3分でわかる年金運用、改めて紹介します。
私たちが支払っている社会保障費の1つの柱に年金があります。この年金の運用に関してのレポートが出ていますので、サラッと紹介します。
私たちの年金積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が委託して運用をしています。2014年までは日本債券の割合が5割を超えていましたが、2017年、2020年と立て続けに見直され、今は下記のような比率になっています。
基本ポートフォリオは、運用目標(実質的な運用利回り※:1.7%)を満たしつつ、最もリスクが小さいポートフォリオを選定したということですね。
※名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたスプレッド。
- 国内債券 25%
- 国内株式 25%
- 外国債券 25%
- 外国株式 25%
ひところに比べるとかなり海外資産比率が増えました。とはいえ、GPIFの完全な独立性というのはありませんから、今後の政治の展開によってはこの比率は変えられる可能性が無くはないということです。
今後の年金運用で最も懸念されること
「たぱぞうの米国株投資」ブログでは海外投資の良さ、安定性に関して記事を書いていますから、外国株式と外国債券の比率が上がったのは大変良いことと認識しています。
従前の国債偏重からバランスファンドのようなポートフォリオになったということですね。タイミングとしてはもっと早くてもよかったと思いますが、なかなか難しい大人の事情が垣間見えました。
現在のGPIFにおける国債・外国債・日本株式・外国株式への分散というのは投資界における、いわば常識です。誰にでもおススメできる性質のバランスファンドはこういった投資先になっています。
また、GPIFの運用はほとんどがインデックス運用、パッシブ運用ですから、指数が安定的である限りにおいて安定的な利回り、収益が期待されるものです。国内株指数はこの30年ほど気まぐれなチャートですが、米国株指数に関する限り、100年以上の右肩上がりです。
以前のような、日本国債だけで50%を超えるような運用自体が異常であり、それに対しての批判こそすれ、今のバランス型の運用委託に関してはまさしく「プロの仕事」であり、批判はあたらないということになるでしょう。
多くの人にとって、投資運用は馴染みがないのが現状です。国民批判の無いまま、与野党問わず政争の具にされてしまうことが最大のリスクだと感じています。
年金運用における期待リターンは外国株が最も高い4.9%
年金運用における期待リターンは外国株が最も高くなっています。
以前は外国株は為替リスクがあるため、運用先としてはあまり好まれませんでした。しかし、時代が変わり、運用先としては最も効果がある投資先の1つとなっています。国内株だけではこのリターンは出せませんし、実際に資産運用先の比率を変更してから成績も好調です。
GPIFの収益率から伝わるシンプルな事実
GPIFの収益です。直近の年度の収益の高さは注目されてよいでしょう。特に海外株と日本株で11%超のリターンを出しており、そのリターンの高さが大きく貢献しています。
もちろん、2019年のようなこともありますが、続けることで大きく資産が増えるということが分かります。
また、運用収益の結果というのは私たちに大きな示唆を与えてくれます。それは、リセッション後に大きく運用成績が上昇するということと、海外株式比率を高めたあとの運用が非常に好調だということです。
安い時期に買い、なおかつ海外資産で分散投資を図っていくことの大事さが伝わってきます。ちなみに、リターンの低い2000年代は株式市場が落ち込んでいたこともありますが、日本国債が7割近くを占めていたという事情もあります。
年金運用がそうであるように、私たちの資産運用でも外国株式を組み込んでいくのは常識になりつつあります。
コラムも含めて非常に良い報告書となっている
このように、コラムも含めて非常にわかりやすく、良い報告書になっています。年金運用で使っている指数、あるいは投資先の情報も含めて、私たち個人投資家にも有益な情報だと感じます。
3分でわかる年金運用ということでサラッと紹介しました。
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