レイセオン(RTN)はミサイルでダントツの世界一
レイセオン(RTN)はミサイルで世界トップの売り上げと技術を誇ります。よく知られたところでは、トマホークミサイルやパトリオットミサイルがあります。図抜けた軍事大国のアメリカならではの企業と言えるでしょう。
売り上げの9割以上を軍需品が占めます。
SIPRI Arms Industry Database | SIPRI
ストックホルム国際平和研究所の軍事産業ランキングです。
レイセオンは4位です。ロッキードマーチンなどと比べても高い軍需比率が目を引きます。
レイセオンのミサイルのうち、トマホークミサイルは攻撃ミサイルです。それに対しパトリオットは迎撃ミサイルです。防衛の視点から見て重要な役割を果たすため、主にアメリカの同盟国に輸出されています。
※画像はレイセオンのホームページから。いかにもなトップページです。
特に有名になったのが湾岸戦争時です。イラクのスカッドミサイルをパトリオットで迎撃し、その印象を強烈に世界に残しました。
その後、改良版が出され、現在はPAC-3と呼ばれるロッキードマーチンと共同開発したミサイルが輸出されています。日本が導入を進めているのもPAC-3です。
当然ですが政治的な要素が強いため、レイセオンという企業単体の売り込みというよりも国同士の話し合いで導入が決まります。
レイセオン【RTN】の配当とチャート
2006年10月 株価47ドル 配当0.24ドル
2016年10月 株価137ドル 配当0.7325ドル
2018年10月 株価137ドル 配当0.7975ドル
まず目を奪われるのが2013年以降の急激な株価の伸びです。世界的にライバルらしいライバルがいない分野ですので、レイセオンは一定の強みを持ちます。ただ、唯一無二かというとそういうわけではありません。
例えば米国内にはロッキードマーティンを始めとする有力企業があります。英国のBAEも強力ですね。これらの企業はミサイルも開発しています。
ちなみに、レイセオン【RTN】は亡くなった後に10億円近い資産があることが判明した個人投資家、ロナルド・リード氏の主力銘柄でもありました。普通の町の倹約家がそれだけ貯めていたということでちょっとした話題になりました。
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ガソリンスタンドの給油係からJCペニーというデパートの掃除夫をしていたというロナルド・リード氏ですが、投資を始めたのが37歳からです。亡くなられたのが92歳です。55年間の投資で10億近くの資産を作ったわけですね。
ロナルド・リード氏のポートフォリオを見ても分かるように、特別な銘柄を持っていたわけではありません。長期投資でコツコツ倹約して配当再投資、追加投資をし続けた結果ですから、勇気づけられます。
話を戻します。
レイセオン【RTN】は軍需産業の中でもミサイルに強みを持ちます。アメリカの大統領が誰になっても、そしていつの時代も国防の観点からレイセオン社が政府から尊重される立場であり続けることは間違いありません。
レイセオン【RTN】の基礎データ
レイセオン【RTN】の基礎データを見てみましょう。
ティッカー:RTN
本社:アメリカ・マサチューセッツ州
来期予想PER:18倍
PBR:4.05倍
ROE:21%
ROA:7.2%
EPS:7.4ドル
配当:2.93ドル
上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)
レイセオン【RTN】の配当と配当性向
米国優良株にありがちな美しい右肩上がりです。しかも配当性向が40%未満です。持続可能な配当方針がここから見て取れます。これだけ美しい右肩上がりで創業およそ100年の老舗軍需企業ですからびっくりですね。
レイセオン【RTN】のBPSとEPS
EPS(一株利益)はこの10年で1.75倍ですね。驚くほど増えているわけではありません。ただし、米中の覇権国争いは今後も続くでしょうから、軍事費の大幅な削減というのも考えにくく、これからもじわじわと伸びることが予想されます。
レイセオン【RTN】の売り上げと利益
営業利益率は悪くはないですね。大手のロッキードマーティンとほぼ同じです。英国のBAEシステムや民需もあるボーイング【BA】と比べると高いですね。製造業、軍需産業の平均よりは専門性の分、高めというところでしょうか。
レイセオン【RTN】のキャッシュフロー
キャッシュフローは割と凸凹しています。政府予算次第なところがある産業ですので、このような凸凹になります。一般的にオバマ大統領を始めとする民主党政権よりはトランプ大統領の共和党政権のほうが防衛支出が増える傾向にあります。売り上げの増加に伴いフリーCFの増大も見込まれます。
レイセオン【RTN】の株数とROE
株数は漸減です。この10年でおよそ7割にまで減っているのは評価されてよいでしょう。ROEも20%弱で安定しています。
レイセオン【RTN】は1922年の創業以来、マサチューセッツ州に本社を置いています。7万人の従業員の60%以上を技術者が占める企業です。ちなみに、第二次世界大戦中にマイクロウェーブの研究を軍事レーダー目的でしていました。その結果、派生的に今の電子レンジの開発、製品化に繋がったというエピソードがあります。
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圧倒的な技術力をもつ同業のロッキードマーティンです。レイセオンとよく協業しています。
こちらは旅客機も強いボーイングです。Bシリーズの爆撃機などで有名です。
ユナイテッドテクノロジーズです。もともとはボーイングと同じ企業でしたが、反トラスト法に伴い、戦前に分社化されています。近年、シコルスキーというヘリコプター部門をロッキードマーティンに売却しました。