72の法則を知って投資に役立てる
72の法則とは、何年、あるいは利回り何%で運用したら資金が2倍になるのかを簡単な式で表したものです。 ドルコスト平均法のように、投資資金をチョコチョコ足していく投資法には使えません。しかし、まとまった資金を一気に投資に回す場合は大変参考になります。
数年をまたぐような安定投資を前提としています。従って、デイトレードや相場変動の読みにくいFXなどにも適しません。銀行金利や安定配当株、あるいは債券など利回りがある程度読める商品を想定して計算すると良いです。
72を運用年数で割ると2倍に必要な利回りが分かる
72を運用年数で割ると、2倍にするための利回りが分かります。
例えば、2倍にするために必要な年数と利回りを計算します。
5年運用の場合
72÷5(年)=14.4(%)
10年運用の場合
72÷10(年)=7.2(%)
20年運用の場合
72÷20(年)=3.6(%)
30年運用の場合
72÷30(年)=2.4(%)
となります。5年で2倍にするには14.4%の利回りが必要です。30年で2倍にするには2.4%の利回りが必要です。ETF中心のインデックス投資や高配当株での長期運用が短期での高収益を全く想定していないことが分かります。
私の場合はせいぜい年率3.6%あたりの想定です。10年で1.5倍を狙うのが私の投資指針です。そうなるようにポートフォリオを組んでいます。
しかし、税引で3.6%というのはなかなか微妙なラインです。狙って取れなくもないですが、多少のキャピタルゲインも無ければ偏った高配当投資ばかりになります。純粋に配当だけで3.6%を狙うと、エネルギー株や金融株、リートの比率をかなり高めねばなりません。それは逆に安定感を欠き、無理があります。
キャピタルゲインは配当と違って大変読みにくいもので、あてにしすぎることは危険だと思っています。基本殆どゼロぐらいに私は捉えています。
実際には下図をみて分かるように、右肩上がりの成長をしてきているのがNYダウですので、思いかけないキャピタルゲインがすでに得られているのですけどね。
自分の投資スタイルを考えるきっかけになる、よい計算式であることは間違いありません。
72を利回りで割ると2倍に必要な年数が分かる
72を利回りで割ると2倍に必要な年数が分かります。実際に利回りで割ってみましょう。利回りで得たお金を再投資したら何年で2倍になるか、ということがわかります。
市中銀行の一般的普通預金金利0.01%
72÷0.01(%)=7200(年)
市中銀行の一般的定期預金金利0.1%
72÷0.1(%)=720(年)
ネット銀行の定期キャンペーン金利0.4%
72÷0.4(%)=180(年)
5%配当、税引4%の高配当株
72÷4(%)=18(年)
税引3%配当、値上がり年平均1.5%のETF
72÷4.5(%)=16(年)
投資をしないリスクがわかります。これだけ低金利な時代に元本保証型の金融商品のみ保有することはこういう意味があります。
定期預金でがんばって再投資しても、2倍にするのに720年かかります。今から逆算するとおよそ西暦1200年後半です。日本は鎌倉時代後期です。足利尊氏も新田義貞も生まれていません。
普通預金に至っては2倍にするのに7200年かかります。逆算すると縄文時代早期、あるいは前期です。縄文時代早期と言えば日本の人口が3万人にも満たない、狩猟採集生活です。その時代にドングリを1つ預けたら、現代21世紀になってようやく2つになる金利です。
これが高配当株ならば2倍にするには18年や16年といった数字になってきます。10年で1.5倍という投資目標が比較的現実的な線として見えてくるのではないでしょうか。
言うまでもなく、株式投資は元本を毀損するリスクがあります。増えないリスクと減るリスク、このバランスを考えた将来設計が必要な時代になっていると言って良いでしょう。
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実践的かつ体験的な金融教育を家庭でしていくことが大事です。お金がお金を稼ぎだす構図をつくらないと、資産形成ができない時代になりつつあります。日本人の平均年収はすでに何年もほぼ横ばい、今後も上昇する保証はなにもありません。
世界的な実績のある運用会社、金融商品を選好していくことが肝要です。間違っても毎月分配型投信や保険商品で資産形成を狙ってはいけません。数パーセントの利益を狙っているのに、高い信託報酬を払わなくてはいけない。この矛盾が満載です。