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211年の歴史が生んだピクテ式投資セオリー

 ピクテ投信投資顧問の社長である萩野琢英氏による本

 結論から言うととても良い本です。

 分かりやすくて、主張もはっきりしており、しかも誰にでもできる投資法を提案しているからです。

 

 例えば、長期投資のメリットや預金一辺倒の怖さ、日本株投資のみのリスクをはっきり説明してあります。著者はピクテ投信投資顧問株式会社代表取締役社長の萩野琢英氏です。

 

 著者が社長を務めるピクテ投信の商品としては、iTrustシリーズなどが有名ですね。SBI証券やマネックス証券、楽天証券、カブドットコム証券など、個人投資家が多く利用しているネット系証券会社で金融商品をよく販売しているので、広く知られている投信会社です。

 

 ちなみにピクテ投信の親会社はスイスのジュネーブに本社を置く、200年以上の歴史を持つピクテ銀行です。ピクテ銀行はプライベートバンクの老舗であり、スイスで最大手、ヨーロッパ最大級の運用資産額を持ちます。

 

 そんな有名投信会社の日本支社社長である萩野琢英氏が、誰にでもわかる言葉で投資の魅力について説明しています。

211年の歴史が生んだ ピクテ式投資セオリー

211年の歴史が生んだ ピクテ式投資セオリー

 

 その主張は極めてシンプル、合理的

 「欲張らない投資」「ちょっと欲張った投資」「育てる投資」「スパイス的な投資」として、リスクや目的に応じた投資を提案しています。

 

 共感した主な主張は以下の通りです。

  1. インフレリスクが迫っている中、日本人がすべき投資の王道とは
  2. 一国に集中して投資するのはリスク。分散したほうが良い
  3. 公益株などの高配当銘柄を長期投資すれば負けない

「日本経済がインフレ転換を迎え、資産が目減りリスクにさらされている以上、日本人はどうやって資産を守るべきか」

 これは、著者の萩野琢英氏の言葉です。私もこういうリスクを感じるので外貨で投資をしています。なぜならば、ドルを持っていれば、米国市場を通して世界中に投資ができるからです。そして、円がインフレになっても相対的に強みになるからです。

 

 現在私は米ドルで米国株、英国株、豪国株に投資をしています。以前はロシアやインドネシアにも投資をしていました。こういう幅の広さはなかなか円では難しいことです。流動性が乏しかったり、連動すべき指数との大きな乖離があったりするからです。

 

 この本で面白いと思ったのは、高配当投信と長期投資の親和性について言及されていたところです。例えば公益株投信を10年持ったとすると、殆ど負けない投資になるとしていました。これはなぜかというと、年月による配当の蓄積があるからです。

 

 手取り4%の高配当株を10年保有します。すると、40%の利益が蓄積されます。100万円投資していたのが140万円になります。ただし、株価あるいは取引値は上下がありますので、もしかしたら株価は100万円が70万円ぐらい、3割減価しているかもしれません。しかし、配当の蓄積でそれでも10%利益が出ていることになります。

 

 もし20年持っていたとしたら、80%です。80%減価する株式は海外の公益株ではほとんどありません。高配当株というのは長期で持っていれば高い確率で負けない投資を実現するのです。もちろん減配リスクはありますが、多くを増配銘柄から選んでおけば信頼度は上がります。

 

 そう考えると、日本の東日本大震災の影響の大きさに気づかされます。東京電力は震災前はディフェンシブ銘柄でした。現在の株価は震災時の2000円から500円程度になっています。75%の減価です。そして、配当がありません。これが公益株としては大誤算になっています。

 

 日本株をメインに据えていて、公益株のディフェンシブな投資をしていた人は東電をポートフォリオに組み込んでいたはずですから、痛手を受けているはずです。東電に限らず、物事には絶対はないですから、銘柄あるいはセクターの分散、そして時間の分散は大切です。

 

本書は資料を交えながら投資の本質について気づかせてくれます。

 

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