たぱぞうの米国株投資

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メドトロニック【MDT】の銘柄分析。世界最大規模の医療機器メーカー。

メドトロニック【MDT】の銘柄分析。世界最大の医療機器メーカー

  メドトロニック【MDT】のシンプル銘柄分析です。

 

 メドトロニックは、1949年にアール・バッケン氏とパーマー・ハーマンズリー氏によって米国ミネソタ州ミネアポリスで設立されました。Medical(医療)とElectronic(電子工学)という 2つの単語を組み合わせ、Medtronicと名付けられました。

 

 伝統的に心臓ペースメーカーに強く、1957年には世界初の電池式の体外ペースメーカーを開発しています。1960年以降は、より広範囲な医療機器の開発、製造を行っています。

 

 現在の事業ポートフォリオは祖業のペースメーカー、除細動器、心臓弁、ステント、インスリンポンプ、脊椎固定装置、神経血管用品、手術器具など多岐にわたります。特にペースメーカーとインスリンポンプにおいて高いシェアと売り上げを維持しています。

 

 海外売上高は総売上高の50%近くになり、世界で最も大きな医療機器メーカーの1つとして地位を確立しています。 

 

 近年では新興国に力を入れています。特に中国への進出は熱心で、Kanghui Holdingsの買収は1つの橋頭保になっています。中国での直近2019年度の売り上げは、およそ20億ドル近くに上っています。

メドトロニック【MDT】の株価チャートと配当

メドトロニック【MDT】の株価チャートと配当

メドトロニック【MDT】の株価チャートと配当
  • 2010年 5月 株価40ドル  配当0.205ドル
  • 2020年 5月 株価100ドル 配当0.54ドル

 実は2000年から2013年まで長らく株価は停滞していました。ほとんど株価は上昇していませんでしたが、その後の買収戦略がステージを上げた感があります。

 

 心臓関係の手術器具、あるいはペースメーカ、脊椎領域、インスリンポンプといったところに強みを持ちます。これらは、J&Jなどの競合他社はありつつも、スイッチングコストが存在します。また、今後の世界的な中流階級の増加、高齢化の進展はマーケットの拡大を意味します。

 

 そういう意味では、製薬メーカーほどレッドオーシャンではなく、研究開発に業績が左右されにくい業態と評価してよいでしょう。変動激しいヘルスケア領域において、比較的有利かつ定性的に強い地位を保持しているといえます。 

 

 毛色は違いますが、ゾエティスなどと同じく、ど真ん中の製薬ヘルスケアではないけれど、強みある業態を持つ企業の1つと言えそうです。

メドトロニック【MDT】の基礎データ

  • 本社 アイルランド・ダブリン(ミネソタ州・ミネアポリス)
  • ティッカー MDT
  • NYSE上場

 税金対策でアイルランド籍になっています。実質的な経営はミネアポリスです。同様にダブリンに本社を登記している企業としては、アクセンチュアなどがよく知られています。

メドトロニック【MDT】の売り上げと利益

メドトロニック【MDT】の売り上げと利益

メドトロニック【MDT】の売り上げと利益

  医療機器メーカーのコヴィディエンなどの大規模な買収を経て、売り上げは10年で2倍になっています。営業利益率はそれに伴い20%台まで下がっていますが、広い意味での製造業と考えると低くはありません。

 

 何らかの定性的な強みが無いと出せない数字で、前段で書いたように「堀」の存在を意識させます。今後、年率にして4,5%の売り上げ増加が見込まれますが、コロナショックは下方に作用する可能性があります。

メドトロニック【MDT】の配当性向

メドトロニック【MDT】の配当と配当性向

メドトロニック【MDT】の配当と配当性向

  配当を狙うような銘柄ではないですが、連続増配は堅持しています。買収に伴う変動はあったものの、近年では無理のない配当施策に落ち着いており、増配余地に懸念はありません。

 

 1株2ドルに迫る配当です。利回りはだいたい2%弱で落ち着いています。

メドトロニック【MDT】のBPSとEPS

メドトロニック【MDT】のEPSとBPS

メドトロニック【MDT】のEPSとBPS

  PEレシオは2010年代前半までは15倍前後が常態化しており、割安株といってよい存在でした。しかし、コヴィディエン合併後は30倍を下回ることはほとんどなく、オーバーバリューが常態化していました。

 

 現在3ドル弱のEPSは会社予想に基づくと、今後3年で5ドル超まで成長する可能性があります。

メドトロニック【MDT】のキャッシュフロー

メドトロニック【MDT】のキャッシュフロー

メドトロニック【MDT】のキャッシュフロー

 研究開発費は軽くはないものの、着実な営業CFと豊かなフリーCFが得られています。

 

 コヴィディエン社を加えたことで一時的に低下した利益率はシナジーとともに改善がみられており、今後の合理化でさらに進展する可能性があります。ベビーブーマーの医療費が世界的に増大する中、メドトロニックの成長も比較的着実なものが見込まれます。

 

 株価は期待値が高い分、近年は常に3割程度の割高水準でした。しかし、コロナショックによる影響でやや割安感を感じる、100ドル前後の株価に落ち着いています。

 

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