO、NGGといった具合に、多くの高配当株があります。ただし、増配は限定的なケースがあります。

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