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ペイパル【PYPL】のシンプル銘柄分析。電子決済サービス大手企業。

ペイパル【PYPL】のシンプル銘柄分析

 ペイパル【PYPL】は、カリフォルニア州サンノゼに本社を置く、電子決済サービス大手企業です。ペイパル社が事業者と消費者の間に入ることで、オンライン上でデビットカードやクレジットカードでの決済、銀行決済を安全に行うことができるサービスを提供しています。


 また、消費者間の決済プラットフォームであるVenmo、海外送金事業を手掛けるXoomを傘下に持っています。S&P500採用企業です。

 

 ペイパル【PYPL】は、1998年に”Confinity“という社名でスタートしました。2000年にはオンラインオークションサイトであるeBayで販売された商品の支払いをオンライン販売者が受け取るための一般的な手段となり、100万を超えるアカウントに急速に成長しています。

 

 また、同年、イーロン・マスクが1999年に創業した、金融サービス会社X.comと合併しました。

 

 その後2002年にeBayに買収されました。結果としてeBayの決済の70%以上をペイパルが占めるようになりました。その後は、いくつかのM&Aや企業とのビジネス提携をしながら、企業の規模を拡大していきます。

 

 2014年9月、eBayはペイパルのスピンオフを発表し、2015年7月にティッカー【PYPL】でNASDAQに上場しました。

 

 その後もM&Aを続け、2021年9月に日本のBNPLサービスプロバイダーであるPaidyを約3000億円で買収したのは記憶に新しいところです。

 

 2021年12月末現在、世界に4億2,600万のユーザーが存在し、うち3,400万が加盟店です。

ペイパル【PYPL】の加盟店やユーザー

ペイパル【PYPL】の加盟店やユーザー

出典:PayPal website

ペイパル【PYPL】の株価チャートと配当

 5年チャートで見ると、昨年夏までは約7倍に成長していましたが、その後急落しています。

ペイパル【PYPL】の株価チャートと配当

ペイパル【PYPL】の株価チャートと配当

出典: US版 Yahoo Finance

 COVID-19感染拡大により、オンライン取引が増加したことでコロナショック以降の株価はかなりポジティブに推移していましたが、足元はアカウント数の増加率が鈍化しているのが株価下落の要因と考えられます。

 

 なお、現時点では無配企業です。FY2021のAnnual Reportにおいても、

“we currently do not anticipate paying any cash dividends in the foreseeable future.”

(現在、当面の間、現金配当を支払う予定はありません。)

と、はっきり当面の無配方針を掲載しています。

ペイパル【PYPL】の基礎データ

  • 本社: カリフォルニア州サンノゼ
  • ティッカー: PYPL
  • NASDAQ上場
  • 決算期: 12月末

ペイパル【PYPL】の売上高と利益

ペイパル【PYPL】の売上高と利益

ペイパル【PYPL】の売上高と利益

 営業利益率が一時的に下がった年度はありましたが、前年度比で-1.7%ですから誤差の範囲といえるでしょう。概ね順調に成長していると言えます。

ペイパル【PYPL】のBPSとEPS

ペイパル【PYPL】のBPSとEPS

ペイパル【PYPL】のBPSとEPS

 COVID-19感染拡大を追い風にした企業ですので2020年のEPSが大きく成長しています。これが株価に反映したのでしょう。一方2021年はやや減少しており、これもまた株価が素直に反応しています。

ペイパル【PYPL】のキャッシュフロー

ペイパル【PYPL】のキャッシュフロー

ペイパル【PYPL】のキャッシュフロー

 オンライン決済サービス会社ですから、設備投資はほとんどありません。営業CFのほとんどが全部フリーCFになる構造です。そして、そのフリーCFが次のM&Aに向けられています。

課題はアカウント管理とオリジナリティか?

 ペイパル【PYPL】のジョン・レイニーCFOは2022年2月2日の2021年4Q決算発表で、「不正に作成されたと思われる450万件のアカウントを閉鎖した」と述べています。

 

 ペイパル【PYPL】は2021年から、同社最大の顧客獲得キャンペーンを実施しました。
新規の顧客がペイパルや送金アプリのVenmoに登録すると、5ドルから10ドルの残高を付与するというものです。


 しかし、この仕組みを悪用するボットが多発し、450万件のアカウントの閉鎖につながったというわけです。


 これがトリガーとなったか、ペイパル【PYPL】は2025年までにアクティブアカウント数7億5000万を目指す目標も取り下げています。結果、株価は1日で約25%下落しました。

 

 取扱手数料がペイパル【PYPL】の収益の柱であり、それはアカウントの数と正の相関を持つことでしょう。アカウント数が当初のターゲットに達しないと企業側が判断したのであれば、収益の伸びが従来の期待より落ちますから、株価がネガティブな反応をするのも無理はありません。

 

 今後の業績成長のためには適切なアカウント管理をしつつ、オンライン決済の手段はほかにもたくさんありますから「ペイパル【PYPL】でなければできない」というオリジナリティが必要なのでしょう。


 これはペイパル【PYPL】のようなフィンテック企業の今後の事業展開のキーファクターだと思われます。フィンテック企業株を保有する場合には、頭の隅に置いておきたい点です。

 

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