たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

米国株セクター比率の理想とは

米国株のセクターという概念

 米国株にはセクターという概念があります。簡単に言うと、似たような業種同士のまとまりのことです。ただ、昨今ではわりと業種が横断的だったりしますから、あくまで便宜的なものです。

 

 たとえば、Amazonであれば祖業は本のネット販売であり、現在も売り上げに占める小売業の割合は大きいです。しかし、昨今ではクラウドも強く、業界トップをひた走ります。情報通信系も強いのです。Amazonはセクターは一般消費財です。

 

 米国企業の場合はあまりに業種が横断的になり、シナジー効果が見込めない場合はスピンオフを厭いません。そのため、このセクターという考え方が割としっくりとあてはまります。また、極端に違う業種に手を出さない傾向にもあります。

 

 例えばバンガードの米国株ETFの場合、このような分け方をしています。

  ティッカー 正式名称
1 VAW 米国素材セクターETF
2 VCR 米国一般消費財・サービス・セクターETF
3 VDC 米国生活必需品セクターETF
4 VDE 米国エネルギー・セクターETF
5 VFH 米国金融セクターETF
6 VGT 米国情報技術セクターETF
7 VHT 米国ヘルスケア・セクターETF
8 VIS 米国資本財・サービス・セクターETF
9 VOX 米国電気通信サービス・セクターETF
10 VPU 米国公益事業セクターETF

 このうち、組み込み上位企業は下表のようになっています。

    組入れ1位 組入れ2位 組入れ3位
1 VAW Dow Chemical(DOW) du Pont(DD) Monsanto(MON)
2 VCR Amazon(AMZN) Comcast(CMCSA) Home Depot(HD)
3 VDC Procter & Gamble(PG) Coca-Cola(KO) PepsiCo(PEP)
4 VDE Exxon Mobil(XOM) Chevron(CVX) Schlumberger(SLB)
5 VFH JPMorgan Chase(JPM) Wells Fargo(WFC) bank of America(BAC)
6 VGT Apple(AAPL) Alphabet(GOOGL) Microsoft(MSFT)
7 VHT Johnson & Johnson(JNJ) Pfizer(PFE) Merck(MRK)
8 VIS General Electric(GE) 3M(MMM) Boeing(BA)
9 VOX AT&T(T) Verizon(VZ) T-Mobile US(TMUS)
10 VPU NextEra(NEE) Duke(DUK) Southern(SO)

 これらを参考にしつつ、いただいたご質問にお答えしていきます。

米国株セクター比率の適正値とは

 初めまして。今年の1月から米国株投資を始めた30代後半のサラリーマンです。いつもたぱぞう様のブログで勉強させていただいでいます。


 私はリーマンショック前までは日本株個別投資をしていましたが、大損してしまい、投資からは10年近く離れていました。しかし、たぱそう様の記事を見て、米国株で投資を再開しました。


 今回、米国株のセクター比率について質問させていただきます。

 

 誠に勝手ながら勉強のため、たぱぞう様の2017年6月ポートフォリオの個別株(現金・ETFは除く)のセクター比率を計算させていただきました。


 その結果、消費財34%・ヘルスケア21%・公益事業20%・電気通信13%・金融5%・エネルギー5%・素材2%(BHPビリトンは鉱業会社ですが素材でよろしかったでしょうか)となりました。


 VTIやS&P500の市場平均からかけ離れた構成になっていますが、現在のような上昇相場で不安はないのでしょうか?


 ちなみに私は消費財50%・ヘルスケア20%・金融5%・情報技術5%・資本財5%・消費者サービス5%・エネルギー5%・公益/電気通信/素材合計5%、となっています。


 リーマンショックの恐怖がありディフェンシブ一辺倒のセクター比率ですが、情報技術にもっと投資していれば、消費財50%はやり過ぎだったのではないかと後悔があります。

 

 もちろん最適なセクター比率は人それぞれでしょうが、たぱぞう様のアドバイスをいただきたくご教授願います。以上駄文失礼いたしました。

米国株のセクター比率で普通は外せないのは情報通信

 米国株のセクター比率で普通は外せないのは情報通信です。米国が最も強い分野であり、成長性が見込める分野だからです。ただ、appleやMicrosoft、Ciscoなどある程度成熟した企業を除いてこの分野の企業は配当を出していない例が多々あります。

 

 その最たる例はAmazonであり、Google・alphabetでしょう。

 

 私の場合はもうアグレッシブにキャピタルゲインを追うことはやめていまして、老後の年金づくりの側面が強くなっています。つまり、インカムゲイン、配当重視の投資をしているということです。

 

 こういう話をしていると、私が枯れたおじいちゃんのように思われます。なので、皆さんお会いすると「若い!」と言って驚かれます。たしかに外面は若いとよく言われるのですが、内面・脳みそはシワシワ・シナシナ、それ相応なのかもしれません。

 

 話を戻します。最終的にインカムがもろもろで年500万程度あればよいか、という程度の投資でつつましくやっているということです。もし私が20代、30代であれば、VTI全力という投資をしていたかもしれません。

 

 上昇相場での不安は全くなく、自分のねらい通りですから淡々とやっています。刻んで積み上げていくという感覚です。投資は自分の腹に落ちていることも大事な要素で、これが無いと相場の上下ごとに何かに飛び乗ったり、飛び降りたりして大けがをします。

 

 ちなみに、私が若いころは米国株投資ができる環境に無く、ETFの種類も限られました。強いて言うならばSPYがあった程度でしょうか。

 

 相場が好調で買い場が無いと言えども、10数年前の環境と比べれば雲泥の差があるのが昨今の日本の投資環境です。世界中の株が買えるのです。今ある投資環境を生かし、困難な時代を生き抜く投資術を身に着けるのが、若い世代にとって喫緊の課題と言えるでしょう。

理想の米国株セクター比率を実現するには

 これは非常に簡単です。ETF運用会社の運用に倣えばよいのです。バンガード、ブラックロック、スパイダーと各社あります。この各社のセクター分類は殆ど近似しています。

 

 この中で、自分が理想とする総合的なETFを選び、そのETFの比率を参考にしてしまえばよいのです。そこで取捨選択して個別銘柄を選べばそのまま理想のセクター比率になります。

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※これは不二家ネクターです。

 

 私は万人にとっての理想のセクター比率はVTIだと思っています。「それだったら最初からETF買ってしまえば良いじゃないか」という話になるのですが、まあそういうことになります。

 

 ただ、個別株分析や売買は魔力のような魅力がありますから、損得を入れつつも楽しく相場に向き合うというのも一つの答えかと思います。

 

関連記事です。

  私の場合は債券の代わりに定額収入に近い太陽光を選択しました。不動産のように利幅は大きくないですが、20年間計算できるのは魅力です。

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  SPYで有名な、スパイダーシリーズのセクターの考え方です。世界3位の規模ですが、SPYは世界一の運用額を誇ります。まさに旗艦ETFと言えるでしょう。

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 こちらはブラックロックのセクター分類です。ブラックロックは世界一の規模を誇る運用会社です。バンガードと違い、オプション系の扱いも手広いため、機関ウケしています。

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