年金運用を紹介します。
私たちが支払っている社会保障費の1つの柱に年金があります。この年金の運用に関してのレポートが出ていますので、サラッと紹介します。
私たちの年金積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が委託して運用をしています。2014年までは日本債券の割合が5割を超えていましたが、2017年3月末時点で下記のような配分になっています。
http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h28_q4.pdf
これによると、
国内債券 35%
国内株式 25%
外国債券 15%
外国株式 25%
という配分にするということです。これは、2014年第2次安倍内閣によって決定された事項です。逆に言うと、GPIFの完全な独立性というのはありませんから、今後の政治の展開によってはこの比率は変えられる可能性が無くはないということです。
今後の年金運用で最も懸念されること
「たぱぞうの米国株投資」ブログでは海外投資の良さ、安定性に関して記事を書いていますから、外国株式と外国債券に関しては比率をもっと上げてよいと思っています。せめて25%ずつは欲しいところです。
一方で、こういう批判がくすぶっていることに懸念を覚えます。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年度の公的年金運用が5兆円超の損失になる見通しとなったことを受け、民進党が批判を強めている。
民進党の岡田克也代表は1日の記者会見で「リスクの高い株式での運用は問題と指摘し続けてきた」と強調。同党は運用実績の公表が参院選後になることも批判した。
2016/7/1 日経新聞報道より
また、このようなグループも活動しています。2016年夏には積極的に更新をしていました。
これは国会議員による有志チームです。投資をしている人ならば既知でしょうが、株式のリスクというのは、運用年を経るにしたがって漸減されていく傾向にあります。市場の成長、配当金の積み上げ、複利の効果が働くからです。
それを数年で評価するというのがそもそも間違っており、拙速と言わざるを得ません。
現在のGPIFにおける国債・外国債・日本株式・外国株式への分散というのは投資界における、いわば常識です。誰にでもおススメできる性質のバランスファンドはこういった投資先になっています。
また、GPIFの運用はほとんどがインデックス運用、パッシブ運用ですから、指数が安定的である限りにおいて安定的な利回り、収益が期待されるものです。国内株指数はこの30年ほど気まぐれなチャートですが、米国株指数に関する限り、100年以上の右肩上がりです。
以前のような、日本国債だけで50%を超えるような運用自体が異常であり、それに対しての批判こそすれ、今のバランス型の運用委託に関してはまさしく「プロの仕事」であり、批判はあたらないということになるでしょう。
多くの人にとって、投資運用は馴染みがないのが現状です。国民批判の無いまま、与野党問わず政争の具にされてしまうことが最大のリスクだと感じています。
2016年度の収益率は5.86%
批判を浴びた、第一四半期こそマイナス3.88%でしたが、その後の株高を受けて非常に安定的な収益を上げています。
ただ、投資配分を見る限り、この5%後半の実績というのはやや「できすぎ」と言ってよく、これを毎年度期待するのは違います。もちろん、単年度でマイナスになることもこれからはあるでしょう。直近では2015年度がマイナスでした。
しかし、その年ごとにブレて投資方針が揺らぐようなことがあれば、それは大きな損失になります。安値で売り、高値で買う、を繰り返すことになるからです。
第一四半期の時に批判をしていた人たちは昨今では全く意見が聞かれず、どのように自分の言説に対して総括をしたのか、あるいはするのか注目しています。
GPIFの収益率から伝わるシンプルな事実
GPIFの収益率です。海外投資の収益率の高さは注目されてよいでしょう。しかし、最も運用比率の低い外国債券の収益率が最も大きく、もっとも運用比率の高い国内債券の収益率が最も低いという現実があります
この運用収益率の結果というのは私たちに大きな示唆を与えてくれます。それは、海外投資の有用性についてです。単純に、収益率が大きいのは外国株式、あるいは債券であることが見て取れます。
年金運用がそうであるように、私たちの生活に外国株式、債券を組み込んでいくのは常識になりつつあります。
コラムも含めて非常に良い報告書
このように、コラムも含めて非常にわかりやすく、良い報告書になっています。年金運用で使っている指数、あるいは投資先の情報も含めて、私たち個人投資家にも有益な情報だと感じます。
3分でわかる年金運用ということでサラッと紹介しました。
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運用改革後のGPIFについての記事です。
こういう主張が出るたびに心配になります。