返済に勝る運用無し、は本当か
返済に勝る運用無しという運用格言があります。高い金利の時はそうでしょうね。
先日、お寿司を食べに某県にいきました。お寿司屋さんの大将と話し込んでしまいましたね。気づけば2時間、資産運用やら行政補助金やらの話で盛り上がってしまいました。
そのなかで、自宅の話がありました。以下のような話でした。
- 1974年、1200万にて、自宅兼店舗を購入
- 金利11%につき、5年で繰り上げ返済
- その後もちょこちょこリフォーム、都度借り入れ
- 基本的にすべて繰り上げ返済
- 先日、売却査定に出したところ、およそ100万円とのこと
- 100万では老後資金にもならない、大変なことだ、と。
漁港の長い長い商店街の一角にあるお寿司屋さんでしたね。かつては一等地だったのでしょう。時代を考えるとそれなりの値段で店舗を購入されています。11%ともなると、なかなかの負担です。その時代の繰り上げ返済は賢明ですね。
しかし、モータリゼーションの進展により、人の流れが変わります。バイパス沿いの駐車場付きの店舗に人が向かうのですね。そのため、旧市街のような体になり、地価もかなり落ち着きました。もはや出口としては考えにくい、そのような資産になっています。
かといって、地域に根差した実業の地を離れるわけにもいかず、難しいところですね。普通の店ならつぶれていますが、そこは名店、50年もの歳月を刻みます。
結局のところ、不動産は究極的には土地も含めた物件価格の下落を上回るペースで返済ができればよいということになります。この返済というのは、元本部分のことです。
この場合は自宅兼店舗なのでいささか事情が特殊です。しかし、このような例は地方において枚挙にいとまが無いですね。政令市の中心部、東京近郊などが特殊だということですね。
さて、かなり話がずれましたが「返済に勝る運用無し」ということでご質問を紹介します。
返済に勝る運用無し、繰り上げ返済すべきか迷う
初めまして。ヨシと申します。
いつも楽しくブログを拝見させていただいております。たぱぞうさんのブログに出会い投資を始めたのが3年前で投資経験はまだまだ未熟な40歳男性の地方公務員です。
相続によって3500万が入ることになり、一部を住宅ローン一括返済し残りをかインデックス投資するか、住宅ローン返済を継続しインデックス投資するかで悩んでおります。
【家族構成】
- 自分(40歳 地方公務員) 妻(43歳 パート) 子(中3)子(小5)
- 世帯年収 700万
- 住宅ローン残債 1800万 変動金利0.8%
(新築で購入し住宅ローン減税期間は終了しました。) - 地方の県庁所在地です。
【保有資産】
- 共済貯金 160万
- 積立NISA eMAXIS Slim オールカントリー 楽天VTI など100万
- 個別株 20万
- 学資保険 200万×2人分 積立中
今後子どもの教育資金がかかることや老後資金などを考えると返済を継続しつつ資産運用したほうがよいのでは??と思っておりますが、”返済に勝る運用なし”が確実なところであるとも思います。
投資のコアはインデックス投資を考えており、手堅くいきたいと考えております。お時間のある時でいいので、たぱぞうさんの考えを聞かせて頂ければ幸いです。いつも楽しいブログをありがとうございます。今後も楽しみにしています。
返済に勝る運用無し、はすでに過去のものになりつつある。
私ならば住宅ローンの返済はしないですね。変動で0.8%というのは、今ならばもっと安い金利が可能でしょうが、決して悪い条件ではありません。
おそらく、官公庁ローン、金利的にはかなり有利な立場での借り入れとなっているのでしょう。サラリーマンや公務員にとって数少ない、安全な融資が住宅ローンやカーローンです。中でも住宅ローンは金利も低く、住宅に資産性がある場合もあるため、上手に活用したいところです。
一方で気になるのは、収入に比しての現状の手元資金ですね。40代になると、老後を意識する必要があります。今回の相続3500万で一気に将来設計が楽になりました。しかし、決して支出を増大させないことですね。これは、長期積み立て運用資金として運用するのがベストと考えます。
”返済に勝る運用なし”というのは、以前は事実でした。海外投資が難しく、金利も高かったからです。しかし、今は海外投資が容易で、金利も安いです。海外と日本のインフレ差、金利差、資産成長の違いなどを勘案しつつ将来設計をする必要があります。
よって、手元の資金は海外分散投資への原資とし、住宅ローンは据え置きというのが私の考えです。
私事ですが、私も住宅ローンを組んでいます。当然ながら、よほどのことがない限り、繰り上げは考えていません。その資金があれば、自分で運用したほうが資金効率が良いからですね。また、事業資金に比べると金利も有利です。
あくまで一つの考え方ですが、ご自分の人生、ご自分のお金です。いろいろな考えをもとに、納得できるお答えを出されるとよいと思いますよ。
個人的には、「返済に勝る運用無し」はすでに過ぎ去った時代の名言と理解しています。節約と投資は資産運用の両輪です。相続に込められた先人の思いを受け止め、将来に備えていきましょう。
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実は金額や年齢によっても答えが変わってくるのが自然ですね。
ズバリ言って、郊外不動産とはこういうことですね。
日本人の資産運用がガラリと変わる可能性を秘めています。