退職金という魅惑のボーナス
日本企業の特徴の1つとして退職金があります。属性の高い人は、最初の組織で受け取り、転職先でも受け取り、そのまた・・・。と50代、60代で退職金を複数回貰う人もいます。
しかし、いつも税メリットがあるというわけではなく、2回目以降は制度上それなりに課税されることが殆どですね。それは、以下のような計算式が成り立つからです。
勤続20年以下の退職金
40万×勤続年数=退職所得控除額
勤続20年以上の退職金 =退職所得控除額 |
20年以上働き続けると、1年あたり70万円ほど退職所得控除枠が増えます。そのため、勤続年数が長いほうがオトクということになります。
退職所得の金額 =(退職金−退職所得控除額)×0.5 |
貰った退職金から、退職所得控除額を引きます。その引かれた数にさらに0.5を掛け算します。この0.5は所得税を軽減しようとする国からのプレゼントのようなものですね。
この計算で出てきた退職所得に、所得税率がかかってきます。
※国税庁のサイトから
こうしてようやく私たちの手元に退職金が届くわけですね。3000万以上貰う人もいれば、数百万いや、数十万の人もいます。当然ながら勤続先の条件が良いほど、勤続年数が長いほど多く貰えるということですね。勤続年数が長いと、まるまる非課税という方もいることでしょう。
退職金を一括でもらうか、分割して年金のようにしてもらうかという議論がありますが、一括のほうが税制上は有利になります。ただし、計画的に使えるというのが前提になります。
さて、今回はこの退職金、退職所得の取り扱いについてご質問を頂いています。
退職金を貰ったら資産運用か、住宅ローンの繰り上げ返済か
いつもブログを楽しく読ませていただいております。ありがとうございます。
今回は質問があり、ご相談させて頂きたいと思います。
私44歳、嫁30歳の年の差夫婦です。子供はいません。
- 年収共働きで合算800万
- 住宅ローン4000万 ペアローン
- 固定15年3000万と変動1000万
- 資産 現金2300万
- 投資信託 楽天全米300万
今年にマンションを購入したばかりです。住宅ローンはフルローンで、毎月の返済が夫婦合計で約12万、現金資産は600万残して、現金1700万と楽天全米300万を合わせた2000万で資産運用を計画しています。
また、毎月の収入から夫婦それぞれ積立NISAと夫のみイデコにて毎月9万の積立を予定しています。2000万の資産運用と積立投資にてローン返済と同時に資産運用を考えております。
15年後、夫の60歳定年時に住宅ローンを全額繰上げ返済するのがよいでしょうか?
また、2000万の資産運用に関しては今までどおりの、楽天全米株式を購入するのがよいでしょうか?その場合は一気に購入もしくは、積立にて購入するのがどちらがよいでしょうか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、可能でしたらご返事頂けますと幸いです。
退職金で運用を検討して良いケース
一般の人が低利で長期間融資を受けられる殆ど唯一のローンが住宅ローンです。昨今では1%を切るような条件での住宅ローンがあります。これは事業融資ではそれなりの実績がないと出せない数字です。
もちろん、信頼が積み重なり、事業実績が伸びていれば同じぐらい低利になることはあります。しかし、普通の人が最初に融資を受けようと思うと、住宅ローン並みの金利というのは難しいでしょう。
そう考えると、比較的簡単に大変有利な状況でレバレッジを利かせられるのが住宅ローンということになります。
もし、この低利の住宅ローンよりも上回るパフォーマンスを資産運用で上げられるならば、資産運用したほうが良いということになります。実際に私も住宅ローンを抱えていますが、あえて返済せずに資産運用をしています。
また、これはイレギュラーですが、法人や個人事業主で自宅を事務所として按分している場合、住宅ローンの利息部分も経費で按分できます。そうすると、経費との関係も出てきますね。
退職金で住宅ローンの繰り上げ返済をしたほうが良いケース
しかし、資産運用が有利とはいっても、運用は上下動があります。比較的安全と言われる、昨今人気の外貨建てMMFも為替の影響があります。当然ながら、株式ならば相場変動はつきものです。
この目先の変動が気になるならば、繰り上げ返済をしてしまってスッキリするというのも悪い選択ではありません。
人によっては、今手元にある2000万も運用に回さずに、住宅ローン返済に充てるという人もいるでしょう。私はこれも悪い選択ではないと思います。リーマンショック時など相場の底ならば止めますが、少なくとも相場の底ではないからです。
手元の2300万をどのように運用するか
手元の2300万の運用です。簡単に言うと一括購入か、ドルコスト平均法による時間分散かですね。今後も下げることなく右肩上がりということを想定するならば一括です。上下動があると思うならば時間分散です。
この数年は実は一括のほうが良かったことになります。常に右肩上がりだったからです。とはいえ、私は相場は上下動があるという前提に立っています。そのため、弊ブログではドルコスト平均法による買い付けを一貫して推奨しています。
もちろん長期では右肩上がりであるという見方をしていますが、一気にキャッシュを株式に変えるような局面でもないと思っているということです。
個人的なスタンスで大きく変わるお金の使い方です。1つの考え方としてご参考になればうれしいです。ご質問ありがとうございました。
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